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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ラヴクラフト御大は萌えクトゥルフというジャンルに対し大層困惑されているようです

 諸君、はじめまして、と言うべきかな? みんな大好きハワード・フィリップス・ラヴクラフトだ。

 何かが違うか……? まあいい。とにかく、私はかの有名なラヴクラフトだ。クトゥルフ神話で有名なあのラヴクラフトだ。

 死んだんじゃないのかという疑問もあるだろうが、なに、簡単な事だ。


 トリックだよ。


 まあ、嘘だよ。

 本当の私は君達の親友に化けているわけでもなく、他の惑星の生き物と精神を交換して精神だけが生きているわけでもない。

 まあ、どちらかといえば後者に近いがね。

 今の私は、ニャルラトホテプの力を借りて、ダウナーでナードな自称マジシャン(享年31)の体を借りている。享年と書いたからには、青年の体は既に死んでいるのだよ。

 今の私は死んだ青年の魂を生け贄に……いや、最近の言い方をするならば、青年の魂をリリースして、一時的に青年の体を借りている状態なのだ。

 ニャルラトホテプが、私が取り憑いてもいいように準備をしたのだが……まさか、1年もかかるとはね……

 まあ、今は愚痴を言っても仕方がない。

 私が泉下からはるばる蘇り、はるか極東の黄色人種の国へ来た理由を教えようか。

 まあ、単刀直入にいってしまえば、ニャルラトホテプ曰わくここ極東(私の時代では大日本帝国と若干偉そうに名乗っていたわけだが、アメリカに戦争で負け、今は謙虚に日本とだけ名乗っているらしい。どれ、ジュースを奢ってやろう。)の地にて、私が作り出した(便宜上そういうことになっている)作品群が面白いことになっているというのだ。

 一年前、泉下に眠る私の魂を叩き起こしに来たニャルラトホテプには感謝せねばあるまい。

 私の息子のような作品群の行く末を……恐らくは親愛なるダーレスが広く世に知らしめたのであろう作品を……私は、今その目で見届けねばなるまい……

 それが、私の義務であろう……

「……ところでニャルラトホテプよ……これはどうやって動かせばいいのだ?」

「えっと……それ、マウスを動かして……いや、ニャーがやるニャル」

 そういって異形の神にして這いよる混沌である彼……と、原典であれば表記すべきだが、私としては非常に残念なことに、黒髪で給仕服メイドふくの美少女である彼女は私の手から『マウス』という、とてもネズミには見えない機械を奪い取り、適当に操作をした。(私にはそう見えた)

 ところで、かつての私の文章を知る者にとっては今の私の文章を物足りないと感じるかもしれない。


 これが素の私の文章だ。


 かつての私は自信がなかったため、ゴチャゴチャとした前置詞やらなにやらで、描写を誤魔化してきた。

 だが、今の私は違う。もう私は絶望などしない。何故なら、私には大いなる実績があるからだ。

「ラヴクラフトー、とりあえずあんたが死んだ後の事について調べたニャルから」

「心遣いをありがとう、ニャルラトホテプ」

 原典の彼女は人類を笑いながら破滅に追い込む人格破綻者やイタズラ好きのトリックスターという描写が多い。だがしかし、私の好みを性格も含めてありのままに描写しただけに過ぎないのだよ。

 だがしかし……残念な事に私と接する時にはまるで人が変わったかのように、全然といって良いほどに私にはそういった事をしてはくれないのだよ……

 何故に私を気持ちよくしてくれないのであろうか……私は、私が苦しみに悶える姿を見て心の底から嘲笑わらう彼女の顔を見たいというのに……

 閑話休題、考えごとは後にしてニャルラトホテプが調べた資料を読むことにしよう……時間はたっぷりとあるが、資料はそれ以上にあるからね……


「なるほど、やはりと言うべきか……私の愛弟子のダーレスが広めていたか……」


 クトゥルフ神話そのものに対するネタバレとともに。彼はよかれと思ってだろうが。


 ……私はね、後世にて私の本をまとめて買った読者に、違和感を感じさせ、その違和感に気づきそして恐怖させるために、あえて別の題をつけて表面上は別々のものとして作品を出していたつもりなのだが……

 それに何なのだ、この属性区分は。この肉体の記憶を辿り、それを基に発言するとすれば少し厨二病チックではないか。

 ……まあ、生前少し黙認していた以上、今更どうこう言うつもりはない。

 むしろ、感謝せねばなるまい。私の作品群を埋もれさせることなく、今こうして2013年の今まで残した事を……

「じゃあ次は……比較的普通の物語ニャル」


「ふむ……クトゥルフの娘、か……」

 あえて作品名は伏せるが、今風に言うならば主人公無双。俺TUEEEEEEが少し入っているが、悪くはない。

 むしろ私好みでさえある。

 この無茶苦茶具合……今からでもオマージュして書きたくなってきたくらいだ。

「ニャルハハハ、ご満悦のようニャルねぇ、じゃあ衝撃な真実を教えてあげるニャル! 今から20年弱前の作品、ここから全部狂い始めたニャル!」


「Oh……Japanese is very crazy……」

 タイトルだけとはいえ、なんちゅうことをしてくだはったんや……

「イヒヒハハ、ここから先、アトラク=ナクアといえばセーラー服のお姉さまのイメージになるくらいに強烈なインパクトだったニャルからねぇ! 次でビックリして心臓止めちゃ駄目ニャルよ!」

