1.04
季節は三月中旬、随分と暖かくなってきた。あれから一週間が経ったが、俺はただ病院で療養していただけだ。
レアとのバトルで負った怪我は、大小合わせて十か所以上の骨折など、普通の人からすれば重体であった。チーターの驚異的な回復力ならば、このくらいの容態でも一週間ベッドで寝ているだけで治すことができる。
それにしても、チーターとして目覚めたあの日、百穴洞窟でのバトルで一か月余り入院して、退院初日にシャークスマイルに入り、すぐにアジトでレアとバトルして入院して……。こうしてみると、チーターになって以降ほとんど病室にいるな。チーターとしての実質的な活動日は、わずか一日か。
静かな病室にコンコンという音がかすかに響く。
「……どうぞ」
控えめのノックが聞こえたので、入室を促す。
記念すべき退院日、病室にお見舞いに訪れたのは、意外な人物だった。
「こんにちは、レア」
「……」
無言か。いや、そういう子だったな。
小柄の金髪おかっぱ頭。色白で、金色に輝くつぶらな瞳。たしか現役女子高生で、なんといっても男はイケメンとしか話さないという徹底した生き方を貫いているらしい。
「きてくれたんだ、見舞い」
「エエ」
あ、しゃべった。なんかぎこちないけど。
「そっか。あのとき、俺が勝ったら口を聞いてくれるって約束だったな。だからしゃべってくれるようになったんだな」
「……(コク)」
必要最小限をちょっと下回るくらいの口数だが、一応返事はしてくれるようになった。それだけでもありがたいような、そうでもないような。
「俺、今日で退院なんだ。知ってた?」
「イエ」
「そっちの方こそ怪我は治ったの? あのバトルでさ。最後思いっきり顎に入ったでしょ」
「アゴ、ワレタ。イチニチ、ネタ」
「なるほどね」
顎が割れて一日寝込んだってとこか。それにしても、出来の悪いAIみたいな話し方だな。
「あれから、シャークスマイルは変わったことあった?」
「……(フルフル)」
「そっか。レアは、何しているの?」
「ナニモ」
「このあとは? ひま?」
「……(無反応)」
何もしていないのに、暇じゃないらしい。いや、別にどこかに誘おうと思ってたわけじゃないんだけどさ。
話せるようになったといっても、ナチュラルに話せるようになったわけじゃなくて、ロボットのような抑揚のない話し方ができるようになっただけか。なんだろう、この感じ。
「どうもぎこちない話し方だなあ。無理してる?」
「エエ」
「それって、俺がイケメンじゃないのに話してるから?」
「……(コク)」
やっぱりか。さすがに傷つく。この子、チーターじゃなかったら生きてけないくらいの失礼さだな。
「あー、まあ、そんなら仕方ない。でも、わざわざお見舞いにきてくれてありがと」
「……(コク)」
「恒例のサプライズイベントだか何だかで、出会った初日に戦うことにはなったけどさ――」
「――デモ、コレカラハ、ナカマ」
「うん、そうだ」
レアは細い手をそっと差し出してくる。俺はそれをしっかりと握り返す。
「……」
「……」
さすがは鉄腕、死ぬほど握力が強い。なんでこんな細腕にこれほどのパワーがあるんだよ。手を離した瞬間、思いっきり痺れがきた。
ともかく、これで二人の関係は修復した。
「……(ペコ)」
レアは俺に一礼すると、そそくさと退室していった。
「ありがと、レア」
立ち去る背中に向けて、感謝を告げる。
いくら儀式とはいえ、同じクランにいるのに、戦って傷つけあった仲だから。それを放置してしまったら、仲良くやっていけるわけがない。しこりを残さないために、モヤモヤを解消するために、わざわざあいさつに来てくれたのだ。それも話すのが苦手な相手のところに。
それはとてもありがたいことだ。ラグビーのノーサイドじゃないが、レアの気持ちはちゃんと汲んであげなきゃいけないなと思った。
そんな思いを胸に、清々しい気持ちで病院を後にする。
病院を一歩出ると日差しが眩しい。暖かくなってきたのはいいけど、風も強いし、花粉も飛んでるし。
ここは武蔵の都市部。俺は何も持たず、身体だけは元気な二十歳のチーター。
さて、どこで何をしようか。
「やっほー、ジロー」
出口で待っていたのか、横から声をかけられる。
「ああ、ビー。やっと退院できたよ」
「おめでとー」
拳を突き合わせる。イージともやったが、シャークスマイル恒例のあいさつだ。
「わざわざ来てくれたんだ」
「そりゃそうでしょ。だって、ニコイチなんでしょ。私たち」
「そういえばそうだった」
イージはたしか、一か月くらいビーとツーマンセルで動け、そうしてチーターとしての地盤を作れといっていたな。ボスから直々に指示を受けたんだから、一緒に動くのは当然のことか。
