第五話 現実☆逃避 ※そんなの出来ません
一文字目を開け始めた。
ちなみに川上響……この物語の主人公は年齢は、18です。大学キャンパスライフを送る直前でした。これなら泣いても当然ですね。泣かないほうがおかしい。
俺に裸を見られ、もう我慢できなくなったのか、素早く服?を着るゼウス。を横目に最初っから疑問に思ってたことを聞いてみた。
「で、俺はいつになったら俺TUEEEEできるわけ?」
「うぬぅぅぅ!ワシのあられもない姿を見たくせに何故こう無反応なんじゃこいつはぁ!」
だから幼すぎるんだって。
「なんとか言ったらどうなんじゃ!!」
ん?あれ、こいつ心読めなかったっけ?確かあの図書館では俺の心を読んでいたような気がするけど………
「早く答えろ!」
「え、あ、いや、心読めないの?」
「む……!まぁ、ワシも転生体だからじゃ…」
てかなんでここにこいつが居るんだ?俺だけが普通転生するんじゃないのか?今は神様がセットで付いてくるのが一般常識になったのか?
「転生体になると弱体化するってことか?」
「いつのまにかワシが質問を受ける立場になっとるのが気にくわんが、まぁいいじゃろ」
そして俺に話し始めた。ここに来ることになった理由。壮絶な訳を………。
「しょーもなっ」
俺はつい言ってはならない言葉を漏らす。
「しょーもなくないわっ!人間だって、そういう探究心から大発見をするものじゃろ!?それと同じじゃよ!」
だからってただ行って楽しみたい、は無い。
なんかもっと世界を救うみたいな目的を期待したのに。それだったら俺は勇者なのに。あ、
「そういえば俺の能力は!?俺TUEEEEするための能力はなんだ!?」
「あ、いやーそのー、えーっと……無いです」
「……………は?」
「じゃから………無い」
「……え?ちょっと待って?それは与え忘れたから能力が無いの?それともまだ与えていない段階だから無いの?」
「大方前者……っひっ」
俺は胸ぐらを掴んでこう言い放ってやった。
「おいおい、能力が無いってどういうことだ?俺TUEEEEできないじゃ無いか。どうせ中世ヨーロッパみたいな世界なんだろ?そんな文化レベルがまだ発展途上な世界でどう暮らしたらいいんだ!?死ぬ可能性が大って言ったのはお前だろうがぁ!」
ガチで苛立ってたので罵声を浴びせる。側から見ると小さい女の子を大声で怒鳴りつけているのでかなりエグい構図だ。
そして俺はこいつが、俺の勢いに感化されて怒鳴り返してくるものと思っていた。
だが違った。
「ごめん……本当に………ごめん………っワシの、ワシのせいっでっ………」
泣き始めた。
「ちょっ、待っ、わわ悪かったって急に怒鳴ってさ。確かに自分のスキルを他人にあげるのは嫌だよな!だから、だからさぁ…泣くなって、ごめんな……」
不細工なおじさんが泣いていたらさらに罵声を浴びせていたところだが、こいつは年齢はともかく見た目は少女だ。もの凄く申し訳ない気持ちになる。
「謝るな。だから付いてきたってのもあるし…」
「ん?なんか言ったか?」
「いや、何でもない。お詫びにワシがこの世界のナビゲーターとして動こうと思ってな。神としての力は使えないが、神としての知識はちゃんと頭に残っとる。役に立てると思うぞ」
知識か……それは大事だな。チート能力があっても、それはモンスター相手にチートだったらあまり意味がない。この世界で生き抜くのであれば、まずは地元民との交流だ。住む場所、食べる物、着るものとかいろいろ必要だしな。
「じゃあ早速こんな陰気臭い洞窟からでて、街へ向かおうぜ。どこにあるんだ?街ってのは」
「わからぬ」
「え?」
「世界の基本常識や一般知識ならわかるが、土地情報までは把握しとらん」
んんん?何言ってるんですかこの人は。
「なんじゃ?文句あるのか?転生先の場所指定は細かく出来ぬ。せいぜい危険なところ以外とかそういう条件しか指定できん。それが唯一のリスク的なものなのじゃが……ま、当分野宿じゃな。安心しろ。危険なモンスターはいない。ただ……この森が相当広いとなると………長居はヤバイの…」
この森で、俺はしばらく暮らさなきゃならないのか?………日本の文化レベルから一気にゼロになったこの森で……?
俺はこの現実を受け入れられなくなり、本日二度目の気絶を記録した。
「おーい!急に倒れてどーしたのじゃー!?起きろー!起きろー!お主が気絶してる間の世話大変じゃったんじゃぞー!またさせる気かー!ワシもうやりたくないから早く起きろー!!」
ああ、早く楽な暮らしがしたい…………
俺も現実逃避したい