 覚悟は出来ていたとはいえ、なんたることか……クラーク氏の7つの呪いでは橋を作っていた巨大蜘蛛であったアトラク=ナクアが……まさかあんな……


「…………」

 もはや言葉すら出てこない……

 私は何も言わず、震える手で眼鏡を外し、電脳箱パソコンの画面の上にそっと置いた。

 機械巨人ロボットとなった邪神には目を瞑ろう。幼女化した魔導書がヒロインというのも、タイタス・クロウの物語を認めた以上、仕方がないから容認しよう。

 だが……

「ニャルラトホテプがオッパイプゥルンプルン! なんと冒涜的な電脳遊戯ゲームか!」

「その叫びは何かの嫌がらせニャルか! 嫌がらせニャルか! 胸の小さいニャーに対する嫌がらせの叫びニャル!?」

 オッパイプゥルンプルンでないニャルラトホテプが涙目でなにやらうるさいが、そんな事はどうでもいい。異形になって出直してこいといった感じだ。

「更に更にィ豪華特典としてェ! 同年代の同メーカーからの作品をみせるニャルー! これでひんぬーに洗脳されるニャルー!」


「Oh……さや…………か……」

 真っ白に燃え尽きたよ、ミスターウーロー……

 鬱ゲーの後に、ついでだからという理由で彼の脚本の別作品を見るものではないね……

 心がベキリと危なげな音をして折れたよ……

 こんな状況では満足出来そうにないね……

「あー……一応次はネット小説ニャルよー……いぇぇい……」

「ウェェイ……」

 下がったテンションのままに、次の作品へと手を出した……

 まさか、それが大失敗とは知らずに……


「ツァトゥグァさんprprprpr! イタクァさんpr、ティンダロスprprprprprpr!! ショゴスさんprprpr!」

「うわぁ……ラヴクラフトが壊れちゃったニャル……」

 人の型した異形可愛い! みんな人型可愛い! でも私はやっぱりバイアクヘーさんかオトゥームちゃんだな! 次点ではハスターさんだ!

 ワハハハハ! 人外最高! ところで、エルダーシングとのムフフなシーンはないのかな?

「いい加減にするニャル!」

「イェァァァァァ!」

 わたしは しょうきに もどった!