ビーは今日、オレンジ色の薄手のニットを着ていて、それが栗色のポニーテールとよく似合っている。
「じゃあ、車乗って」
「え、早速どっか行くの?」
「そう」
「どこ?」
「それは着いてのお楽しみ」
またしてもハイヤーに乗せられる。なんか俺、こればっかだな。
車に乗ってものの十分で到着。目的地も武蔵の都市部だったらしい。
「おっ。ここは」
「来たことある?」
「見かけることは多いけど、入ったことはないかなあ」
ハイパーアリーナ。
言わずと知れた武蔵が誇る大型箱物施設だ。中ではスポーツの大会だったり、コンサートだったり、企業の合同展示会だったりが行われている。周辺も開発されていて、あらゆる公的機関のビルが建ち並んでいて、国の心臓部となっている。
「中に入るんですか?」
「そう。今日は偶然、いいのやってるみたいだからさ」
「チーターとしての仕事で?」
「仕事といえば仕事。趣味といえば趣味」
「なにそれ。まあ付き合うけどね」
キョロキョロと周囲を見渡す。武蔵の中心部というだけあって、どこも小奇麗に整備されていて、人でにぎわっている。あっちの方は野外のイベントスペースだろうか。
「あ、キッチンカーがたくさんある。たこ焼き、串焼き、ケバブに……あれはタコスか」
「タコス食べたい。もらってくるよ」
言うが早いか、ビーはすぐにいなくなり、キッチンカーでタコスを二つとソフトドリンク二杯を受け取ってもどってくる。お金は当然のように払わない。有名チーターともなれば、大抵のお店はタダで利用できるのだろう。
「ほら、一つはジローの分」
「ありがとう」
タコスの皮は、トウモロコシの生地だっけか。パクつくと、チリソースが口に広がる。うん、美味い。
ソフトドリンクは二つともメロンソーダ。幼稚なイメージがあるが、こういう食べ物にはよく合う。ナイスチョイスだ。
「おいしい」
「こういうの食べながら観戦するのがオツでしょ」
「観戦?」
「うん、これからあれ観るの」
ビーは建物入り口の巨大看板を指さす。そこには、半裸の男たちがこっちを睨んでいる写真が並んでいた。どうやら今日は、格闘技イベントらしい。
「寝技なしの格闘技ね。実はチーターには寝技ってあんまり有効じゃないんだ、普通の人体と違ってて、腕一本へし折れても平気で継戦する人が多いからさ」
「へえ」
「もうちょっと突っ込んでいうと、絞め技ならまだしも、極め技は効果的じゃない。極めてもタップもらえないし、終わらないから。それに比べれば、こういう立ち技はチーターにとっても勉強になるよ。動きがそのまんまバトルで使えるからさ」
「あー、なるほど」
ビーが連れてきてくれたのは格闘技のイベントだったのか。仕事といえば仕事、趣味と言えば趣味。彼女らしいといえば、らしいか。
「ジローは格闘技の経験ないんでしょ」
「まったくもって」
「そこが弱点。この前のレアとのバトルを観た感じだと、チーターの身体能力に任せて、適当に殴りかかったりぶつかったりしているだけじゃない。それじゃあ手練れには勝てないよ」
「その通りかも」
「だから格闘技を実際に見て、基本的な動き方を学んでもらおうってわけ」
「じゃあビーはあるの? 格闘技の心得」
「もちろん。私、チーターになる前からジム通ってたし」
「だからあんな風に回し蹴りとかできるんだ」
「そうそう。他にも理由はあるんだけど、その辺りは中で説明するよ。ほら、入ろ」
「ああ」
ビーに連れられて、ハイパーアリーナに。正面の一般入り口じゃなくて関係者口から入っていく。有名チーターならだいたいのところは顔パスだし、座席も特別に用意してもらえるらしい。
スタッフが通るような小さい通路からホールに入る。ホールに入った瞬間、一気に視界が広がり、目を奪われる。何万人もの観客が集い、たった一つのリングを観戦する巨大な空間。ここは多くのファンから聖地と呼ばれるような場所だ。
「へえ、なかなかの雰囲気だ。さすがにクラブにあったリングとはレベルが違う」
「リング自体の大きさは同じなはずだけど、照明とか本格的だとやっぱ雰囲気出るね」
中央のリングに薄く白色のライトが当たっている。ホール全体に薄くスモークが焚かれていて、これから始まる試合を前に、荘厳な雰囲気を醸し出している。観客の期待感が否応なしに高まるよう工夫されている。
「ここに座っていいらしいよ」
「特別関係者席って書いてあるけど」
「うん。あらかじめチーター用にとってあるんだって」
俺とビーは、特等席といってもいい場所に並んで座る。映画館と同じで、最前列だと首が疲れるから、少し離れたそこより一段高くなっているところだ。近くに報道席がある。まだチーターになりたての俺は、こういう特別扱いに慣れてないというか、ちょっと後ろめたいような気持ちになってしまう。
