表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

第1話

 高校の入学式が終わったあとの自己紹介タイム


「アル・サクナ・オベールです、フランスからきました、アルと呼んでください」


 天使のように美しい美貌を持つ美少女は、まるで妖精がこの地に舞い降りてきたよう

 綺麗なサラサラの銀髪が光り輝く


 その見た目に、男たちは魅了され、女たちは羨望の眼差しを向ける


 自己紹介タイムが終わると、サクナはすぐにクラスの人に囲まれた


 日本の好きなとこ

 フランスはどんなところか

 そんな、よくある質問に、留学生はすこし日本語に苦戦しながら答えていく

 少し舌足らずだけど、そんな姿も可愛いと男たちはひそひそ話をしているが


 そして、最後の質問をサクナは受けた

 なんで留学しようと思ったのか、なんで日本なのか


 サクナは、こちらに向かって素敵な笑みを向けながら、そしておれ、五十鈴響夜いすずきょうやにウインクをした


「そこの、ひとりでいる、きんぱつのこ、きょーや、フランスでクラスメイトでした」


 おれに視線が集まるのがわかる

 サクナ以外のここにいる全員が、おれが中学校のときに1年フランス留学してたことは誰ひとりとして知らない


「きょーやといっしょにいて、おはなししたりするうちに、いきたくなりました、りゆーは、それ、です」


 留学生はクスクスと笑いながら、寝たフリをしてるおれのほっぺをつんつんと突く


「わたし、りょーせー?じゃないので、ホームステイしてます、きょーやのいえ……」


 コイツ……言わなくていいことまで……!


「わたしと、きょーや、どうせいちゅー、です!」


 サクナは、胸を張って同棲という言葉を強調して言い放つ

 おれの高校生活の、終わりを告げた音がした


「どういうことだよ!お前!」

「同棲って恋人同士!?」

「アルちゃんが追っかけするほど惚れ込んだの」

「馴れ初め何!?聞きたいっ!」

「国際超遠距離恋愛してたの……!?」


 初対面のはずなのに、おれは囲まれてしまった

 顔と名前の知らない相手にこうも囲まれるのはやっぱまだ慣れないな……

 しかも、こんな至近距離だと……


「やめて、きょーや、は、わたしの」


 サクナはおれの腕をむぎゅっとつかんできた

 これはフランスでのときもよくしてきた

 やめろサクナ、今はこんなことをするとおれが死ぬ


 でも、抱きつかれた腕から柔らかい感触と、サクナの女の子特有のいい匂いがして……

 1年前から、サクナ、さらに可愛く、大人っぽくなって……

 留学中は、サクナからのこういうスキンシップ、結構あって慣れたはずなのに


 幸い、おれは表情が顔に出ないタイプなので、他の連中にはサクナに照れてるのは隠せたのだが


『きょーや、照れてる?』


 1年もいっしょにいたサクナを騙すことはできず


『きょーや、私に照れてる、可愛い』


 腕を掴まれながら、男たちの罵声と女たちの黄色い声を受けながら、サクナに数分間からかわれ続けた





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