表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
昨日宰相今日JK明日悪役令嬢 恋愛陰謀増々版  作者: 北部九州在住
王室法院の2番目に長い日

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

110/119

97 子供の悪戯の謝罪

 世界樹の花嫁についてついに貴族たちが騒ぎ出している。

 世界樹の花嫁がビッチでないと豊穣の加護が得られないという理由は、貴族たちが推し進めてきた世界樹の花嫁のサロン化を徹底的に破壊するからだ。

 貴族による血統支配が進んでいるオークラム統合王国においてこの真相暴露は、貴族子女達のあり方すら変えるものになるだろう。

 それを貴族たちは許容できない。

 大賢者モーフィアスの失脚は本来それが絡んでいるはずなのだ。

 ……本来ならば。


「おかえりなさいませ。

 お嬢様。エリー様」


「ただいま。

 エリー様かっこよかったんですよ」


 一緒に戻ったミティアの相手をするアルフレッドの顔を見に戻ったなんて言うつもりもないが、心が落ち着いてゆくのが自分でも分かる。

 彼を英雄にしないために頑張っているのだ。

 己の目標を再確認した後、控えていたセリアに声をかける。


「この後枢密会よ。

 大賢者モーフィアス殿を呼ぶそうで、少し時間があるからお茶にしましょう」


「私も手伝うわ」


 そういえば、アマラ貸し出したのでメイド姿だったな。

 この部屋に結構な人数が居るので一人ではきついというアマラの気遣いだろう。

 二人のメイドがお茶を入れに部屋から出てゆく。

 私は姉弟子様と向い合って、お師匠様のダイイング・メッセージを考えることにした。


「『モーフィアスって誰?』と来たか。

 なかなか哲学的な問いかけよね」


 姉弟子様の言葉にそのモーフィアスの弟子であるサイモンが反応する。

 このあたりがあるから、私と姉弟子様は言葉を注意深く選ばないとならない。


「モーフィアス様はこの国で誰もが知っている大賢者です。

 何を今更な事を言っているので?」


 うむ。

 私達よりモーフィアスに接していた人間がここにいるな。

 サイモンから情報を引き出してみよう。


「その大賢者がどうして枢密会に召喚されるのよ?