「さて、試合が始まるまで話でもしようか」
「何だっけ、ビーが格闘技やってるって話だっけ。小さな頃から空手一筋だったとか」
「いや、そんな大したことじゃなくってね。キックボクシングやってるんだけど、ジムに通いだしたのは中学生からだから、まだ十年も経ってないし。それより私のルーツになってる話をしたいの」
「ルーツ?」
「そう。私の異名、知ってるでしょ?」
「ロンド、だったよね。漢字だと輪っかで舞う、輪舞」
「その通り。なぜだと思う?」
「回転蹴りが得意技だからじゃないの。実際、見たし」
「その通り。だけどね――」
ビーがストローを咥えて、メロンソーダを一口飲む。
「私のルーツは、ダンスなの。ブレイクダンス」
「ブレイクダンスっていうと、あのドッカンドッカン鳴ってるとこで踊る?」
「そういうやつ。ヘッドスピンっていう頭を床につけて回るの見たことない?」
「あー、あるある。そっか、それで輪舞か」
「そういうこと。ブレイクダンスは小学校の頃からやってるからさ」
「あの動きはそれが下地になってるんだ。納得」
俺もタコスを一口かじる。
「ただ、チートの恩恵もあってね。私のチートは驚異的な回転耐性」
「回転耐性?」
「三半規管ってあるでしょ、平衡感覚の。あれが異常に強化されててさ、高速で動いても回っても全然平気なんだ。チーターって身体は頑丈になっても、そういう感覚が強化されないと、脳がついていかないから速く回れなかったりするんだけど、私はその辺が大丈夫ってことらしい」
「すごいような、地味なような」
「でしょ。でもさ、回転耐性があって筋力もあるチーターが、たとえばフィギュアスケートみたいにくるくる回ったらすごいことになると思わない?」
「たしかに、竜巻起こせそうな気がするね」
「それがマジでできるってわけ。つまり、回転耐性のチートとブレイクダンスでの経験が組み合わさると、必殺技が生まれるの」
「それが回転蹴り」
「そういうこと」
納得した。ビーの強みは回転。だからロンド、か。
「だから私が言いたかったのはさ。チートも大事だけど、それとは別に、日頃からの積み重ねも大事ってこと。ジローは何かやってたの?」
「うーん、特技かあ……特には」
「じゃあ今からでも始めた方がいいよ。格闘技」
「格闘技かあ、あんまり興味ないんだよね。格闘技習うくらいなら、ダンジョン潜るかなあ」
「それでもいいよ。ダンジョンアタックして、モンスターたくさん倒してたら、自然と自分の戦い方ができてくるだろうし」
「そういうもんか。よし、それならこれからはダンジョンに潜ろう。例の百穴洞窟にでも行こうかな。この前のリベンジをしに」
「もう一つの武蔵野森もいいとこだよ。人がいっぱいいるけど」
「いろんなチーターと会うのは嫌なんで、孤独に戦うよ。俺は洞窟で蟻退治する」
「ふーん、好きなようにしたら」
確かにビーのいう通り、俺も強くなるために何か始めるべきだな。俺がチーターになれたのはダンジョンのおかげだし、ダンジョンで戦おう。
ちなみに俺たちが住む武蔵にあるダンジョンは二つ。百穴洞窟ダンジョンと武蔵野森ダンジョンだ。この前、ビーに連れていかれて死にかけたのが百穴洞窟の方。そっちの方が空いているらしいし、そっちでいいや。
「ジロー。せっかくダンジョンに潜るんならさ、レアドロップ集めなきゃだめだよ」
「レアドロップか」
モンスターは倒すと自然とダンジョンに吸収されてしまうが、その際に一つの素材を落とすことがある。その素材をドロップという。レアドロップというのは、その中でもモンスターが滅多に落とさない稀少価値のある素材だ。加工して武器や防具をつくると、大抵、現代科学では量産不可能な超性能の一品ができる。
「私のスニーカーもね。ただのローカットのメーカー品に似せて作ってあるけど、実はダンジョンのレアドロップが使われてるんだ」
「そういえばそんなこと、ステーキハウスでの戦いで言ってたね」
「私が全力で蹴ってもまったく砕けない頑丈なスニーカー。これがないと、得意の足技も使えなくなっちゃう」
「それがないと素足で蹴るしかなくなるのか、そりゃ困るな。俺も何か、自分の戦い方にあったレアドロップ出ないかなあ。いや、その前に自分の戦い方を見出す方が先か」
イベントが始まるまでの間、ビーとそんなことを話しながら時間を潰した。
「大変お待たせいたしました。ただいまより――」
場内アナウンスが始まり、照明が落ちると、一気に会場のボルテージが上がる。
「――はじめに、開催にあたりまして、本国執政官の一人、クサビグループ代表、ギル様よりご挨拶をいただきたいと思います」
会場から拍手。リング中央に、アフロヘアーの小男が現れる。ギルだって?