 はっ……私は今何を……? ……なにはともあれひでぼん爆発しろ

「一応あと2つ……疲れたから一気に読むニャルよ……」

 確かに、気が付けばもう最初の作品から18時間が経っているではないか……! おおっと、これはまずい……

「かなり最近のニャルから……」


「フルフォースニャル(♀)可愛いな、prprprprpr……だが幼女なシャンタク鳥、お前は駄目だ」

「まるで意味が分からないニャルよ! ラヴクラフトの萌えの基準がサッパリ分からないニャル!」

「異形ならだいたいストライクゾーンなのだがな……」

「思いっきり大暴投な場所ニャル!」

 叱られてしまった……しかし、緑髪で眼鏡の不人気そうなババアの彼女もなかなかに良いものだ……


 クトゥルフが会社扱いにされて、更にクトゥルヒというのがそこの社員の通称でなければだが。


 しかし、つくづく御しがたいものだ……この不自然なせりふ回しといい、もはや感想文とでもいうべき体臭の描写といい……

 だが、しかし……


 体臭感想文に関して言えば、作者とはいいアイスクリームが食べられそうだ。


 もちろん、彼が頼むのはラムレーズンであろう。

 バウムクーヘンに『のそっ』と載せたラムレーズン……よし、後で食べに行くとしようか。

「……次ニャル」

 呆れ果てた顔でニャルラトホテプが呟くが、今の私にはどうでもいいことだ。


「…………ショゴスのメイドが欲しいのだが……どこで買えばいいかな?」

「正気に戻るニャルこのヒキニート作家()」

 真顔で尋ねたのが悪かったのか、口悪く返されてしまった。

 別に良いではないか……誰しも憧れるハズであろう。メイドのいる生活には……


 ただし、ブラックメイドなニャルラトホテプを除く。


 幼い頃から世話をするフリをして私を暗黒側に引きずり込んでいったニャルラトホテプという名のメイドは必要ない。

 いいものを見つけたと言わんばかりの笑顔で、部屋の隅に置いてあったなにやら錆のような匂いのするガラスの灰皿を手に持ったメイドはいらない。

 ショゴスのメイドが欲しい。だが、ニャルラトホテプのメイドはいい。


「おまけにもういっこニャルよ」

「ああ、大丈夫だ、問題ない」

 頭から血を流しながら言える台詞ではないだろうが、逆に考えて欲しい。


 生前から数々の絶体絶命な事態に陥ってきた事からの余裕の現れである、と……


 とどのつまり、これくらいでは私は動じない。

 私を動じさせたければ、萌えクトゥルフというジャンルから恐ろしい作品を輩出させればいいのだよ。


「アッパイアッパイ……マジアッパイ……」(訳 どういう……ことだ……)

 ついつい未来か過去の言語を使ってしまったが、こればかりは仕方があるまい。


 私が美少女にされていた


 ……何を言っているのか理解出来ないかも知れないが、私自身まるで意味が分からない……

 しかもちゃんとクトゥルフ神話しているのが余計に分からない……

 擬人化だとか宇宙人化だとかはもう既に通り過ぎた道だが、予想外過ぎて理解が追いつかないのだ……

 しかし、最近の作品を読み、そして遊んだことで分かったことがひとつある……


 日本人ははるか未来に生きている。


 やはりと言うべきか、200年も一つの王朝が続いたと思えば、あっさりと王朝を解体し、政府を作ったあの日本人の子孫なのだ。

 すばらしくも恐ろしい行動力であろう……

 よし、この恐ろしき国であれば、きっと新作のイデアもフジョしてくるだろう。

「……少し外に出かけてくるから留守は頼んだ」

「え、今からニャルか?」

 今から……午後の7時? だからどうした! 私は宇宙的恐怖神話の創始者、ハワードフィリップスラヴクラフトだぞ!

 妖怪や怪異の一体や二体、なんのその!

 いも




「はぁ……まるで成長していないニャルね……」

 そう呟きながら、ニャーは『今まで誰も住んでいなかった曰く憑きの部屋』の掃除に取りかかった。

 ちなみに1年間の準備は物件探しと人体錬成、それと舞台作りニャル。

 1億ムカつきポイントどころか9999京ポイントぐらいなら数えるニャーにとって、1年の準備期間なんてあってないような物ニャルよ。


 まあ、ついついどこかの小さな企業を操ってホムンクルス作りを手伝ってもらったニャルけど、ラヴクラフトのための必要悪ニャルよね?

 まあ、もしもどこかの正義な誰かに研究所を解体されたら因果応報ニャルけどね。

 そもそもニャーが頼んだのは男のホムンクルスの作成なのにそのノウハウを流用して女のホムンクルスを創り出そうとするわ(ちなみにニャーはノー野郎に睨まれたくないからそこで抜け出したニャル)、交渉(もしくは脅迫)材料も社会的にも法律的にもアウトな悪事をバラされたくなかったら(略)みたいな感じニャルからね。

 流石のラヴクラフトも、恐ろしい秘術で生み出された空っぽの人体よりもどこの馬の骨か分からないウィザード(30)の方が良かったはずニャル。まあ、確信をえられないのがラヴクラフトの怖いところニャルけどね。


 そんな事を考えながら、ラヴクラフトの部屋の掃除を終えると、ニャーのための部屋のに戻って目に付いた一冊……ひでぼんの書を読むことにした。


 あ、最後のひでぼんのはエロいブックス!ニャルから未成年は調べちゃ駄目ニャルよ?

 ……ふぅ、未成年への配慮を忘れないとは流石ニャーニャル。一切合切燃やし尽くして少なくとも3度は歴史を変えたクトゥグなんたらとは大違いニャル。

 あとがき?今日はニャーのおもちゃニャルよ。作者が未完少女2巻読んでから手直ししてあげるって言ってたニャルけど……ニャー視点を最後に加えただけでカットされた部分が多すぎるニャル。

 お遊戯の王のサモサモ猫とかそういう危ない呪文カットはいいニャルけど、ニャーの視点書き換えはどういう……あ?あとがきの尺が残り少ない? チッ、じゃあこれで終わりニャル。

 え? 最後にステマしろニャルって? ……和久名が若干クトゥルフ物語の『流星(ほし)に願いを…』を掲載してるみたいニャルから気が向いたらそっちもよろしくニャル。ニャルラトホテプの出番がほぼないのは気にくわないニャルけどね。

 それじゃあまたいつか……出番あるニャルか?

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― 新着の感想 ―
[良い点] いろいろぼかしつつもタイトルはすぐ分かり、興味をそそるので上手い紹介の仕方だな、と思いました。 [気になる点] (サイトに対して)いつの作品なのか分かりにくい! [一言] ショートアニメ版…
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