ダンジョン攻略計画を提案し、私は出会う 1
「ダンジョンが増えていると聞いてるわ。ダンジョンがあると国民たちが大変な目にあってしまうから……私はダンジョンを攻略すべきだと思うの」
「そうだよな。アイのいう事も最もだ。邪神の気まぐれが最近起こったのだと報告を受けている。なんとかしてダンジョンを攻略しなければ我が国も大変なことになるだろう」
「この国の近くには巨大なダンジョンもあるのでしょう?」
「ああ。忌々しい『黒き死の森』がな。あのダンジョンを攻略するためにどれだけの命が散ったか分からない。俺の代でなんとしても攻略してみせよう!!」
なんだか熱くなっているオッドー。
その横にいる私が『黒き死の森』のダンジョンマスターなのだけど、この状況、本当に面白くない?
ダンジョンマスターに向かって、そのダンジョンを攻略するぞーなんて宣言しているなんて滑稽だね?
ちなみに側妃たちは毒で死亡、正妃ちゃんは処刑というわけでオッドーの妃は私だけだよ!! 私の評価は上がっているんだよ。でもまだまだ他の妃をめとらせようとしていたりもするんだよね。
子供でも出来たら私が正妃になれそうだけど、オッドーと肉体関係はないし、どうしようかなーって感じ。
でもあれだね。幻影を見せて、妊娠を装って、これが「貴方の子よ」と言って、モンスターを赤子と偽るのも面白そうじゃないかな。私のダンジョンのモンスターたちって、モンスタータウンで教育されていて、モンスターにしては教養があるんだよね。
というか、下手な平民よりも頭が良いし、言葉をしゃべれる人型のモンスターもいるし。そういうのを生まれたばかりの赤子と偽るのもありかな。
だって考えただけで面白くない?
大きな人間の国が私が魔人であることも気づかずに妃にしていて、それでいてその妃が生んだとされる存在が実はモンスターって。
そういう風にしてこのまま乗っ取るのもありかな? 飽きたら滅亡させるけどね!!
ちょっと方針が決まって、私はご機嫌だよ!!
そうそう、あとは敢えてダンジョンを攻略させようみたいな行動をさせようと思っているんだよね。
レルナが周辺のダンジョンのいくつか壊滅させて、魔人を消滅させたからさ。ここに連れてこられたばかりの後輩ダンジョンマスターたちも大分焦っているみたいだね。
死にたくないって。
死にたくないならせいぜいあがくと良い。そして私に面白い姿を見せてくれると良い。
――面白い姿を見せてくれるというのならば、少しぐらい生かしてもいいし。
それにあれだね、あとは先輩ダンジョンマスターとして彼らに近づいて、ちょっと良い感じに味方面しようかな。
人間の国側では、ダンジョン攻略計画を提案し、率先して進める。
そしてダンジョン側では、人間が攻めてくるんだということで味方面をする。
うんうん、なんて楽しそうなマッチポンプ作戦!!
私がこの世界に来てすぐは、私の力がそんなに強くなかったから、こんな風に同じ魔人で遊ぶ力なんてなかったもんね。
こうしてダンジョンマスターの後輩が出来たからこそできる楽しい遊び……!!
私は心が躍ってならないよ。
オッドーはとても気持ち悪いし、すぐに首切りしたくもなるけれど――楽しい遊びのために我慢するよー。
「アイ様、とても綺麗です」
「アイ様は、優しいですね」
それにしても周りを掌握している私、中々悪女プレイ上手すぎない?
周りの侍女たちが私のことを優しい妃って思っているとか面白すぎる。ついでに私が正妃になった方がいいよーって思ってもらうために有能さも出しているよ。
オッドーの正妃を望んでいる令嬢を懐柔したりね。我儘に甘やかされて育ってきているおこちゃまな令嬢を手名付けるなんて簡単だったよ!! なんか本当におバカな子は犬を躾しているような気持ちだよ。
私をお姉様呼ばわりとか、中々良い性格しているね? こういう子は私が魔人だって知ったらどうなるんだろう?
あとタビタタイプの令嬢は、結構私を警戒しているね。
正妃ちゃんが処刑されて、正妃ちゃんと仲良かった令嬢たちは沈黙を保っているけれど、誰かが正妃ちゃんを貶めたはずだと色々探っているみたい。私のことも疑っていたみたいだけど、ドーちゃん使ってアリバイ作っていたからねー。
ふふふ、良い感じに私の手のひらで踊ってくれてありがとうっていいたいよ!!
あと最近ねー、寵妃である私の御用達のものとかいって、色々で回っているんだよね。流行にのりたい貴族は買うからさ。そこに小型の魔物を混ぜたり、仕込みをしたりしているんだ。
色んな情報が筒抜けで本当に愉快で楽しいよ!!
ダンジョン攻略計画をして、懐妊計画(魔物を子供と偽る計画)を進めていったあとは、この国に沢山いる貴族たちで遊ぼうかな。
――まずは、可愛い後輩ダンジョンマスターたちに、この世界がどういう存在かの洗礼を受けてもらわないとだけどね?
希望があるなら、その希望を木っ端みじんにしてあげよう。
そう思うだけで私はわくわくしていた。