「ただいまご紹介に預かりました、クサビグループのギルと申します――」
「なあちょっと、あの人って?」
隣のビーに話をふると、
「うん。アイツがギル。クサビグループの頭領、イージと同じ執政官の一人ね」
「あれが……」
細身のスーツに身を包み、慇懃な態度。背丈も小さい。まるで小役人といった風体で、とてもじゃないが最大規模のクランを率いるリーダーには見えない。しかし彼がギル。この武蔵で最強との呼び声高いチーターか。
「――この度は、お招きいただきありがとうございます。そもそもこのイベントは、私どものクランと深い関係がございまして、それといいますのも――」
中身はよくわからないが、政治家っぽいありきたりなあいさつをしている。元々細目なのにずっと作り笑い浮かべているから、ほとんど目は見えないが、瞳はどんな色をしているんだろう。
ペコペコ頭を下げながらあいさつするその低姿勢に、なぜだか逆の印象を得た。いや、確信した。
――あいつ、他人を舐め腐ってやがる。自分以外の一切の他人をゴミくず同然と思っているからこそ、あんな慇懃に振舞っていやがるんだ。
「さすがクサビのボス。一筋縄ではいかなそうだね」
「そうかもね、イージと比べても遜色ない大物って、この国ではアイツくらいのもんなんじゃないかな。あんなスピーチしてるけど、性格も相当な食わせ者らしいよ。それでいて、腕っぷしも強いんだって」
「直接戦ったことは?」
「さすがにない。戦ってみたいけど、正直、勝てる自信はないかな」
「そんなに強いんだ。あいつが戦ってるのを見たことは?」
「それもない。アイツは直接出てこないで、部下を使って揉め事を解決する方針だから。無駄な戦いを避けてるみたい」
「チーターには珍しく、人を使うリーダータイプか」
「そうそう」
ギルの視線が不意にこちらを向いた。気のせいとも思えない。この何万人と観客がいる中で、奴は今、確かに俺たちのことを見ている。
ビーの存在に気付いたのだろうか、意外そうに一瞬だけ目を見開いた。
その瞳はなんと、真っ白だった。黒目部分が真っ白。
チーターになると自然と瞳の色が変わり、輝きを増す。俺は真っ青に、ビーは真っ赤に光っている。どの色になるかはランダムといわれている。シャラクのじいさんは灰色だったからまだマシだったが、真っ白の瞳というのは強烈だ。あるべきものがそこにないという感じで、底冷えするような薄気味悪さを感じた。
「――それでは、私はこの後、最高会議がございますので、これにて失礼いたしますが、ご来場の皆様におかれましては、ぜひ、存分に、この格闘の祭典を心行くまでお楽しみください」
ギルが話し終えると、観客からまばらな拍手が送られる。いかにも政治家然とした当たり障りのないスピーチは、格闘ファンの心には刺さらなかったらしい。当然か。
「……」
しかし、少なくとも俺には強烈な印象を与えた。こんな遠目からでも、恐るべき相手であることを確信した。
これがギル。武蔵最大規模のクラン、クサビグループの頭領であり、この国最強とされるチーターか。
ギルが去ると、バトル開始までの場面転換の時間となる。ビーが話しかけてくる。
「ねえジロー。チーターランクて知ってる?」
「ええと、チーターの強さ番付表みたいなやつだっけ」
「そうそう。非公式なんだけどね、民間企業が作ってるランキングがあるんだ。チーター同士のバトルって滅多にないけど、それでもどちらが強いかってのは政治力に関わるからさ、どのクランも気にしてるんだけど」
「なるほどね」
「それで、あいつは長いこと国内一位なんだ」
「ランク一位。武蔵最強か」
「そう。ここ数年、ほとんど誰とも戦ってないのに」
「本当にそんなに強いの?」
「どうだろう、でも、たぶん実力はあると思うよ。ちなみに私は七位ね」
「え、かなり上位じゃん」
「そうそう。私はどっちかというと、いっつも戦ってばかりだからさ、ドンドンとランクが上がっちゃってついには一桁になっちゃったって感じね」
武蔵は人口七百万人以上いたはずで、人口の〇.〇一%であるチーターもだいたい七百人以上はいるはずだ。その中で若くして七位につけるというのは、相当すごいことだ。
「じゃあ、ビーも一位を目指してる?」
「もっちろん。せっかくだから、一位がいい。でもさ、どんだけ戦ってもこれ以上はランク上がらないんだ」
「なんで?」
「上位の六人はずっと固定されちゃってるから。どれだけ他のチーターを倒しても、そいつらを直接倒さない限り、何があってもランクが上がらないの」
「そういうことか。つまり、一位になるには滅多に戦わないギルたち上位陣を、戦いの場に引きずり出さないといけないと」
「その通り。実をいうと、その上位陣の内の一人はイージなんだけどね」
