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セプテット CHAPTER:ORANGE  作者: 星海 しいふ
入団試験編
9/20

9話 従者とスパイ


 顔見知りが…スパイ…まさか…


"わたくしたちも行きましょう。しっかりサポートしなさいよ?"

" "はい。カイカ様" "


 同じ魔法士サイドにいた受験者たちのやり取りを思い出す。


 上下関係。











「潜伏期間?」

「すみません、カイカ様。このアナウンスはスパイの潜入終了の合図。私は犯罪者サイドなのです」

「何ですって?」

「私はカイカ様の敵です」


 そう言いながら、相手の方へと近づいていく。


「マジか!これで4対1、優勢だな!」

「あのカイカというやつ、かなり強かったので丁度いいですね」

水の縛紐(アクアアレスター)

「っ!?」

「おい!」

「何すんだよ!」


 裏切ったわたくしの従者が突如、味方のはずの相手3人を魔法で拘束した。


「カイカ様、私は自首し、この3人を引き渡します」

「賢明な判断です」

「私はカイカ様の従者ですから」

「マジかよ」

「イカれてやがる」


 わたくしは4人に手錠をかけて脱落させた。











 たぶん何人か自首したスパイがいるだろうな。


 こっちがかなり有利になったからいいのだが。


広勢炎(フレイムフロード)

泥の柔軟球(マッドクッション)っ!」

氷の花弁(フロストペタル)


 広範囲に放たれる猛火を、俺は泥のクッション、クノは氷の花びらを集めて作った盾で防ぐ。


「泥が蒸発してる!」


 クノの氷も解けている。解けたそばから氷の花びらを追加して何とか防いでいるようだ。


「こんな大技を隠してたのか」

「隠してたわけではない。ただ魔力を使いすぎてしまうからな。使いどころは見極めなければならなかった。タリスとクノ相手に温存して勝つのは難しいだろうからな。この魔法で終わらせる!」


 そして、この状況で最初に限界が来たのは…


「もう無理」


 クノだった。


 氷の花びらが全て解ける。同時に炎も止まる。


 リンノが手錠を持って駆け出し、クノを確保する。俺はその隙を突いてリンノに手錠をかけた。


「捕まってしまったか」

「炎で相手を焼き殺しちゃいけないからな。どちらかが限界を迎えれば炎は止まると思ってた。リンノは優しいやつだから」

「そうか…」

「私とリンノは脱落。タリス、私たちの分まで頑張ってね」

「ああ」

『魔法士サイドと犯罪者サイドで1人ずつ脱落だ』


 これで俺は1人になってしまった。


「せめてローンと合流しないと」


 ローンの現在地を魔力探知で探る。


「ん?俺を避けるような形で北側入口の方に…いや待てよ」


 スパイの人数はわかってない。各チームに1人いるかもしれないし、そうでなくとも複数いる可能性はある。


「ナイトとリングはクリスタルを持って北側入口に届けて、今戻ってきてる。ローンは俺を避けながらそこに合流しようとしてる。ってことはローンがスパイ…?」


 これ距離的に間に合うか?


「急がないとっ!」











「ナイトとリングと合流して確保。心が痛むけど、これも試験の一環だし、仕方ないよなぁ」


 あれ?誰か走って…


「この魔力、タリスのだ」


 僕は魔力探知は得意な方だ。タリス程ではないが、かなり広範囲の索敵ができる。

 そして、魔力が誰のものかの判別もできる。


「僕が合流する方が速いけど…」


 一番嫌なパターンは僕がナイトとリングの無力化に手間取ってタリスが追い付き、3対1になることだ。


「逆に一番いいのはナイトとリングを確保した上でタリスが来る前に逃げること。タリスと戦って勝てるかどうか。タリスの反応速度は異常だ」


 勝てるか負けるか、半々って感じかな。戦ってもいいけど、その前に犯罪者サイドの誰かと合流した方がいい。


『魔法士サイド2人、犯罪者サイド1人脱落だ』


 さらに減ったみたいだ。


 さて、このピンバッジをどう隠すか…






「あ、リング!ナイト!」

「ローン!」

「これ、さっきクリスタル見つけたから、これも持っていってくれ」

「わかった」


 そう言って近づき…


「え?ローン?」

「おい、お前何して…」

「ごめんね」


 クリスタルを砕き、クリスタルで隠していたピンバッジを見せた。






「ナイトとリングがやられたっ!」


 手錠は魔力を乱して魔法を封じる仕組みだ。ナイトとリングの魔力が乱れているので、おそらく手錠をかけられた。


「やっぱりローンはスパイか」

『魔法士サイド3人脱落。魔法士サイド残り14名6チーム、犯罪者サイド残り12名5チーム。チーム数にスパイは含めていないぞ』


 かなり減っている。


 ローンを追うか…いや、その前に仲間がほしい。


「でも誰が敵で誰が味方かわからないからなぁ」

「あ!魔法士サイドの人!協力してくれない?」


 同い年くらいの男の子が話しかけてきた。


「僕、スパイやってたから1人でさ」

「丁度よかった。こっちも1人で、誰か協力してくれる人を探してたんだ」

「僕はターダ・フージェ。よろしくね」

「俺はタリス・ジレン。よろしく」











「もうそろそろいいんじゃないですか?ケルンさん」

「じゃあ行きますか」











「うわ、すご!全っ然抜け出せない」


 地面に足が埋まったターダが言う。


「俺はこんな感じでサポートは得意だ」

「なるほどねぇ。僕は…重鈍化(ウェイトアディション)

「おぉ、重たい」

「そ。重力魔術。やろうと思えば人をぺしゃんこにできる」


 ターダと話していると、ズドンと俺たちのすぐ横に雷が落ちた。


「敵!?」

「いったいどこから…」

『今、受験者のすぐ近くに雷が落ちただろう。魔法士サイドと犯罪者サイド、共通の敵としてケルン試験官が会場の中心にいる。魔法士サイドと犯罪者サイドで協力してもいいし、しなくてもいい。ケルン試験官を無力化した場合、20ポイント貰える。ケルン試験官は会場中心から半径50m以内から動かない。放置してもいいが、遠距離から妨害してくるぞ』

「マジかよ、とんでもないギミックだな」

魔法士サイド14人、犯罪者サイド12人が残ってます

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