第2話 目醒め
(一体ここは…)ーーーー
ーーー私は死んだ。
私はいわゆるマジシャンとして生計を立てていて、“世紀の奇術師”なんて呼ばれていた。しかし10月31日 私の人生で一番大掛かりな脱出マジックに挑戦したが失敗。入念に準備を重ねていたにも拘らず死んでしまった。
そして、気が付いたら幽霊か魂か、実在のない意識的生命体として現世を彷徨っていた。
最初の一週間は自分の葬式に行ってみたりしたが…非常につまらない。
その後成仏も出来なく彷徨うしかなかったので、同じ様な仲間が居ないかと心霊スポットを巡っていた。山奥にある神社を最後に訪れたはず…ーーー
そこまではハッキリと記憶がある…
そうだ、確か神社から外れた所にある祠から光が出てたんだ。それが気になって近づいたら吸い込まれて…
気が付いたらこの見たことも無い場所に来ていたみたいだ。
辺りを見渡す[実体を持たない為この表現が正しいかは分からないが]と、辺り一面が草原なのが分かるが…日本にこんな場所は無い、まして山奥にいた事から考えてもこんな場所に居るのはありえない。
明るさから考えるに、今は夕方頃らしい。段々と暗くなって行くのが分かる。
死んでいる以上時間にゆとりはあるがずっと草原に居ても仕方ない。そう考えた私は恐らく都市があるだろう光の元へ向かう事にした。