 あの人そんなに敵多かったの?」


「天才というのは理解されないものだし、あの方は力もありました。

 凡人の妬みなんていくらでもあったでしょう」


 サイモンの言葉を聞いて私と姉弟子様は作戦の失敗を悟る。

 考えてみれば、私や姉弟子様が師匠の悪口や都合の悪い情報を漏らすわけもない訳で。

 けど、判断材料が欲しいから、サイモンから見た大賢者モーフィアス像なるものを吐き出してもらおう。


「サイモン卿は弟子をやっていたのだから、修行なんて大変だったでしょう?」


 姉弟子様がまずは誘い水を向ける。

 占い師は依頼者の知らないうちに依頼者の情報を集めるのが必須スキルとなっている。

 この手のトークは私も姉弟子様もお手のものだったり。


「そうでもありません。

 大賢者はできない事をさせるような人ではないですから。

 中々お会いすることはできないが、会った時に課題を与えられるのです。

 それができれば次の課題をという訳なのですが、一人ひとりに与えられた課題が違っていたりします。

 あのお方が我々一人一人を良く知って、その適性に合わせて教えてくれている証拠でしょう」


 思った以上に優れた教育者らしい。

 彼によって才能が開花した連中が多く居るという事は、それだけ慕う人間が居る。

 コネがあるという事だ。

 何しろこの国の魔法の頂点を極めた人なだけに、コネは無駄なほどに広い。

 おそらく、魔術学園だけでなく近衛騎士団、法院衛視隊、各騎士団、ヘインワーズ騎士団ですら大賢者モーフィアスのシンパがいると見ていいだろう。

 そんな相手を敵に回しての政争なのだから、最悪彼を取り逃さないように拘束する必要すらあるかも知れない訳で。

 で、そんな師匠を売ろうとしているのだから、さすが未来の魔族大公である。


「シド。

 フリエ女男爵の所に伝言お願い。

 『警戒を要す』。

 彼女はそれだけで分かってくれると思うわ」


 あえて何に対しての警戒を指示したのかぼかした命令に、盗賊の勘が働いたのかシドがニヤリと笑う。

 が、何も言わずに伝言を告げるために部屋から出ていった。

 私たちに見せた、大賢者モーフィアスの大名行列の参加者は文字通り彼の最後の手駒であり、最精鋭なのだろう。

 そんな彼らと一戦を行う可能性をシドも、フリエ女男爵も感づいて大賢者モーフィアスのシンパを外して警備をするだろう。

 ここで厄介なのが、王室法院の警護は当たり前だが法院衛視隊の独断場という点。

 フリエ女男爵は近衛騎士団だから、法院衛視隊の内部に介入できない。


「お嬢様。

 よろしければ、少しお時間を頂きたいのですが?」


 考えている私に、サイモンが頭を下げる。

 何をと尋ねる前に、サイモンは私にその理由を告げた。


「ここに昔の同僚がいるので少し挨拶をと」


 そういえば、今は私の護衛騎士だけどサイモンは元は法院衛視隊出身だったな。

 そのコネを使って、内部を引っ掻き回すつもりらしい。


「いいわよ。

 いってらっしゃい」


「失礼」


 サイモンが出て行くと、私はアルフレッドを呼び寄せて耳元でささやく。

 我ながらこの手の話に慣れたものだと自嘲しつつも台詞はすらすらと出て来る。


「アルフレッド。

 アリオス殿下から命令書をもらってきますから、貴方はそれを持って法院から出て、花宮殿の近衛騎士団に行ってちょうだい。

 王室法院と王都南壁騎士団の間に兵を伏せておいて。

 怪しい奴が出たら、捕まえるように」


「お嬢様。

 それで抵抗されたら?」


「逃してあげなさい。

 それで南部諸侯が叩けるわ。

 これもアリオス殿下に了解をもらってきます」


 王宮は近衛騎士団が、この法院は法院衛視隊が押さえている。

 シンパを排除できたならば、彼が逃げる場合このルートしか無い。

 これで、彼の未来が決まるだろう。


「了解しました」





 アルフレッドに言った命令書をもらいにアマラを連れてアリオス王子の所に出向いていたら、いきなり抱きつかれる。

 小柄な抱きついてきたものを離すと、涙目のカルロス王子がいた。


「た、助けて……」


 あの生意気そうな顔はどこへやら。

 すっかり怯えて、抱きつかれた体から怯えの震えがこちらにも伝わる。

 彼が何を言おうとしたのか、そこから先の台詞をあえて手で止めさせる。

 ここは王室法院で、どこで誰に聞かれているか分からない。

 それに気づいたカルロス王子が怯えた目で私を見つめている。


「セドリック殿下の所に行きましょう。

 それでいい?」


 私の手を掴みながら、カルロス王子は小さく頷くのみだった。




「で、俺の所に来たと」


 王室専用の控室。

 アリオス王子は専用の部屋を持っているから、ここにいるのはセドリック王子とカルロス王子の二人。

 事が事だけにアマラにサイモンを呼びに行かせて、セドリック王子に事情を説明してカルロス王子の話を聞くことに。


「母上と一緒にここに来たんだけど、僕、聞いてしまったんだ。

 物陰だから姿は見えないけど、僕をさらって南部に行くって」


 カルロス王子を押さえて、南部で蜂起するつもりなのか?

 とにかく、カルロス王子がそれに気づいてこちらに飛び込んできたのはラッキーだった。


「で、逃げてきたと。

 何で私を?」


 ここだけは聞いておかないといけないだろう。

 それによって、私の立ち位置とカルロス王子の運命が決まる。

 そして、彼の運命は生存と出た。


「前にサイモンが言っていたんだ。

 何があっても、エリー子爵を落とせって。

 彼女はきっとこの国の重鎮になる。

 味方にすれば、見捨てないだろうって」


 私の目が細くなるのが分かる。

 額に手を置いて、本人に確認を取ってみよう。


「そんな事言ったの?

 サイモン卿?」


「ええ。

 私は貴方を買っていましたから」


「!?」


 気配を殺して現れたサイモンにカルロス王子が怯えるが、お互いカルロス王子の事は蚊帳の外。

 本人は寝返りを公言しているけど、わざわざここでばらしてカルロス王子を更なる人間不信にする必要もないだろう。

 なんとなく感づく。

 サイモンの権力の源泉は、ロベリア夫人の愛人としてロベリア夫人を動かすことによって得られていた。

 だが、大賢者モーフィアスがロベリア夫人を押さえた今、カルロスの価値は暴落している。

 それを彼が予測していない訳がない。


「こうなる事を知っていたわね」


「まさか。

 最悪の事態を想定したまでの事」


 目線と語気を強める。

 有能であり野心家であり、自分しか信用していない男だ。

 使い潰すというか飼い殺す事ができるか?

 確かめてみよう。


「セドリック殿下は貴方を信用するみたいだけど、私はどうも信用できないのよね。

 だって、出会いが最悪でしたし」


「ご容赦を。

 卑怯な手とは自覚していますが、悪魔の囁きに乗ってしまいました」


 あんた魔族のハーフやん!

 そのツッコミが口に出せたら……出せたら……


「もういい!

