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引きこもり18歳少女はパズルの世界に異世界転移?


「よし……。

これでランキングに載った」


あとはランキングの反映を待つだけ。


私の名前は『しずく』

人気のオンラインパズルゲーム『ぷるプレ』のヘビーユーザー。

中学卒業後、

私は通信制高校に進学した。

別にこれといって理由はない。

ただ……。

ちょっと人が苦手なだけ。


私の両親は共に在宅勤務。

両親共にコミュニケーションが苦手。似たもの家族っていうのかな?


私がぷるプレにはまったのは、通信制高校に進学後、たっぷりと時間ができたから。


両親も私がずっと家にいる事に、なんにも言わない。


多分……。

私が一生引きこもりでも構わないと思っているのかもしれない。


通信制高校卒業後、ずっと家でぷるプレをしていた。


一度だけ、父さんが

「父さんたちが元気なうちは、ニートでもいい。ご飯を食べさせる事ぐらいはできる。でも……。

もしもの時は、働く必要があるかもしれない。


今は在宅勤務の仕事も増えてきたから、少し頭に入れておきなさい」

と言っていた。


仕事なんか……。

したくないな……。

誰だか知らないけど、

働いたら負けって言ってたな……。

働くって何なんだろ。


『NOW ROADING……』


あれ……。


まだランキング反映されないのかな、うん?これスペル間違ってない。


たしかLOADINGだよね。


私は電子手帳に手を伸ばす。

その瞬間……。


ぐにゃりーーー


世界が歪んだ。

そして、

バキバキバキ

と背骨がねじれる。


なにこれーーー


スマホの画面が、薄暗くなり、紫色に変化し、そして……。

目の前が真っ暗になった。


あぁそうか、

私は知っている。

これはゲームの世界に転移するパターンだ。


でも、それって乙女ゲームとか、オンラインRPGとかじゃないの?

まさかパズルゲームの世界に転移なんて……。


まっいっか……。


ぷるプレの世界なら悪くない。


ーーー


「ローズマリーさん、ローズマリーさん、どうされたのですか?」


イタタタ……。

頭が痛い。

ここはどこだろうか?


「ローズマリーさん。どうされたのですか?謎は解けましたか?」


この人は誰だろう?

この服……。

タキシードなのかな?

アニメでよく見る執事の様な服装に、美しく整った顔立ちの男性、年齢は20代後半ぐらいかな。

女の子の格好したらキレイそう。


「あの……ここは?」

と私は尋ねる。


「ハハハ。ローズマリーさん、昨晩はまた夜更かしされましたね。

ここはギルドですよ」


「ギルドって?」


「あなたが所属されているギルドですよ。もういい加減にしなさい」


男は少し怒っている。

でも……。

怒った顔もキレイだ。


だめだ。だめ。

まったく何がなんだかわからない。

あっ私はパズルゲームの世界に来たのか……。


「あのここはぷるプレの中ですか?」


「ぷるプレ?何をおっしゃっているのですか?」


だめだ。話が通じない。

ラノベだとこう言う時、どうする?

あっそうだ。

「今日は何年ですか?」


「おかしな人ですね。今年は王国歴256年になります。

しかしローズマリーさん、本当大丈夫ですか?」


ローズマリーって誰のこと?


「あのローズマリーって誰の事ですか?私はしずくです」


「ハハハ……。

なかなか知的な返しですね。

たしかにローズマリーは、ラテン語で『海のしずく』を意味します。

それに掛けたわけですね。

なかなかエレガントですよ」


だめだ……。

この人には、何を言っても通じない。


ちょっと冷静になろう。


「あのすみません。お手洗いにいっていいですか?」


「どうぞ」


「すみません……。

お手洗いはどこに」


「忘れたのですか?

仕方がないですね。

こちらです」


私は執事風な美しい男に案内されて、お手洗いに向った。


男がギルドと呼ぶこの場所は、洋館のようだった。


お手洗いに入ると、先客がいた。

「すみません」

私は会釈をする。


ぱっと見ただけだったが、美しい少女だった。


なにも変化がない。

私は恐る恐る顔をあげると……。


そこには1人の美少女が立っていた。

私の姿はどこにもなかった。

もしかして……。

私は顔に手を触れる。

鏡の向こう側の美少女も、顔に手を触れている。

私は自分の服装を見る。

クラッシックな茶系の花柄のワンピース。

着慣れたスウェットの上下じゃない。


冷静になれ。

私……。

これはラノベでいう、身体が入れ替わったというパターンではないのかな?


まず……

私は死んではないし、神様にも会ってないから、異世界転生ではない。

多分転移。


次に、これはパズルゲームの世界ではない。ぷるプレはこんな世界観じゃない。


あと……。

私はローズマリーって名前で、美少女、あとこのギルドってところで働いているみたい。


それで、あの執事風の男の様子を見ていると、ローズマリーって子は多分生きているから、

なんだろう……。


魂が入れ替わったって事かな。


よくあるもんね。


頭がぶつかった瞬間……。

人格が入れ替わるって。


でも違う世界の人と、しかもぶつかったりしてないのに入れ替わるなんてあるのだろうか?


もう仕方がない。

あの男の人に聞いてみよう。


私は部屋に戻る。

あの男は1人なにかを飲んでいた。


「ローズマリーさん。あなたも紅茶を飲みますか?」

そう笑顔で語りかけてきた。


なにこの美しさ……。

顔が熱くなるのを感じる。


「大丈夫ですか?お顔か赤いですよ」

男は私に近づき、私の顔に手を伸ばす。


えぇえぇ……。

あなたのせいですよ?。


えっなに?


私は目を閉じると、男はおでこに手をあてる。


「少し熱っぽいようですね。

今日はもう休まれては?」

男は心配そうにそう言った。


はぁ、よかった……。


「いや……。

違うんです。

私はローズマリーさんではないんです。私はしずく。日本人で18歳引きこもり、2025年から来ました」


男は驚いた顔をしている。


「おや……。

ちょっとお香があいませんでしたか?」


お香?いったい何を言ってるの、この男は……。


私が肩を落としていると


「それは本当の事ですか?」

と男が心配そうに尋ねる。

私が力なく頷くと、


「それで、あなたはこことは別の世界から来られたと……。

聞いたことありませんね」


そりゃ、私もだよ?。

まぁラノベでは日常茶飯事だけど。


男は腕を組み考えこんでいる。


「もしや……。

魂が置き換わったとかではないでしょうか?

こちらでも調べてみましょう」


そう男は言った。

なんかちょっと助かったかも。


「とりあえず当面、あなたのことはローズマリーさんとお呼びします。ギルドに無用な混乱をきたすのは、厄介ですからね」


しずく18歳……。

これから私の運命は?



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