表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

未来人を殺せ

作者: 緋西 皐

 もちろん地球は限界を迎えている。度重なる大気汚染、伴う地球温暖化、それから海洋汚染と処理できないゴミの山。言うまでもなくこれらは人類の責任である。人類の快楽のために地球を犠牲にしていい訳が無いのだ。

 だから世界は社会を変えようとした。それがうまく行かず、戦争が連なっては却って大地が破壊されてゆくばかりである。このままでは地球は遠からず滅亡する。今すぐにでも一人一人、その精神を平和的に、また賢くなるべきだ。人間が科学的に正しく、地球と共存しなければならない。人は欲望よりも真理を優先しなければならない。

 これら、専門家や教授、それから政治家の言説である。


 「その必要ないっすよ」


 え?


 「未来から来ました。未来人です。僕の先見の明で地球を救ってみせましょう」


 テレビ番組に出演したイケメンはそう言い切ってみせた。何かの冗談だろうと誰も信じなかったが、それから数日で海洋汚染が綺麗さっぱり無くなってしまったので、人類は未来人の存在を信じるより無くなった。

 なにはともあれこれで人類は安心である。未来人の技術が世界を救ってくれる――はずだったが、現在のニュースはむしろ危惧していた。流れてきたのは『未来人逮捕』である。

 専門家や教授、それから政治家が言うには、


 「未来人は地球を滅ぼす兵器を持っている。危険だから排除するべきだ」

 「未来人は現代から資源を奪おうとしている。戦うべきだ」

 「未来では核戦争が勃発した。彼らはそれを引き起こした人種だ。危険な思想を持っている。ただちに彼らを捕まえるべきだ」


 未来が平和である証明だったろうか。皮肉なことに未来人は現代人より劣っていた。

 さて、あの未来人は一体いつの時代から来たのだろうか。少なくとも核は過去の産物になっていそうだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