 エリー子爵。

 俺は彼も信用すると決めている。

 それで騙されたらそれまでの男だ」


 楽しい腹黒会話に横槍を入れてきたのはセドリック王子だった。

 ここから更に楽しくなる所なのだがと思っていたら、セドリック王子がいきなり拳骨をカルロス王子の頭に叩きつける。


「!!」

「!?」


 成り行きについていけない私達腹黒二人に対して涙目のカルロス王子と同じ目線に腰を下ろす。

 そして、涙を貯める彼の目をじっと見つめて諭した。


「カルロス。

 お前はまずしないといけない事があるだろう。

 悪いことをしたならば、謝る」


 カルロス王子の顔が崩れ涙が止まらない。

 それでも精一杯の虚勢を張って、カルロス王子は私に頭を下げた。


「エリーおねぇちゃん。

 ごめんなさい……」


 そして泣きだしたカルロス王子をセドリック王子が抱きしめてあやす。

 結局、彼も傀儡で子供だった。

 彼が本当に欲しかったのは、悪戯を叱ってくれる身内だったと。

 叱って欲しいが王族故に叱れず、更に悪戯が過激になり、それを悪い大人達につけこまれて陰謀に深入りしたあげくの果てがこれだ。

 私もサイモンも冷めた目でこのホームドラマを眺める羽目になった。


「で、どうします?」


 あえて何をと聞かない所がサイモンの有能さで、切り捨てているカルロス王子を誰に売るかという相談に他ならない。

 ここで南部諸侯にわざと突き出して弱みを握るというのもありだが、その手は私の流儀ではなくサイモンの流儀だ。


「アリオス殿下に頭下げるしかないでしょう。

 セドリック殿下。

 私がとりなしますから、この二人しっかりと使いこなしてくださいよ」


 私の投げやり声に、セドリック王子は毅然として拒否した。

 立ち上がって、こぶができたらしいカルロス王子の頭を撫でながら、私に茶目っ気のある笑みをみせる。


「駄目だ。

 これは俺の仕事だろう」 


 この人もまた王室の一員としての責任を持っている人間だった。

 いや、この一連の件で自覚が出てきたと見るべきか。

 ならば、手を差し伸べるべきだろう。


「アリオス殿下にこっちに来てもらいます。

 善後策を協議しないと。

 それと、アリオス殿下に一つだけ効果のある言葉をお教えしますわ」




「で、この騒動という訳ですか」


 一部始終を聞いたアリオス王子の総括である。

 フリエ女男爵は話の途中で手配に追われて去り、サイモンもフリエ女男爵についていって南部諸侯の情報提供をしているはずだ。

 売れる時に最高値で売り払えるからこそサイモンは手強い。

 アリオス王子のカルロス王子を見る目は冷たい。

 事実、良くて幽閉、悪ければ殺害までいきかねない火遊びだった訳で。

 だが、カルロス王子をかばったセドリック王子は惜しげも無く頭を兄に下げた。


「すまなかった。

 カルロスは俺の下できっちりと監視させ、迷惑はかけないようにする」


「正直、先の事より今の不始末だと思うのですが。

 エリー子爵に迷惑をかけ、南部諸侯の跳ねっ返りに火をつけたカルロスを処断しない理由がない」


 グラモール卿がわざと出す殺気にカルロス王子が怯える。

 だが、元騎士としてセドリック王子は押されてはいるが一歩も引かない。


「理由が必要か?兄上。

 ならば、それを作ろう」


 セドリック王子の顔色が変わったのを私は見逃さなかった。

 なお、この策を献策して激怒しかかったのを知っているだけに、彼にとって苦渋の決断であるのは間違いがない。


「兄上には貸しがある。

 私をこの場所に引きずりだしたという貸しが。

 それを返していただきたい」

 

 セドリック王子の声を抑えた言葉にアリオス王子が息を飲む。

 セドリックの王子の言葉の意味に気づいたアリオス王子があえて踏み込んだ発言をする。


「いいのか?

 お前が入れ込んでいた女と別れる事になるんだぞ」


 このタイミングだからこそできた取引があった。

 セドリック王子がメリアス太守に就くことで、最低でも彼には諸侯の椅子が用意される事になる。

 だが、ここでアマラの存在が問題になる。

 彼女が華姫ならばまだ良かった。

 だが、アマラは華姫ではない。つまりセドリック王子の子供が産めるのだ。

 彼女が華姫になるのを待ってもいいが、お家争いの種になりかねないアマラと今ここで別れる事を切り出す事で取引ができると私が吹き込んだのである。

 アリオス王子の確認にセドリック王子が静かにキレた。


「いいわけないだろう!

