国家VSダンジョンマスター連合 ③
迅少年が面白くて、私はにこにこしている。ご機嫌である。私がご機嫌すぎて、オッドーにも「何か良いことあった?」と聞かれてしまった。
丁度良いなと思って、私は妊娠を偽ることにした。もちろん、そういう行為を私とオッドーはしていないわけだから本当に子どもなんているわけないけど。
幻影を見せて、可愛いモンスターちゃんを、私の子供として潜り込ませる気満々だからね。
いっそのこと、国家VSダンジョンマスター連合のあれこれの中で流産しちゃいました的な感じにしてもいいかもしれない。どれだけオッドーが絶望するか。そしてどれだけオッドーがダンジョンマスターを憎むか。
それを考えただけでもワクワクして、ドキドキして、うずうずして、興奮してならない。
オッドーは私が妊娠を偽ったら、それはもう喜んでいた。オッドーだけではなく、当然、他の臣下の者たちも喜びに溢れている。だってオッドーにはまだ子供がいない。子供が生まれれば国王の第一子となるのである。……まぁ、生まれるのは人ではなく、モンスターだけどね!! 小さなモンスターを子供と偽って育てるなんて、考えだけで楽しい。
でもさ、モンスターも結局知能があれば人と変わらない。人はモンスターのことを忌避するけれど、ダンジョンのモンスターに関してみれば、ダンジョンマスターの意向次第では十分人と過ごせて行けるぐらいの存在には出来る。
だからいつかダンジョンマスターの中でも人に友好的で、モンスターを人と関わらせるような存在もいつか出てくるのかもしれない。うん、私がモンスタータウンを作っているように、きっとそういう風には出来るから。
でもまぁ、そういう存在が出来るのならば、是非ともぶっ潰したいよね!!
いっそのこと、そういう存在を敢えて養殖してみるのもありかもしれない。それか、私が『黒き死の森』のダンジョンマスターとしてではなく、他のダンジョンのダンジョンマスターを偽って、人と友好的に見せて見てもいいかな? でもあれだねー、それは私のダンジョンマスタープレイとはちょっと異なる気もするし、やっぱり誰かにやらせるべきかなー。
私が妊娠を偽ったからというのもあってさ、オッドーたちってば張り切っているんだよね。凄い、張り切りまくっていてさ、私と生まれてくる子供のためにって、ダンジョンマスターたちに勝とうとしているんだよね。
良い感じに国家側のやる気には火がついているんだよね。
ふふ、私ってば、慕われている妃だからね。だからこそ、皆、私に子供が出来たってことでやる気満々なんだよねー。
滅茶苦茶爆笑したいよね? 私が全部手のひらで転がしているのにさー。私を守ると、そういう気持ちで一杯になっていて。
「……なんとか、ダンジョンを一つつぶす事が出来た」
「そうなの! それは良かったわ。ダンジョンマスターが我が国をつぶそうとしているのなら、ダンジョンをどうにかしないと……私たちの子供の未来がないもの……」
「ああ。なんとしてでも、我が子のためにもダンジョンマスターたちに勝ってみせる」
そう言いながら、オッドーは私のお腹をさする。
ぞわぞわして、気持ち悪いなーっていうのが正直な感想である。でも我慢、我慢!! 折角の楽しい遊びなんだから。
でも妊娠で不安定っていうのを装って、ひどい態度してもいいかなって思っているよ!!
そんなわけで私は不安定を装って、適度にオッドーに辛い態度したりしているよ。その後、必死に謝っているの。私、演技派だから!!
それにしても私を落ち着かせるためにって甘いものとか結構くれるんだけどさー。この世界の甘味って、地球よりあまりこったものとかないんだよねー。やっぱ手軽にああいうお菓子が手に入った現代日本ってすごかったんだなって感じ。
モンスタータウンで、色々作っているからもっと甘味も発展させていきたいなーって野望もあるよ。
傾国の妃ムーブをしたあとは、しばらくは人の世界に関わる気はないし、ダンジョンをもっと強化したりしようかなー。まぁ、先のことを考えるよりもまずは国家VSダンジョンマスター連合をもっと楽しくしなきゃだけどねー。
妊娠を装った私はダンジョンマスターの元へも向かったよ。
ダンジョンマスター連合はさー、思ったよりオッドーの国が強いから焦っているみたいだね。というかさー、ダンジョンマスター連合の人たちのモンスターたちってそこまで強くないんだよね。
そんなわけで強化させるぜっと私は色々張り切っているよー!!
後遺症はあるけれど、身体能力とかが上がるような薬とか持ち込んでいるんだ。私は自分のダンジョンのモンスターたちには愛着があるし、大切だけど、他のダンジョンマスターのモンスターたちはどうでもいいしねー。
私のダンジョンマスターのモンスターたちもこれで強くなったんだよ!! (大嘘)と言い放って、使わせたよ。
これでオッドーたちがもっと混乱したら楽しいなー。
どっちが優勢でも私には美味しいからね。でも最後に笑うのは、私だよ!




