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私は悪い人のまま

作者: 菜の花


あなたがいい人になったら

私が醜く見えるから

あなたは悪い人のままでいて


そう私が言ったからって

あなたが悪い人でいるのなら

あなたの優しさに

あなたの美しさに

胸が痛むから

やっぱりそのままでいて


あなたが笑ったから

私は落ち込んだの

あなたが泣いたから

私は少し嬉しくなったの


あなたに雨雲がかかるたび

私には光が差し込んで

葉に乗った露が

輝いて見える

太陽に架かるような虹が見える


それでも

あなたの涙を見ると

私だけが光に照らされていると

胸の浅いところで

ざわざわと何かが身体中を駆け巡り

指先から黒くなっていくのを感じる


その黒はあなたのせいじゃない

あなたが絶望に打ちひしがれて

涙を流したから

私が歪んだわけじゃない


私はあなたを

見下ろしたくなんかない

私はあなたを

見上げたくなんかない


どうにもならない傷痕を舐め合って

隣で寄り添っていたかった

ただそれだけだった


あなたが太陽の眩しさに負けて

海に沈むたびに

息がしやすくなる私を

どうしても呪いたかった


吐き気がして

消えてしまいたくて

あなたに負けたくなくて


沈んでゆくあなたの背中を押すことなんて

私はできないから

あなたに手を伸ばして引っ張り上げた


濡れた服も黒い髪も

顔や身体にべったりと張り付いたあなたを

思いきり笑おうとしたけれど

口から零れ出たのは

嗚咽だけ


あなたがひとりで消えることを

私は許せないから

悪い人になってほしいと願った私を

あなたは許してはいけない


一生生きて

その無駄に優しい心で

生涯私を呪い続けなきゃいけない


何度そう言っても

あなたは私を呪わない

呪えないだろう

その優しさで

私に渦巻く黒い何かを呑み込んで

君は友達だって笑うんだろう


だから

私があなたの代わりに私を呪う

あなたの優しさを呪いに変えて

私自身に背負わせる

私が悪い人でいるから


あなたは光へ行けばいい

私はあなたの影になって

あなたを際立たせるから

あなたは太陽と共に

笑っていればいい

ご覧いただきありがとうございました。


あなたは光、私は影。


誰かに届きますように。

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