「あー」
イージもその不動の六人の一人か。たしかにそれくらいのオーラを放っていたな。
それにしても、チーターランクね。チーターになった以上、そんなのも他人事じゃないんだな。
ほどなくして、キックボクシングのような立ち技中心の大会が始まった。ガードの上げ下げ、重心の置き方、ステップワーク等、格闘技経験者のビーがていねいに解説してくれた。確かに少しでも知っていると、戦い方が大きく変わるのかもしれない。
いや、知っているだけじゃダメか。実際に練習して動けるようにならないと。
ただ試合そのものって意味では、ダンジョンのモンスターや、ビーや、レア。遥かに危険な存在と対峙してきたせいで、どことなく退屈さを感じてしまったことも事実だ。所詮、一般人はチーターの相手にはならない。
そんなことを感じながら三時間ほど格闘技を観戦し続けた。
「ふー、おもしろかった。これからどうしよっか」
「観ているだけで疲れた。普段こういうの観ないからさ」
ハイパーアリーナの関係者口から外に出て、隣接する広場まで歩いてきた俺とビー。辺りはすっかり日が落ちていて、薄暗い。
さてこれからどこへ行こうかというところで、ビーが何気なく端末を確認すると。
「あ、イージから連絡きてるじゃん」
「どれ――えっ、これって」
二人して端末に表示された文章を食い入るように見つめる。
『クサビグループとの戦争に入る可能性有。これより厳戒態勢を敷く。チーターといえど単独行動を控え、不要不急の外出は避けること。どこかに行く際は必ず複数で行動すること。また、アジトに集合の連絡があったら一時間以内に駆けつけること イージ』
何だこれ。戦争? しかも、相手はクサビグループだって!?
さすがに大事だ。国内最大規模のクランと構えるなんてことになったら、いくらシャークスマイルとはいえただでは済まない。
「ビー、どういうこと?」
「そのままの意味でしょ。つまり、イージとギルが揉めたんじゃないかな。最高会議でさ。だから、ウチはクサビとドンパチやることになった」
真っ赤な瞳を爛々と輝かせるビー。両拳を突き合わせている。完全にやる気スイッチ入ってるな。
「ドンパチって……。トップクラン同士が抗争なんてしたら、国全体が揺れることになる。そんなの滅多に起こることじゃない」
「そう。だけど、その珍しいことが今日、起こったってことでしょ」
信じられない。まさか俺がチーターになって、シャークスマイルの客分になったタイミングで大規模抗争が始まるなんて。
「ああそういえば。偶然だけど、さっきギルがこれから最高会議があるっていってたな。とすると、会議の場でイージとギル、執政官同士がモメたってことか」
「このタイミングでの連絡だから、そうだろうね」
この武蔵は、大手クランのリーダー十三人を集めた執政官による合議により、政治が進められる。彼らは時折、最高会議を開き、行政に関わる重要案件を審議する。
そうはいっても、しょせんはチーター。
単に力が強いだけのならず者のボス達だから、政治に関心もないし、政策の良し悪しなんてわからない。役人たちが作り上げたプランに適当にサインして、GOサインを出すだけというのが常識だ。執政官といっても形だけで、実際に国を動かしているのは黒子に徹する役人たち。
だから会議の席で執政官同士が揉めるなんて起こりえないはずなのだ。起こるとしたら、政治というよりも、クラン同士の利権争いが生じたときだ。
「とにかく、イージの指示に従うしかない、か。単独行動は控えろっても、俺らは最初から二人でいるからいいけど」
「確かに。それにしても、タイミング悪かったな。まさかここでこんな通知に気が付くなんて」ビーが真正面のビルを指さす。「知ってる、ジロー。ハイパーアリーナって、クサビの本部ビルのすぐ近くなんだよ。ほら、あれ」
十階建てくらいだろうか。眼前にある、居並ぶ高層ビルに負けず劣らずの高さを誇る近代的なビルが、クサビグループの本部とのこと。シャークスマイルの本部ビルとは比べ物にならないほど巨大だ。
――って、おいおい、まずいじゃないか。
「そりゃまずい。すぐに車でここ離れないと」
俺が車の方に早歩きを始めると、
「ジロー。たぶん、もう遅い」
「え」
「私たち、囲まれてる」
俺は改めて周囲を見渡す。
距離にして十メートルほど先に、何名か、爛々と瞳を輝かせてこっちを睨んでいる男たちがいる。
「そんな、早すぎ――」
「逆、逆。私らが気づくの遅かったみたいね。ま、通知に気付くの遅かったし、仕方ない」
ビーは平然と言い放つ。謎の集団に取り囲まれているというのに、まったく緊張した様子はない。
「これはこれは、久しぶりだな。嬢ちゃん」
