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プロローグ〜普通の街に生まれてしまった普通ではない少女〜


こんにちは。


___記憶は夢の中で遡る。


「なんなんだ、こいつは…」


 驚愕したような、絶望したような声色で私の父は言った。


「…()をもった、普通ではない、人間です。

 きっと、この世界に大きな変化をもたらすでしょう。」

 喜んだような、父とは対照的な声で私を診た神官は言った。

母はそのの言葉を聞きその衝撃か、私を抱きかかえていた手を離し、私を中に放り出す。

落ちた衝撃で私の体はズキズキと痛む。加えて、大きな擦り傷ができる。未来永劫残る傷を刻まれる。

ーーいたい。

5歳だった私の記憶にもしっかりと残る大きな出来事だった。

___きっと、このときから私は両親に嫌悪されてきたんだろう。いつの日にか、慕ってくれていた妹にまで…

私、こと(かがみ)ありあは五歳のとき、この世界で伝統的に行われる儀式、そこで普通の人間か、普通の人間ではないのか、的確に言えばその人の能力を占う、というものがあったのだが、そこで能力がある、ということがわかった。

普通に考えれば、生まれつき特別な力があることはいいことだと思う。実際、それを優遇する国だってある。


でも、この国の場合は違う。特別な能力を嫌うのだ。普通の人が、実力で地位を勝ち取る社会だ。だから、もとから努力もせずに力を与えられたものは優遇されない、いやそれどころか、嫌われ、嫌悪される存在にまでなっていた。

両親までもが自分たちの地位を気にして私を嫌う。いまでもあの日から過酷な嫌がらせを受けているのだが、こういうときは明るく生きていこうと思っている。



__だって、成人したら、この家から出れるんだし、いまは大切な友人がいるから。


ここの教育制度のおかげでなんとか学校には通わせてもらっていたのだが、普通の人ばかり、きっとまたいじめられるだろう。でも、学校は違った。力で人を判断しなかった。中身を、ちゃんと見てくれた。そんな学校は私の拠り所となっていたのだった。

浮かれていたからだろう、その時の私は、直ぐ側による不穏な2つの影に気づくことができなかった。


こんなにも、自分の娘を嫌悪しているなんて。



「いますぐここを出ていけ!さもないと…」



古傷が痛む、このときまでは。


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