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私による私のための国家崩壊事変 1

「アイ様は本当にお優しいですね」


 私を優しいと口にする人がいる。

 ――優しい王様の妃の仮面をかぶった私は、孤児院を訪れたり、戦争で家族を亡くした人たちの元を訪れたり、我ながらよく優しい妃の仮面をかぶったものだと思う。




「アイ様、いつもありがとうございます」


 私に感謝を口にする人がいる。

 ――私は王様の妃として、そういう妃の仮面をかぶり続けていた。私は皆に好かれ、皆から求められ、味方の多い妃だと。



「アイ様のおかげです」


 私のおかげだと笑う人がいる。

 ――私は確かに良い妃を演じてきた。オッドーがちゃんと良い王様になれるように支えてきた。その仮面の下の醜悪な感情には誰も気づかない。









 ――こうして、皆を騙しているからこそ、私が反旗を翻した時が楽しいんだよ。



「私の可愛いモンスターたち、遊ぼうか」





 モンスターたちに声をかけ、ダンジョンマスターの脅威が去ったと安堵している村人たちを虐殺した。ちなみに本来の黒目黒髪で私も同じように遊んでいるよ?



 あえてさー、妃に似た人がモンスターと一緒にいるって騒がせるの楽しくない? 私は滅茶苦茶楽しいよ。



 それにしても楽しかったなぁ。

 母親が子供を庇って、自分は良いからこの子だけでも――とモンスターに懇願する。本来ならモンスターは知能を持たない使い捨てのモンスターが多いからそんなことしても滑稽なのに。まぁ、私の可愛いモンスターたちは、モンスタータウンの中ですくすくと育っているから言葉も分かるし、文字も読めるけど。


 親バカな意見だろうけど、下手な平民よりも断然私の可愛いモンスターたちは知能が高いよ。




 その目の前でさ、子供を先に殺したの。

 母親が泣き叫んでいたよ。泣き叫んでいた親は野良ゴブリンたちの巣に放り込んでおいたよ。その後? 多分ゴブリン赤ちゃんが生まれることになるんじゃない?

 私のダンジョンのモンスターたちとそういうことしてもいいけれど、モンスタータウンで家族仲良く過ごしてたりする子も多いし、人にそういう感情芽生えなかったりしているみたいだからね。



 

 一つから四つ目までのつぶした村は生き残りを作らなかった。知らない間に、村が四つほどつぶれていたのを後から知って、恐怖する王城の人たちを見たかったから。ドーちゃんが言うには、驚くほどに戸惑っていたんだって。

 そうだよねー。折角ダンジョンマスター連合に勝利したのに、これから幸せになれるはずなのに――気づいたらこんなことになっているなんて、恐怖しかないよね?



 その恐怖に歪んだ顔が、私の大好物。

 もっと誰に狙われているか分からない恐怖で怯えているのを見ると、うずうずしてきちゃう。




 どんどん恐怖に満ちればいい。

 もっともっと、困惑し、泣き叫べばいい。






 まだ、最初の報告を受けた時は――彼らは驚きがあってもまだ立ち直ろうとしていた。



 騎士団を派遣して、村をつぶした何かをどうにかするんだって息巻いていた。

 でも私はそんな立ち直る余裕なんて与えないよ。そんなもの与えたらたのしくないから。







「……街が燃え、全てが殺されただと?」




 私はオッドーと初めて出会った街を、徹底的につぶした。






 燃やしてみたら楽しいかなーって火あぶり祭りを決行した。まずはか弱い女性たちや子供を火あぶりにしようとしたら男たちが「彼女たちに手をだすな!! 俺たちの方をやってくれ」というから了承した。

 私は一言も男たちを火あぶりにしたら女性達を解放するなんて言っていなかったのに、それでも私が頷いたら安堵していたの!! ああ、もうなんて面白いの。



 私という、モンスターを連れた人型の存在が――そんな彼らの懇願なんて聞くはずがないのに!!



 男たちを放り込んだ後は、女性や子供達もためらわずに放り込んだよ。

 悲鳴と絶叫しか響き渡らず、何とも楽しい時間だった。



 ちなみに私の顔を知っている人はいたみたいでね? 私は黒髪黒目で印象は違うだろうけれど、王様の妃に似ているって、気づいて色々言っていたよ。でもなんか私がモンスターを引き連れているというよりも、敢えて王様の寵愛を得ている妃の姿を私がとっていると思われたみたい。



 滅茶苦茶面白いよねー?

 私なんかを信じ切ってさ。



 ちなみに一人逃しておいたのよ。なので、その街が滅んだことはすぐに王城に届けられた。そして私に似た少女がいた事も。










「アイ……どうやら君の姿をまねている存在がいるらしい。アイがそんなことをするはずがないというのに、一部ではアイがモンスターたちをけしかけているのではないか、呪われているのではないかといっているものがいる。すまない。そんなことを言う連中がいて、君を傷つけてしまって」

「オッドー……私は大丈夫よ。それよりも村や街がつぶされるなんて恐ろしいわ。私のことよりも、国民の事を考えましょう」

「アイ……君はなんて優しいんだ」



 オッドーも含む王城の人々は、私本人がこんな真似をしでかしているとは思っていないようだった。

 


 あはは、愉快だね?

 さてさてもっともっと、絶望させようか。




 

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