背後から声をかけられる。こいつは確か、ステーキハウスでビーに倒された老人のチーターだ。
「あー、あんた。あれじゃん、ジローと出会ったときにいたジジイ。名前……なんだっけ」
「シャラクだ。若えんだから名前くらい一発で覚えろ。嬢ちゃんよ、あのときオイラと戦うと、クラン同士の抗争になるって忠告したはずだよな。ほら、言った通りになったろう」
「何それ。じゃあウチとクサビが揉めたのってその件なの?」
「当たり前だ! 仮にも幹部の俺が、小娘に襲われたんだからな。なめるなよ。返しをしなきゃ、世間様の笑いものになるだろう」
へー、この老人はクサビグループの幹部だったのか。もっと小物かと思っていた。
それにしても、何というか、このじいさんは昔の任侠映画っぽい言い回しにこだわるな。苦手なタイプだ。
シャラクなる老人チーターは、あのときと同じように手に杖をついている。あれがレアドロップなんだっけか。
「つまり、今ここにいるチーターは全員クサビの刺客ってこと?」
俺が問うと、
「その通り。全部で六人だ。ここはオイラたちの縄張りだから、一声かければこのくらいの人数はすぐに集まる。それはそうと、おまえはあのときの店員だな」
「そうです、ジローといいます。おかげさまで、はれてチーターになりました。今はシャークスマイルの客分になってますんで、以後お見知りおきを」
「ふん、よかったじゃねえか。おまえには直接恨みはねえが、客分とはいえ相手方ってのは変わらねえ。ここできっちり仕留めさせてもらうぜ」
「へえ、そうなりますか」
「ってえことは、こっちは六人、そっちは嬢ちゃんとガキの二人、と。さて、どうしたもんかな……」
シャラクは考え込む。
俺たちは二人。敵は六人で、俺たちを囲んでいる。ジリジリと距離を詰めてきてはいるが、即座に二対六の乱戦になるってわけでもなさそうだ。
「それならさ、ジジイ。私から提案があるんだけど、いい?」
ビーが手を挙げて、話し始める。
「そっちの中で、一番強い奴を教えてよ。そいつとジローがタイマンを張る。残った五人とは、私一人が戦う。一対一と、一対五。これで人数は合うでしょ。そんなのでどう?」
――はあ? 何考えてんだ、ビーは。
いや、待てよ。俺としても、ゴチャマンよりかは、タイマンの方がまだ戦いやすいか。
「ふーん、いいだろう。その提案、乗ってやるぜ。オイラは嬢ちゃんと再戦したいから、タイマンの方は誰かに譲って一対五の方にまわるとしよう。そうだなあ、そのガキとは……カイ。おまえが戦え」
「了解っす。国内ランク七位のビーと戦えないのは残念だけど、それはしゃーないか」
一人の若者が進み出る。黒髪のマッシュヘアー、どこにでもいる大学生みたいな見た目の男で、いかにも軽薄そうな笑みを浮かべている。だが、俺を見据えるオレンジの瞳は、身震いするくらい鋭い。
俺はビーに耳打ちする。
「ビー、俺の方はともかく。そっちは一人で五人まとめて相手取るなんて、大丈夫?」
「言ったでしょ、ジロー。私は一対多の方が得意だって。心配しないで自分の戦いに集中して。ほら、さっき格闘技を観た成果を見せてやりな」
「了解」
ちょっと格闘技観たくらいで強くなれるかよ、と心の中でツッコんだ。
だが、ビーも自信があるというなら構わない。俺も腹は定まった。やるしかない。
「よし、カイだっけ。おまえが俺とタイマンな。移動するぞ」
「どうぞ」
俺は周囲を見渡し、全力で暴れても問題なさそうなスペースを探すと、すぐ近くに発見する。
「じゃあ、俺たちはあそこでやろう」
「オッケー」
俺が空いているイベントスペースに向けて歩き出すと、カイという若者も後をついてくる。ビーと他五人は、そのまま広場に残った。
俺とカイが移動したのは、おそらく野外イベントのために用意されているだだっ広いスペース。周囲に障害物はなく、辺りは薄暗く、人気もない。ちょうどチーターが暴れるのにお誂え向きだ。
さあ、これで準備は整った。
退院したら即戦闘。退院したら即戦闘。チーターってこんなに暴力にまみれてたのか、それとも偶然か。もうちょっとゆっくりしていたい気持ちもあるが、仕方がない。
チーターとして成り上がるためには、荒事を避けていたら話にならない。
俺はただ、このタイマンを乗り切ることだけを考えよう。
「カイだっけ。年はいくつ?」
「二十歳になったとこ」
「じゃあ俺とタメだ」
「へえ、若いね。お互い」
興味なさそうに相槌をうつ。
「あんた、ジローって言ったっけ。シャークスマイルのチーターって有名人だらけなのに、まったく聞いたことないなあ。あ、最近チーターになったばっかの客分だったけ。それじゃ当然か。あんたを倒しても俺のランクは上がらないんじゃ、いまいちやる気出ないな」
