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小さいがいっぱいの短編集

小さいきっかけ

作者: 夕凪すてら

1年前――。

新任したての春のこと。


私はある男の子が気になった。


男の子は、両親が共働きをしているため、いつも預かり保育の終了時刻までぽつりと座っていた。

だから、一緒にいる機会も自然と増えていた。


基本、表情は変わることがなく、口を閉ざしたまま。

どの先生が話しかけても、それは変わらず。

いまでこそその男の子と仲良く会話をしているけど、その当時の私も当然同じ結果だった。


でも、我慢の限界が訪れたのは、男の子の保護者から迎えが間に合わないと連絡がきた日のことだった。


表情は崩れ、涙が頬を伝っていく。

ティッシュで拭っても、拭っても、止まることはない。


どんなに我慢強くても、やっぱり子ども。

身体的にも、精神的にも脆い。

支えてあげたい。


男の子を抱き寄せる。


――大丈夫!


――センセーがいるから、寂しくないよ!


と優しく諭す。


髪はサラサラで、肌はぷにぷに。

癒される。

ずっと触っていたい。


男の子は泣き疲れたのか、私の胸でぐっすり眠る。

無愛想だった顔も、寝顔は喜楽に変化し年相応に可愛い。


男の子はただただ寂しかった。

でも、その気持ちを悟られると保護者に心配をかける。

だから、寂しさを隠すために心を閉ざしたのかもしれない。


そう考えるとこの一件は、男の子の仮面を破り、私と男の子が仲良くなるきっかけになった。

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― 新着の感想 ―
[一言]  仲良くなれてよかったです。先生にとっては園児は息子さながらにかわいいのかもしれません。
2017/05/08 17:46 退会済み
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