表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/49

国を崩壊させた私は、恋心に気づく 2

「ねぇ、迅少年。私、君のこと、好きかもしれない」

「はい??」



 迅少年は私の突拍子もない申し出に珍しく驚いたような顔をして、私の方を見る。その驚いたような表情に思わず私は笑ってしまった。


 好きかもしれない、と気づいたからだろうか。私は迅少年のそういう表情を見ているだけでもなんだか嬉しくなった。

 もっと色んな表情を見たいと思うし、もっと色んな事を迅少年と経験出来たらきっと楽しいだろうなぁ。他の人なら絶望するような状況に陥らせても迅少年はこのままなのだろうか。



 私は迅少年が変わらずに……ううん、変わったとしても迅少年が面白い方向に変わってくれるなら全然良いかもしれない。





「ね、ね、私、初恋かもよ!! 凄くない? 地球でも誰一人私の心を動かすことなかったのに、迅少年凄いよ!!」

「……からかってます?」



 もしかしたら好きなのかもしれないと思ったら、口に出さずにいられなかった。

 地球で少女漫画を読んでいた時は、主人公たちの気持ちとかさっぱり分からなかった。私は周りに進められるがままに読んではいたけれど、そこまで楽しさを見いだせなかった。私はいつだって誰かを絶望させる事ばかり考えていた。

 地球で何か別にはまるものがあったのならば、私はこういう風に喜んで異世界に来ることもなかったかもしれない……なんて思ったけれど、まぁ、これが私だからね。




「からかってないよー? 私、素の自分をこういう風にきちんと受け入れて、私を怖がるでもないというか、態度が変わらない人はそんなにいないからね」



 私は楽しくなって笑みを溢してしまう。



 だって私が誰かを好きになる――なんていうことは全く考えてもいなかったから。だからこそ、私は楽しくなっている。


 この胸から湧き出る好奇心。――迅少年に対するまぎれもない好意。私を私として受け入れて、ただ笑っている。

 それが嬉しいのだ。私は。



「いや……愛さんの言葉だとこう……俺の反応見るためにこういうこと言い出しているようにしか見えないっていうか……」

「んー、信じてもらえない?」

「今までの行動顧みましょうよ。愛さんがどれだけ好き勝手動いていたと思います?」


 私はそう言われて、それもそうだよなーと思う。



 過去の私に未来の私が誰かに恋をするかもしれないよ、といったところで信じないだろうし。神様とかにいっても笑われそうだし。



 んー、これもまぁ、私の行動のせいだろうけれど、なんかそれはそれで面白くないかなー?



 だってさ、私が初めて恋をしたかもしれない。少なくとも好意は抱いているという状況でさ、それを本気と思われない胃って嫌だもん。なんか面白くないじゃん?



 でもだからといって、どうやって行動したほうがいいかも分からないんだよね。

 だって私恋なんてしたことなかったし。自慢じゃないけれど告白されたことは山ほどあるよ。私、いい子を演じていたし、笑うことなんだけれど、天使みたいとか言われていたんだよね。私ってどちらかというと悪魔じゃない?? って自己評価では思っているのだけど、いい子を演じていた私ってすごい可愛かったみたいなんだよね!!


 まぁ、私はそういう人たちの告白は一切聞かなかったけれど。だってまぁ、私は自分の性格をちゃんと理解していたしね。



 クラスメイトたちからの恋愛相談は受けたこともあるけれど、結局それも自分が経験したことでもないしなぁ。

 まぁ、初心な少年をたぶらかしたり、王様であったオッドーをもてあそんだりはこの世界でしてきたわけだけどさ。それでもそれはあくまで演技であって、私自身の感情ではないからね。



 そう考えると、私の感情で動くときは性悪なことを考えているばかりだしなぁ。恋愛、何それ?? って感じだったしなー。


 うーん、どうしようかな。

 どうしたら私が楽しく、そして迅少年に分かってもらえるのかな。




「愛さん、突然黙り込んでどうしました?」



 私が急に黙り込んだからか、迅少年は不思議そうに私に問いかける。

 迅少年は、なんだかなぁ、私が黙り込んでいて何か企んでいるとか考えていないのかな。それとも考えているけれども、私を私として見ているから、こんな表情なのかな。



 迅少年は、どういう風な考えで、私にこんな風に接しているのだろうか。……うん、気になる。凄い気になる。ついでに迅少年の中での私に対する好感度ってどうなっているかも気になる。



 うーん、どうしようかな。どんな風にしようかな。

 ずっとそればかり考えて、私は良いことを思いついた。





「――ふふ、ねぇ、迅少年」




 私は迅少年のことを呼ぶ。

 そうすれば迅少年がこちらを見る。その隙をついて、私は迅少年の唇を奪った。



 うん。やっぱり私は好意を抱いているのだろう。じゃなきゃ、キスなんて自分からしようとは思わない。

 やっぱり私の中に芽生えた気持ちは、本物だろう。




「……愛、さん?」

「本気だって分かった? じゃあねー」


 ……でも私も初めての行動ということで恥ずかしかったので、そう言って去ることにした。



 いやー、私が顔赤いとかレアだよ!!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