「悪いな。俺、一か月前にチーターになったばかりだからな」
「せっかくのチャンスだと思ったのに、残念」
どうもカイは、チーターランクなるものに異様にこだわっているらしい。クラン同士のいざこざというより、自分のランクを上げるために戦いにきたって感じがする。まあそれもいいだろう。チーターが戦う理由は人それぞれだ。
「言うなあ。そんじゃ逆にきくけど、カイ、おまえは何位なんだよ」
「まだまだ売り出し中だからさ。やっと五十位になったとこ。ビーみたいな上位ランカーを倒して早く上に行きたいのに、なかなか機会に恵まれなくってね」
七百人以上いるチーターの中で五十位といえば、まあまあじゃないか。しかもこの若さだ。今後が期待される逸材ってことか。
「ふーん、そんなもんなんだ。それにしても今回は……残念だったな」
「なんで?」
「俺にやられるから」
「はあ?」
俺は会話を途中でぶった切って、カイを強襲する。渾身のストレート、だが殴り慣れてないせいか、顔を狙ったのになぜか肩にぶつかってしまう。それでもチーターの全力は半端な威力じゃなくて、そのまま十メートルくらい吹き飛んでいく。
「この野郎、やりやがったな」
「油断するからだ」
「じゃ、こっちもいくよ――ソード」
カイは両腕を組み合わせて、一つの巨大な刃物に変態させる。指先が尖り、腕が刃となり、一振りの剣と化す。日本刀ではなく反りのない西洋の剣。突きも薙ぎもそれなりにできそうだ。
レアの鉄腕にも驚いたが、こいつのチートもすごい。まったくもって人外だ。
「オレのチートは硬化。こうやって身体の一部を金属製の武器に変えられるんだ」
「おっそろしいな」
カイが突っ込んでくる。俺は横に飛びのいて躱すが、すぐさま軌道を修正してくる。一本の大剣と化した両腕を振り被り、
「もらった!」
思いっきり振り下ろしてくる。が、上半身を反らして間一髪で躱す。コンクリートの地面にクレバスができる。これを喰らったら真っ二つになりそうだ。
だけど、機動力なら多少、俺に分があるか。
「やるじゃん」
俺はバックステップでカイから距離を稼ぐ。剣戟の間合いを避けるように、距離をとって周囲をぐるぐると回り始めた。サークリングっていうのかな。とりあえず相手に先攻させてカウンターを狙う作戦だ。レアと戦ったときよりもスムーズにできている気がする。
今日の格闘技観戦経験が活きているな。
「おいジロー。あんた、斬られたら死ぬよ。今のうちにギブアップする?」
「しねえよ」
「じゃあ――死ね」
カイは両腕のソードで胴体を横や斜めに薙いでくるが、その度に後退。すべて空振りに終わる。それもただの後退じゃない。追い込まれないように、ぐるぐると回りながらの後退だ。これならいつまででも避けられる。
冗談抜きで格闘技観たばっかだからか、こんなことが思いつくのは。明らかにセンスがよくなってやがる。あんまり飲み込みが良い方ではないんだけどな。
「うまく避けるね。こっちも本気で斬りにいくから――殺しちゃったらごめん」
カイは余裕をちらつかせるセリフを吐くが、本音は違う。おそらくしびれを切らしたんだ。そのせいか、一気に加速し、腹部めがけて突きをかましてきた。奴の必殺の一撃なんだろう。
が、俺はこれを読んでいた。
「なめんな」
タイミングよく横にスライドして躱し、同時にミドルキックを叩きこむ。カイは再び吹き飛ばされる。最初のパンチとこれで、だいぶダメージは入ったはず。だが、カイはすぐに立ち上がってくる。タフだな、こいつ。
それにしてもすげえな、今日の俺。調子が良いっていうか、なんかめちゃめちゃ格闘技っぽい動きしてるぞ。
「おい、カイ。今度はこっちから行くぞ」
まだダメージが回復しきっていないのを見て、俺はこっちから接近し、カイの刃と化した両腕を抱え込む。いわゆるクリンチだ。
「どうだ、これなら振れねえんじゃねえか」
「くそっ」
大きな刃物をもった相手には近づくのが得策だ。しかし、カイは即座に「解除」といって両腕を元に戻してしまう。だが、それならそれでいい。
俺はその隙を逃さず、くっついた状態のまま、顔面に何度もショートパンチを振るう。今度は二人がゼロ距離で組み合っているため、吹き飛ばない、いや、吹き飛べない。ゴツゴツという鈍い音が響き渡り、カイは鼻や目元から出血する。顔面も崩壊していく。
「プレート」
カイはたまらず片腕を円盤状に変化させて、顔をガードする。盾というほどの大きさではないが、小盾というのか、顔面くらいなら守れるサイズだ。近距離でこれ以上コツコツ打撃を喰らいたくないのだろう。
だが――
「それできるならもっと早くしろよ、判断遅えな」
