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『黒き死の森』のダンジョンマスター

※注意:残虐な表現や非人道的な部分が沢山あるので注意してください。

主人公は外道です。清々しいほど外道です。苦手な方は見る事をおすすめしません。

「皆、調子はどう?」



 私は、花本愛はなもとあい

 今、私がいるのはSランク級ダンジョン、『黒き死の森』の地下にあるモンスタータウンである。

 そこには《ゴブリン》などの人型の魔物から、《ポイズンハニー》のような虫型の魔物や《大鼠》のような動物型の魔物など沢山の魔物が存在している。



 地下にあるモンスタータウンは、ダンジョンマスターである私が手塩にかけて育て上げた可愛いモンスターたちの待機場所である。ただの待機場所ではつまらないから、お店を作ったり、モニュメントを作ったりして、本当に街みたいになっている。そこで生活をしてもらっているのだ。

 人間にとっては醜く、恐ろしいモンスターたちかもしれないが、私にとっては可愛い可愛い配下たちである。

 しかもちゃんと教え込んだら、人間のように色々学んでくれるんだよ!! ダンジョンマスターである私のことを慕ってくれているし、ダンジョンに侵入してきた冒険者たちをちゃんと殺してくれるし、私が遊びにでかける時も一緒に遊んでくれるしね!!



 私がモンスタータウンの中を歩いていれば、モンスターたちは『黒き死の森』を攻略しようとしてきた冒険者たちをどのように葬ったか、などの報告をしてくれる。

 ただ即死トラップなどを大量に設置したり、モンスターを強くした結果、割と出入口で死ぬ冒険者が多いけどね。たまに少し奥まで行ける冒険者はいるけど、最近は一番奥までたどり着ける冒険者はまずいない。

 それはそれでつまらないなーって思うのだけど、その分、たまに外に遊びに行ったりしている。外で『黒き死の森』のダンジョンマスターだってことを隠して色々人をひっかきまわしたり、人を殺してみたり、村を滅ぼしてみたり、同じ魔人をだまして殺してみたり――うんうん、楽しい遊びはまだまだあるからね。



 あ、ちなみに魔人っていうのは私たちのようなダンジョンのマスターのことだよ。

 神様が異世界から人を連れてきて、ダンジョンを経営する魔人にさせるんだよね。私は地球から来た元日本人で、見た目は地球にいた頃と変わらない。魔人っていうのも色々いるんだよね。無理やり連れてこられて、魔人であることに反発している人とか、絶望している人とか。私は最初から思いっきり人類の敵である魔人になったなら魔人らしくしよう!! って遊んでるけど。




「んー。最近、私と一緒に来た魔人のダンジョンなくなってきたからなぁ……」



 モンスタータウンから、ダンジョンマスター室に戻って私はつまらないと思わず言葉を漏らす。

 ダンジョンマスター室は、この百五十年で色んな設備をそろえたため、とても快適な部屋である。ふかふかのソファ。これはモンスターたちが作ってくれた。私の事を喜ばせたいからって街を一つ滅ぼした時に手に入れた素材を使って作ってくれたのだ。私のためにって可愛い。



 私と一緒に異世界に連れてこられて、魔人になった存在のダンジョンはもうほとんどない。私が知らないぐらい遠い地には残っているかもしれないが、私の行動範囲内ではほぼ見られない。

 この世界ではダンジョンは神様が数百年に一度、人を連れてきて魔人にさせて、ダンジョンを生み出させるものだ。今は丁度、冒険者たちがダンジョンマスターである魔人を殺したり、ダンジョンの核となる宝石をダンジョンの外に出したりして、次々とダンジョンを消滅させてきた時期なのだ。なんというか、ダンジョンが簡単に攻略出来たり、攻略する側が豊作だったのか、どんどん減ったのである。まぁ、私が積極的に魔人を殺したり、魔人同士を争わせたりしたからというのも理由だろうけど。


 というか、この世界ではダンジョンというのは発生しては攻略されるものなのだ。長い期間、攻略されずに残り続けるダンジョンというのは珍しい。ダンジョンが攻略されるということは、その数だけ魔人が死ぬということなのだが、神様は魔人の命なんてどうでもいいと思っているので減ればまた発生させるだけである。

 ちなみにダンジョンが減っているため、『黒き死の森』を攻略しようとやってくる冒険者の数も増えているが、それらは奥に辿り着く前にトラップやモンスターたちに殺されている。私も冒険者たちに接触して後ろから不意打ちで殺したり、真正面から魔法で命を奪ったりもしているけど。

 『黒き死の森』の中で冒険者が死んだ分だけ、経験値が入り、レベルが上がるので喜ばしいことだ。



 とはいえ、ダンジョンが減った影響で魔人やダンジョンで遊べないのは面白くない。



「アイ様、もうすぐ新しい魔人を増やすとヨルムノ様が言っておられませんでしたか?」

「そうだけどー。まだ神様から魔人を増やすって連絡ないんだもん。詰まんないよねー。外に遊びに行こうかな」



 私に声をかけてきたのは、眷属であるエルフの少女――レルナである。レルナはエルフだけど、普通のエルフとは違い黒髪だからと迫害されていた。そして棄てられていたところを私が拾って、眷属にした。

 眷属というのは、魔人が人族に血を与えて儀式をすることによって作れる存在で、私が人族から眷属にしたのは今の所、レルナしかいない。



 そしてレルナの言ったヨルムノというのは、私をこの世界に連れてきた神様の名前である。

 いつも人で遊んでいる邪神様である。私が魔人らしく生きていくと決めて行動していたら面白がって、話しかけてきたのだ。その時から、神様とはお喋り仲間である。

 その神様がちょうど五十年近く前に、五十年ほどしたら新しい魔人を増やすと言っていたのだ。それを私は楽しみにしているのだが……、まだ魔人を増やすという連絡は来ない。




 はやく神様から新しい魔人を増やすという報告がこないかなー。あまりにも来ないなら外に遊びに行って、色々かき乱してこようかなとそんな風に考えながら、私はマスター室からダンジョンの様子を観察するのだった。




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