国家VSダンジョンマスター連合 ④
「元気な男の子です!!」
むふふー、子供が生まれた事になっているけどこの子、ゴブリンの赤子だよ?
凄いよねー。幻影系の魔法って。私の可愛いモンスターちゃんはちゃーんと私の言うことを聞いてくれるからこんな小さくても良い子で嬉しいわー。
私は自分で子供を産むことは今の所考えてはいない。まずは好きな人が出来なければどうしようもないしねー。
一応、ダンジョンマスターでも子供は埋めるらしいよ。神様が言ってた。過去に居たダンジョンマスターでは夫婦で子供を産んだ人とかもいたらしいね。で、ダンジョンマスターの子供も魔人なんだから、両親のダンジョンを引き継いでいるらしいよ。
まだ元気にダンジョン経営しているらしいよ。違う大陸に居るらしいから会うには遠出しないとだけど、いつかぶっ潰したいなー。
オッドーはゴブリンの子供を抱いて感動していて面白いなーってなったよ!!
ちなみにゴブリンのこのお披露目したんだけどさー。幻影耐性あるような子も中にはいるみたいでね? あれは魔物ではないかとか騒いで面白いことになったよ。その人にとっては魔物だと分かっても、周りにとっては国王の子供だからねー。処刑されてたよ!!
でも中々幻影耐性とかある人もたまにはいるみたいだよねー。そういう人たちはあの子供は魔物付きだってこそこそ動いているらしいって私の偵察用のモンスターたちが言っていたの。ちなみに私も魔物付きではないかって噂されているよー。半分正解!!
私や子供をどうにかしないとこの国が滅んでしまう――って本当の事いっているらしいよ。というか、私を殺さない限り、『黒き死の森』はずっと存在し続ける。私は遊びたいから人を全て殲滅することはしない。時々大人しくして、人の数が増えるようにはしている。
国をつぶすのは時々だけ――、そういう遊びを私はしている。
「アイ、君と子供のことは俺が絶対に守るから」
「オッドー、ありがとう」
オッドーが現状に酔っている感があるなー。なんというか、大切な妃と子供を守るために全力を尽くす俺っていうのを前面に出していて本当に気持ち悪いよね。
こんなに気持ち悪くて、どうなんだろうね? 私素の状況なら気持ち悪いって言い張って相手にしないだろうなー。
それにしてもさ、前に男を手玉にとって遊んだことはあったけれどやっぱりこういう権力者を手玉に取ると楽しいよね?
「ねー、ドーちゃん、ちょっとお留守番しててね? 私はちょっと遊びに向かうからね」
ドーちゃんに一言声をかけ、私の子供のふりをしているゴブリンの子供の頭を撫でて外を徘徊する。
国家とダンジョンマスターの戦争は始められているけれど、魔物の大群をダンジョンマスター連合がけしかけるのはもう少ししたタイミングらしいんだよね。
ダンジョンマスター側は、国家を油断させて、ぶわーってモンスターたちを押し掛けようとしているんだよ。
「ハロー、迅少年、元気?」
さて、私はダンジョンマスターたちを良い感じにけしかけたりしてみたわけだけど、結局私の手の平で踊っているからさー。色々と詰まんないから迅少年の所にも遊びに来てみた。
相変わらず迅少年は、私がこういう性格だと知ってもやっぱり変わらない。それが面白くて――うん、私は私の素の性格を知っていてもこんな風な態度をしている迅少年を気に入っているのだと思う。
「元気ですよ」
「元気に漁夫の利を得ようとしている? これから国とダンジョンマスターの楽しい時間がやってくるからね」
「そうですね。これからのためにも経験値が手に入るなら欲しいです。……愛さんは色々暗躍してそうですね」
「ふふふ、正解。私は結構遊んでるよ。まぁ、どうやって遊んでいるかは秘密だけどね?? 知りたいならそうだねー。一緒に遊んでくれるなら考えるかな?」
これで迅少年が私の手を取っても面白いかもしれない。一緒に楽しい遊びをやるのも面白いかもしれない。
そう思ったけれど迅少年は首を振った。
「いえ、俺はまだこのダンジョンを整えるのが忙しいですから。愛さんほど余裕はないですし」
「ふふ、そっかー。残念。でもまぁー、迅少年は面白いから断るのを許してあげる。もっと迅少年がダンジョンを整えた方がきっと私が楽しいから。私は結構ダンジョンマスターになってすぐに遊んでたけれど、迅少年は慎重派だね?」
私のお誘いを断って、何か変なことになるのではないか――とかそういうことを考えていないわけではないだろうに、それでも真っ直ぐに私の目を見て言い切ったのが本当に愉快だった。
「迅少年、そのうち――君がもっと長く生きられたら、きっと神様が話しかけてくるよ。その時は神様と仲よくしてあげてね?」
「……なんですか、その言い方」
「神様は邪神様だから、あまり人に好かれないんだよ。だから仲よくしてあげると喜ぶよ」
神様は寂しがり屋だからね。きっと迅少年にもそのうち面白いと関わってくるだろうから。
もちろん、迅少年が死ななければだけど。