俺は即座に方針転換。今度はわずかに距離を開けて、ローキックを浴びせる。鞭のようにしならせて相手のふくらはぎを強打。あまりの痛みにカイはその場に崩れ落ちる。カーフキックとか言ったっけ、これもさっきのイベントで覚えた技だ。
「くっ」
「おいカイ、続けたら死ぬぞ。ギブアップしたいなら、いつでもどうぞ」
「ふざけろ」
おいおい、まだやるつもりか。見た目より根性あるじぇねえか。
「……」
俺はあえて相手が立ち上がるのを待つ。
「なあ、もう一度チャンスやろう。まだ何か出し惜しみしているんなら、出してみろよ」
俺はカイを挑発する。特にメリットがあるわけじゃないが、自発的に仕切り直すことにした。
カイは肩で息をしながらも、ボコボコに腫れ上がった顔、血走った目で俺をにらみつける。よろめきながらゆっくり起き上がる。
「わかった。ジロー、後悔するなよ。切り札、出すからな」
「どうぞ。遠慮なく」
俺はチーターとして上にいく。そのためには、ただボコって勝ってもしょうがない。こいつから学べるものをすべて学んだ上で、さらにその上をいってやる。だからあえて攻撃させてカウンターを狙う。
「ジロー。あんた、俺にここまでしたチーターなんだから、あっさり死んだら承知しねえぞ――ハンマー」
カイは、最初と同じように両腕を組み合わせて硬化する。さっきはソードだったが、今度はハンマーか。リーチが短い分、一撃の威力はより高そうだ。
だが、さっきより躱すのは簡単そうだけどな。
「くらえ」
予想通り、ハンマーを振り被って突っ込んできたので、横に躱す。誰もいないとこにハンマーを振り下ろす。コンクリートに穴が穿たれる。何がしたいんだ?
「そら」
またもやハンマーを振り被ってきたので躱す。横なぎだったが、これといって支障はない。1mくらい飛べばいいだけだ。もう見切った。
「そら」
三度、思いっきりジャンプしてハンマーを振り被り――
「シザーズ」
「は?」
カイは空中で、両足をハサミのような刃物に変えた。そして俺の首筋めがけて、それを閉じようとしてくる。
「あぶね」
慌てて屈みこみ、首を引っ込める。あやうく首ちょんぱされるとこだった。辛くも躱したが、まさに必殺の一撃だ。ハンマーは囮で、これが本命だったのか。
――ただ、これって。
空振りに終わったカイの身体が、そのまま地面に叩きつけられる。それもそうだ。両腕がハンマー、両足がハサミ。これでどうやって着地するんだっていう話だ。
「焦ったぜ。だが、終わりだな」
俺はカイの顔面に向け、思いっきりストンピングする。ゴッという鈍い音とともに、カイは失神した。捨て身の攻撃もあえなく空振りに終わって打つ手なし、と。
戦闘終了だ。
「さて、こっちは片付いたな」
なかなか手強い相手だった。さすがはランク五十位だ。
とはいえ、俺自身の成長は明らかに感じられた。短期間で何度も戦っているせいか、段々と相手を怖がらなくなった。戦闘中も冷静でいられるし、動き方も目に見えてよくなっている。
単に膂力が増すのとは違う意味で、強くなったのだ。そうでなければカイには勝てなかった。終わったみればほとんど無傷で勝てたが、際どいシーンはいっぱいあった。けっして楽勝とはいえない。
まあいい。反省は後だ。
「ところでビーは」
ビーが戦っているであろう、広場の方を見やると。
「うりゃああああああ」
思いっきり地面に頭と肩をつけてグルグル回転し、近づく相手を次々蹴っ飛ばしているビーの姿があった。あれがブレイクダンス譲りのヘッドスピンか。カポエイラでこんなような技あったっけ。
「……」
唖然とする。
すでに蹴り飛ばされて気絶しているのが四人。そして今。ちょうど、五人目のシャラクが蹴り飛ばされたところだ。
ビーが俺に気が付き、こっちに笑顔を向ける。
「ジロー。こっちは片付いたよ、そっちは」
「こっちも終わったとこ。なんとか無事」
「すごいじゃん」
忘れていた。ビーは国内ランク七位、めちゃくちゃ強いんだった。一対五だと不利とか、そういうレベルのチーターじゃないってことか。まぎれもなく、この国のトップの一人。あまりにフランクに話してたせいで、そのことを忘れていた。
とにかく、これで急場は凌いだ。
だが、クサビグループとの抗争はまだ始まったばかりだ。
「じゃあジロー。とりあえず本部に戻るよ」
「わかった」
しかし、クラン同士の抗争か。まさかチーターになってすぐ、こんなものに巻き込まれることになるなんて、思いも寄らなかった。
俺たちはクサビグループの刺客を撃退して、その場を後にした。
2023年のGWより投稿開始。GWは毎日、その後は週一ペースでの投稿予定。
まともな長編小説は初投稿です。ブックマーク、評価★や感想などいただけると幸いです。




