神様に恋の相談をしてみる 2
「んー」
「アイがそれだけ悩んでいると本当に面白いな」
「もー、神様は本当に楽しい事が好きだね? まぁ、私ももし神様が恋をしたらって思ったら面白くて仕方ないけどさ。神様も恋をしたらいってね? 私も神様が恋をしたら思いっきり楽しみたいから」
「その時はその時だな」
よし、言質とったぞ。これで神様が恋をした時に思いっきり楽しめることが決定!! って違う違う。神様のことよりも私のことだよ!!
珍しく私は他人のことで悩んでいる。珍しくというか、此処まで他人の事を考えるのは初めてだよ!!
「よし、神様。デートプランとしてさ。
①迅少年のレベルをあげたいからということを名目にしてダンジョンつぶしツアーに行く。
②迅少年に人の街を見るのも勉強だよと言い放って街に行く。
③迅少年に『魔人』としての暮らしを教えるという事を理由にして村潰しを一緒に行う。
④迅少年に私を知ってもらうためにいっそのことこの場所に迅少年を呼ぶ
どれがいいと思う??」
「どれでも楽しいから俺はどれでもいい」
「アイ様、私としましてはまだ出会ってまもない存在を『黒き死の森』に呼ぶのは不用心すぎるかと思います」
神様に聞いたのだが、レルナは私の問いかけにそんなことを言った。
あー、まぁ、確かにね!! わざわざダンジョンに誘って、自分の弱みを見せるのも今まで私からしたら想像が出来ないことだ。迅少年が私の事を殺すぞという気になって殺し合いをしたなら――いや、それはそれで楽しいか? 殺し合いをしたら今の現状だとかつのは私で、そのまま下僕コースで迅少年を好きにするのもありか?
うーんでも、折角の初恋だし、嫌われたいわけでもない。というか、嫌われるよりもメロメロにしたほうが楽しそう。まぁ、嫌われている中で好き勝手するのも楽しいけどさー。
というかあれだね、意外に私も乙女だったのかなーなんて思ったりするよ。だってこんなにも恋について考えて、嫌われるよりも好かれる方がいいなーなんて思ってるなんて!!
本当に愉快で、面白いよね!!
「愛は新米魔人を受け入れたところで死にはしないだろう。寧ろ死にかけてもそれはそれで面白い」
「あはは、神様良い性格してるぅ!! 私が死んでも楽しんでそうな神様が私は大好きだよ!! あ、もちろん、ライクでね?」
「……そうか」
「むふふ、やっぱり神様、照れ屋さん!!」
「……アイ様、その調子でその人に話しかけたらどうですか。その位素直にいったらいいのではないかと」
神様が照れていて可愛いなぁーなんて思ってたらレルナにそんなことを言われる。
「恥ずかしいから無理かな!!」
「アイ様……」
いや、こういう調子で言うのはちょっと恥ずかしくない? 私ってば初めての初恋なんだよ? それでそんな風には無理だって。
レルナに何とも言えない表情で見られているけど、私にだって羞恥心ぐらいあるんだよ。
そう思いながらレルナの用意してくれたクッキーをバリバリと食べる。
「それでさ、神様、さっきの選択肢どれがいいと思う?」
「②番でいいんじゃないか。ダンジョン潰しツアーも楽しそうだが、愛はどちらかというと普通のデートをしたことがないだろう。そっちの方が面白そうだ」
「あはは、あくまで面白さで選んでるね、神様。そうだねー。私は恋した相手とデートなんてやったことないからね。となると普通に誘うのでは、迅少年は断るから良い感じにメリットを示さなきゃか」
というか、迅少年はまだまだレベルが高くないしさー。外に出るの怖がっているっぽいんだよね。それよりもメリットを示さないと迅少年は私と出かけてくれないんだよねー。
どうしようかなー。
いっそのこと脅して連れ出す? うーん、それもありだけど、いい感じにメリットを示した方がいいかな?
「何かプレゼントしてやろうか。そいつを釣るための餌に」
「何を?」
「スキル上げられるアイテムとか」
「いや、それは私が使いたくなるから却下!! そんな便利なものなら私がほーしーい!!」
そんな便利なアイテムあるなら寧ろ私が欲しい!! もらったが最後迅少年の餌っていうか、私が使用するよ!!
そう素直に言ったら神様に滅茶苦茶笑われた。
「んー、迅少年が殺されないように私が守るから、この世界の事を知るために外に出ませんか見たいな感じかな? 迅少年は外で私みたいに動いたことないし、ある程度ダンジョンマスターになったから知識はあるけれど、百聞は一見に如かずって地球でも言っていたしなぁ。あとは私と出かけてくれたなら特別に情報をいっちゃうよ。みたいな。
何か企んでいるって言われるかもしれないけれど、それはそれで!! 一先ず迅少年を街に連れ出すことを目標にするよ!! 神様、レルナ、私頑張ってくる!!」
「おう。頑張れ。俺は全力で観察しとく」
「アイ様、楽しむのは構いませんが、あくまで相手はダンジョンマスターですから油断はしないでくださいね……」
至極楽しそうな神様と、苦笑するレルナの反応を見ながら、私は頑張るぞと決意するのであった。




