ダンジョン攻略計画を提案し、私は出会う 4
迅少年とは適度な距離感を保てていると思う。私とそれなりに仲良く話してくれているけれども、迅少年は私に対して本当に心を抱いているわけではなさそうだ。なんだろう、私に心酔しているわけではないけれど、私とは話しているし、なんともよく分からない感じの男の子だとは思う。
まぁ、迅少年のことでは少しずつ遊んでいく準備を整えていくとして、ダンジョンマスターたちで遊ぶのも中々楽しいよね。
とはいえ、ダンジョンマスターと遊ぶのが楽しいからと遊び過ぎてオッドーと遊ぶのを全部ドーちゃんに任せるのは問題だもんね。それにしてもオッドーは、私の見た目をしていたらどっちでもいいっていうのがなんというかチョロいよね。というより、一国の王なんだからもっと警戒心をもった方が絶対に良いと思うんだけどねー。
そうそう、私の妊娠しましたーっていう計画はもう少ししてから行おうと思っているんだ。楽しいダンジョン攻略祭りを行ってからの方がいいかなーって。まぁ、タイミングがもっと早い方が楽しそうとかあったら先にそういう風にするかもしれないけれど。
「オッドー、私、ダンジョンのことを勉強しているのだけど、ダンジョンは恐ろしいわね……」
「ああ。ダンジョンは人の敵だ。ダンジョンが存在しているだけで人々は恐怖に陥る。ただ存在しているだけなら問題はないが、ダンジョンからあふれ出たモンスターは村を滅ぼしたりする。一番ひどいときは国が滅ぼされることもあるんだ。だからこそ、あの『黒き死の森』を放っておくわけにはいかない。『黒き死の森』からあふれ出モンスターは、多くのものを滅ぼしてきた」
「うん。それも分かったわ。『黒き死の森』は本当に恐ろしい」
「ああ。だからこそ、『黒き死の森』を攻略する必要がある。ダンジョンはダンジョンマスターを倒すか、宝石をどうにかすればダンジョンは崩壊するはずだ。一番はダンジョンマスターを倒すことだろう。その方が手間もかからないだろうからな」
あらあら、私を殺したいーって思ってるのね。でもまぁ、あれだけの規模なダンジョンなら宝石を探すのも難しいからだろうけどさ。
ただ私は例えば、私の事が『黒き死の森』のダンジョンマスターだと知ったらどうするんだろうか。それも考えると楽しいなと思う。
ダンジョンというのは、ダンジョンマスターを倒すことが一番ダンジョンを崩壊させる手っ取り早い方法だ。あとは倒せない場合はダンジョンにある宝石を砕いたりダンジョンから持ち出せば崩壊するものである。
年を重ねるにつれ、ダンジョンの核とも言える宝石は巨大になる。私のダンジョンの宝石も巨大化しているからね。その巨大な宝石をどうにかするのが難しいから私を倒したいと思っているみたいだけど。
それにしてもダンジョンマスターがこういう所にいると思っていないのが、面白いよね。
「オッドー。『黒き死の森』はとても恐ろしいダンジョンだから、まずは他のダンジョンを攻略したほうがいいのではない? まずはダンジョンというものをもっとしって、『黒き死の森』についての情報ももっと集めるべきよ」
「そうだな。他のダンジョンはともかく、『黒き死の森』に関しては下準備が必要だからな。まずはダンジョンがどこにあるのかを調べさせているところだ。近くに小さなダンジョンが出没しているという話だからそこをせめさせようとおもっている」
私はオッドーの見せてくれたダンジョンの情報――それも中々機密事項だと思うから、私に簡単に見せるのはどうなのかな? と思うけどね。
その情報を見ると、攻略しようとしているダンジョンの中にはヒロユキの所もあった。まぁ、いいんじゃないかな? このままつぶされても特に問題はないし。とりあえず最後のあがきをさせるために少しだけ働きかけようかな。
ちなみに他のダンジョンは接触していないダンジョンマスターなので、ひとまず放置。
そうそう迅少年の所は、捜索範囲には入っていたみたいだけどわかりにくくしていたからか見つかっていないみたい。
どんな風な絶望を見せてくれるかな? 最後に私が遊んでいることをきっちり見せようかな?
どんな風な最期を迎えるか、ちゃんと見ておかないとね。
思わず口元が緩みそうなのをなんとか我慢する。此処でにこにこしていたら疑われてしまうかもしれないからね。
オッドーの望むように決意に満ちた表情を浮かべているよ。オッドーは相変わらず騙されているのになんだかなという気持ちだよ。
「――ダンジョンを攻略して、国民達に平和を与えましょう」
「ああ。その通りだ。なんとしてもダンジョンの攻略を進めよう」
「そうだね。頑張りましょう。ダンジョンを攻略できなかったら、いつ国民の脅威になるかもわからないもの」
「アイは優しいな」
……優しいななどといったオッドーに頭を撫でられてぞっとした。
なんというかうん、私って基本、人に触れられるの好きではないんだなーって実感するのだった。
さーて、ヒロユキはどれだけ絶望をあらわしてくれるかな?




