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ユリとスズラン

side A


まるで百合の花のように可憐な淑女

彼女を見ているとそういう印象になる


今日も朝から輝いていたなぁなんて思いながら彼女を眺めるのは日課である


「如月さん、今日も告白されたらしいよ」


「靴箱にも何枚も手紙(ラブレター)入ってたって」


「でも、全部断ってるんでしょ?」


教室の中はその話で持ちきりである

今日に限った話ではなく、毎朝

当人が教室に入った瞬間ぴたりと話に終止符が打たれる


だが、今日は違ったクラスメイトの1人が直接聞いたのである


「ねぇねぇいつっち〜学校一のイケメンくんに告られたってまじ〜?」


「えぇ、丁重にお断り致しましたわ」


「えぇ、なんでぇ?勿体な~い…あっ他に好きな人いたりすんの~?あっ、あの黒かm…」


「プライベートですわよ、まきさん」


如月に言葉を遮られたのは鳳城(ほうじょう)まき、金髪ストレートのハーフツインが特徴的な小柄な女の子

如月いつきの幼馴染、ふわっとした性格で話し方もふわっとしていてフレンドリー


「ちぇ~、教えてくれたっていいのに~!!」


「あ~!そうだぁ、ねぇいつっち~新しいお友達い~っぱいできたらからさ~今日の放課後遊び行こ~よ~!いつっちもお友達連れてきて良いからさ~」


「私はご遠慮……いえ…これはチャンスですわね…行きますわ」


いつきさんお友達と遊んだりするんだ、なんて聞き耳を立てていると何故かこちらに向かってくる


え、なんで…?

お友達誘うんじゃ…??


「冬野さん、今日の放課後一緒に行きませんか?」


何故この人は私を誘うのだろうか

友達?なわけないし…烏滸(おこ)がましすぎる

数合わせ?遊ぶのに数合わせる必要ないよね、合コンじゃあるまいし

私といつきさんは精々、推しとファンくらいなんじゃ…


断る理由ないしなぁ


「私が行っても良いのであれば…是非」


これを機にお友達ができちゃったりしちゃったり…?なんて


「いつっちはその子誘うの~?」


「すみませんっ、ご、ご迷惑ですよね…」


「ぇ~全然そんなことないよ~!えっと名前なんだっけ~?」


「冬野とわですっ」


「あたし鳳城まき~よろしくねぇ~」


まきさんが手を差し出す、これはいわゆる握手と言うやつか??

恐る恐る手を出そうとしたら


「まきさん、そろそろチャイムが鳴ってしまいますわ、お席についた方が宜しいのではなくて?」


「えぇ~もうそんな時間かぁ~、じゃあね、えっととわっち!また放課後よろしくぅ~!」


そう言い残して行ってしまった、私無礼な事してしまったんじゃ…

後悔先に立たずだ、くよくよしてないで頑張るぞー!


決戦は放課後、それまでに"友達の作り方の本"呼んでおこう


─────────────────────

side B


百合のような人などと言われているようだけれど全く違うと思いますわ、強いて言うならばなんでしょうか…ナンテン…でしょうか?


とわさんは百合も似合いますが、私的には断然スズランですわ

スズランのように小さく可憐で花言葉はもっとピッタリですわね


靴箱にびっしりと入った手紙を無視して靴を手に取った


教室に入ると廊下で聞いたザワザワとした雑談がぴたりと止む

先生方もこんな感じなのだろうかなんて考える


「ねぇねぇ、いつっち〜学校一のイケメンくんに告られたってまじ〜?」


「えぇ、丁重にお断り致しましたわ」


あの方は少々厄介でしたわ、もし相手が私じゃなくとわさんだったらと思うとぞっとしますわ…


「えぇ、なんでぇ?勿体な~い…あっ他に好きな人いたりすんの~?あっ、あの黒かm…」


「プライベートですわよ、まきさん」


危なかったですわ…もしもとわさんに私が好きだとバレてしまったら、バレてしまったら…


恥ずかしくて目も合わせられなくなってしまいますわ〜!!!!

でもいっそバレてしまえば私を意識してくださるかしら


それにしても鳳城まき、危なすぎますわ

馴れ馴れしい話し方は慣れてしまったのか、はたまた呆れてしまったのか最近ではもう気になりませんけど、本人の近くで好きバレさせようだなんてっ!!


「ちぇ~、教えてくれたっていいのに~!!」


「あ~!そうだぁ、ねぇいつっち~新しいお友達い~っぱいできたからさ~今日の放課後遊び行こ~よ~!いつっちもお友達連れてきて良いからさ~」


「私はご遠慮……いえ、これはチャンスですわね、行きますわ」


これはとわさんは私のものだと見せつけるチャンスですわ!!!!


「冬野さん、今日の放課後一緒に行きませんか?」


「私が行って良いのであれば…是非」


なんて謙虚なのかしらそんな所もステキですわ〜!!!!!!!


「いつっちその子誘うの~?」


「すみませんっ、ご、ご迷惑ですよね…」


「ぇ~全然そんなことないよ~!えっと名前なんだっけ~?」


「冬野とわですっ」


「あたし鳳城まき~よろしくねぇ~」


そう言いながら握手を求める


こ、この女っ!!!私だってまだ手に触れたことないのに!!!!!私より先に触るなんて許しませんわ!!!!!とわさんは私のものでしてよ!!!渡しませんわ!!!!!


「まきさん、そろそろチャイムが鳴ってしまいますわ、お席についた方が宜しいのではなくて?」


「えぇ~もうそんな時間かぁ~じゃあね~えっととわっち!また放課後よろしくぅ~!」


まぁ!なんてことかしら…!とわさんのお名前を気安く呼ぶだけに飽き足らずあだ名まで…私は緊張しすぎてお名前を呼ばないというのにッ!!!!羨ましい、羨ましすぎますわ


内心そんな事ばかり考えているいつきだが、その間表情はずっと微笑みを撒き散らしている

側から見ればただの淑女である


放課後まで時間はありますわ、どうにかして今日こそとわさんと手が繋がるよう作戦を練らなくてはなりませんね…

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