 あいつは誠実なやつで、俺との愛も本物だった。

 けど、それを捨てる事でカルロスが助けられるのならば、そうするさ!!」


 セドリック王子の目から涙が溢れる。

 この人はまだまともだからこそ、ここでの取引は破壊力があるのだ。


「もう沢山だ。

 恋人を失いかけたり、父や弟を疑ったりするのは。

 愚か者と呼ばれようが、泣きながら助けを求めてきた弟すら見捨てるなんて俺にはできない!」


 声をつまらせて嗚咽を堪えるセドリック王子にアリオス王子がため息を吐き出してこっちを見る。

 この裏取引のたね元が私であることを理解して、アリオス王子は無言で私に説明を求めた。


「この後の法院枢密会で、世界樹の花嫁が問題になるのですが、彼女がクローズアップされるとまずいんですよ。

 華姫と花姫の違いは調査報告書に書かれているので省きましょう。

 枢密会では大賢者モーフィアス様が直々に説明するでしょう。

 ここで、誰かに彼女が花姫ではと勘ぐられたら……」


 私はあえて説明をそこで止めた。

 華姫ならば子供はできない。

 花姫だと世界樹の花嫁になる資格が発生する。

 そうして、世界樹の花嫁が『花嫁請願』を行ったらどうなるか?




 アリオス王子が、私にクーデターをもちかけたように。




 こうなったら、カルロス王子の火遊びが誘爆してセドリック王子が『花嫁請願』で王位を狙ったと密告されかねず、この小火が炎上したら二人共粛清しないといけなくなる。

 ただでさえ、世界樹の花嫁はビッチでないと豊穣の加護が得られないという爆弾発言が出るだろう枢密会の場だ。

 定例会でしくじった南部諸侯は元が穀倉地帯なだけに私とミティアのビッチ調教を求めるだろうし、本物の王位継承者であるミティアのビッチ調教なんてアリオス王子とベルタ公が認められる訳がない。

 これにアマラが絡み、しかもセドリック王子の愛妾だったなんて出てきたら話がどう転ぶかわからなくなる。

 そこだけに議題を集中させたかったのだ。  

 私の説明にアリオス王子は苦笑する。


「わかった。

 こちらの落ち度もあるし、我が弟が王室の一員として最初の仕事をしたのを祝福しよう。

 セドリックにカルロス。覚えておけ。

 この場所はこんな事を常にせねば生きていけぬ魔窟だと」


 それだけ言って、アリオス王子はグラモール卿を連れて部屋から出てゆく。

 私も一礼してアリオス王子達の後を追った。

 背中越しにアリオス王子が私に声をかけてくる。


「甘い人ですね。

 貴方は」


「ええ。

 ですから、悪役なんてやっていますのよ」


 アリオス王子の肩が震えたような気がしたが、私は見なかったことにしてあげた。

 アリオス王子の『ありがとう』という呟きも、聞こえなかったように。


「いたいた。

 お嬢。報告だ」


 背後に気配がしたと思ったらシドが現れる。

 このあたりさすが盗賊と感心したり。

 アリオス王子の控室にそのまま入って、アリオス王子にも聞かせる事を目で告げるとシドは報告を口にする。


「サイモン卿からだ。

 法院衛視隊がカルロス殿下を誘拐しようた連中を捕まえた。

 流民出身の盗賊崩れで、人さらいとして雇われたそうだ。

 どうも何を攫うか聞かされていなかったらしい。

 もちろん、背後関係は不明で取り調べているが、尻尾は出さないだろうよ」


 さっきまで居たのにあえてこの話を持ち出さないあたりサイモンの才能と仁義が分かる。

 アマラの件の一件をシドに漏らして、シドにも報告で功績をつけた形になるからだ。

 サイモンの情報をうまく言葉を隠しながら大事な要点だけをシドは告げる。

 思わぬファインプレーに私は両手を握りしめる。

 同時に、カルロス王子に接近して人さらいに渡す接触者がいる事を示唆している。


「セドリック殿下の警護を強化します」


 グラモール卿がひと声かけて出てゆく。

 王室関係者の警護は近衛騎士団の専任事項だ。

 これを使って法院に手駒を入れるつもりなのだろう。

 状況は水面下で激しく動いている。

 こちらの優位には見えるが、何処で逆転するか分からない。


「シド。

 一緒に行って頂戴。

 そのまま、この命令書を持ってアルフレッドの所に行って法院周囲の警護を。

 法院衛視隊の邪魔にならないように、何か言われたらアリオス殿下の名前を出して頂戴」


 アリオス王子が書いた命令書を手渡して、シドとグラモール卿が部屋から出て兵を呼びに走る。

 まだまだ騒動が続くが、せっかくのチャンスだ。

 アリオス王子に確認をとっておくことにしよう。


「大賢者モーフィアスに勝てると思いますか?」


 アリオス王子の言葉はある意味予想していたものだった。

 そこからにじみ出る葛藤や対立の苦悩は私には踏み込めない。それも王となる試練だからだ。

 私はそうやって王になった人を知っているからこそ、私はあえてその確認をする。

 答えは、私にとって満足できるものだった。 


「子が親を超える。

 弟子が師匠を超える。

 それは最高の孝行でしょう?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