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勇者としての覚悟

 赤い髪の少女は僕を半ば引きずるようにして、黙って歩く。かなり早足で歩いているため、追いつくのがやっとだ。そして手首が痛い。


「どこまで行くんですか」

相当歩いただろう。しかし、かなりの距離を歩いた成果この世界の事が少しわかってきた。まず、この世界には「月」のようなものがないらしい。夜空を見上げてみても何もない。しかし、空に炎が浮いていた。どうやら気球を空に飛ばしているようだ。その気球の中にある炎がゆらゆらと揺らぎ、僕らを照らしている。


「お前の世界は、光であふれていたな」


「え?」


不意に少女が言った。呟くような声だった。


「私はこの目で見た。空に輝く光の粒や、黄色い球。どれもいい光だ。見てわかるだろ。こっちの世界にはそんなものはない」


言い終わると同時に彼女は立ち止まる。振り向いた少女は、僕の目をまっすぐに見つめた。光が十分にないせいで表情までははっきり見えないが、彼女の顔は悲しみであふれているようだった。


「私はこの国を守ると姉さまに約束した。お前は、勇者としての覚悟はあるのか」


決意がこもった黄色い目。僕はその目をしっかりと見つめた。


「僕はただのサラリーマンだけど、でも、出来る限りの事は尽くしたいと思う」


これは本音だった。少女と歩いている間、僕の心は揺らいでいた。僕は昔からどうも勇気というものが人より小さい。だからいつも誰かの後を追いかけて先に敷かれたレールの上をただ歩いてきた。


でも今、僕は決めた。この少女やシュメル国の人々のために僕は勇者として戦う。きっと今までの自分を変えられる。そう思えたんだ。


でも、と僕は後をつけた。


「自信はない」

これもまた本音だった。前より少し勇気は着いたかと思ったが、やはり自信はつかなかったようだ。


僕が言うと、彼女は小さくため息をついた。そして、僕の手を握る手に力を込めていう。


「では、修行だ」


くるり、と前を向き彼女は手を離した。


一瞬彼女の顔がほんの少しだけ笑っているように見えたのは、きっと気のせいではないだろう。



少し行を開けてみました。


まだまだ未熟なもので文章も幼稚ですが読んでくださった方に感謝!

感想等有りましたら是非お願いいたします。

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