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"リモート勇者作戦"って何?

「君たちにはこの世界を壊す力を持つ危険なスキルを回収してもらう。人形を遠隔操作してな。」

 

 突如、異世界転移した二人の男子高校生、鎌滝涼之介(かまたきりょうのすけ)増上利文(ぞうじょうとしふみ)。彼らは謎の異世界人、バッグスと出会う。バッグスは"リモート勇者"と名付けた謎の計画を語った。


「スキルの回収?リモート勇者?あまり意味がわからないのだが?」

 利文が答える。


「実際に見て、やってもらった方が早いな。ついてこい。」

 バッグスは立ち上がり、手招きし、隣の部屋へと案内した。





 暗っ!

 涼之介が部屋に入ってまず感じたことだった。そして、あたりを見渡し次のように思った。


 ?、何か光っている。あれは、モニター?

 モニターだな…。そして、近くにはゲームのコントローラー?何だ?この部屋?まるで、引き篭もりゲーマーの部屋みたいだ。


「何だよ。ゲームオタクが引き籠もってそうな部屋だな?」

利文も同じ考えのようだ。


「それに、等身大フィギュアとか置いてあるし。」

 利文が指し示した部屋の角には、大きな人形が横たわっていた


「どわぁぁぁぁ!!びっくりしたー!?等身大フィギュアというよりデカいデッサン人形だろ。これ。」

 涼之介は驚愕の声を上げた。それと同時に、バッグスが言ったことを思い出した。

「そうか!これ!人形!そして、これ!コントローラー!んで、こいつでこれを遠隔操作ってこと?」



バッグスが頷く。

「そうだ。そして、これに人形の視界が映る。」

 


 先程、涼之介がモニターだと思ったものは、映像のみが空間に浮かぶ謎のスクリーンだった。映像には、涼之介達が映っていた。

 そして、涼之介は、コントローラを手に取り確認する。左右合わせて2本のスティック、右側には6つの丸ボタン、左には十字のボタン、左右それぞれトリガーボタンもついている。まさに、外観はゲームコントローラーそのものである。


「コントローラーの解像度が高すぎるな。この世界でもテレビゲームは存在するのか?」

 利文が涼之介の持つコントローラーを見て、バッグスに聞いた。


「そんなものはこの世界にはない。ただ、私は知っていたのさ。昔、異世界人の知り合いがいてね。そいつから聞いたんだ。」


「俺たち以外の異世界人…。エスアル王国が連れてきたってやつか。」


「奴は度々この世界はゲームのようだと言っていた。ゲーム…。君たちの世界では、仮想で種々の冒険を楽しむ遊びだと教わった。興味を持った私は、それを調べて理解した。そして、今回の計画を立案するとき、要として利用できると思いついたのさ。」


「つまり、ゲームのキャラクターのようにこの人形を動かして、危険なスキルってやつを俺たちが回収すればいいってことか?でもそれ別に俺たちがやる必要なさそうだが?」


「そこはさっき言ったもう一つの特異性ってやつが重要なのさ。この人形は私には動かせない。」

「もう一つの特異性ってなんですか?」

「それは、今の君たちには不要な知識だ。やることが分かったら、おしゃべりは終わりだ。さっさと人形を動かすぞ。」


「そんな急かすなよ。最後にひとつだけ質問だ。あんたは強力なスキルを手にして何がしたいんだ?第一印象、あんたが世界を救いたいなんて考える心優しい人間だとはとても思えない。」


「第一印象で人を判断してはいけない。私は嘘を言わないし、世界も救う。壊れスキルは、そのために必要だ。だが、何に使うのかは君たちには教えない。」


「じゃあ、俺たちも協力出来ないな。」


「君たちは協力を拒否することなんてできない。外の怪物を見ただろ。奴らに見つかれば、君たちは一瞬で殺されるな。私の協力抜きでは、君たちはここから出ることさえできない。」


「ふざけんな!勝手に連れてこられて迷惑してるんだ!元の世界にオレたちを戻せ!」


「君たちを勝手に連れて来たのは私ではない。その怒りは、エスアル王国に向けてくれ。そして、元の世界に戻りたいなら私の言うことを聞くべきだ。私なら君たちを元の世界に戻ることができる。」


「その国を欺いている人間の言う事が信用できるかよ。」


 その時、怒る利文の肩をポンと涼之介が叩いた

「利文。落ち着こう。今はバッグスさんの言うことを聞くしかない。他に手はないだろ。」


「お前…。あいつの怪しさが分からないわけないだろ!あいつに協力することで、後々取り返しのつかない事態になったらどうするんだよ。」


「わかるよ。僕も信用していない。でも、それはバッグスさんも同じなんだよ。僕らは初対面なんだ。僕らは互いにどんな人間なのか分かっていない。そんなよくわからない人間になんでもかんでも教えるわけにはいかないだろ?さっき、僕たちの質問にバッグスさんは”教えない”って答えたよね。騙そうとするんだったら、適当な答えをでっち上げればいいのにさ。だから、嘘をついていないと思うんだよね。バッグスさんに協力する。それは僕たちが、元の世界に戻るための今できる最善の手段なんじゃないかな。」


「涼之介…。お前は、人を好意的に捉えすぎる。俺はやはり心配だ。」

「利文。もし、何かあったらその時に逃げようよ。僕たち、強力なスキルってやつを持ってるみたいだしさ。いいよね、バッグスさん!」

 

バッグスは頷き、涼之介と利文の顔を見て答えた。

「そうさ。君の言う通りだ。私も君たちを信用していない。いい関係じゃないか。互いに信用できなくて、相手の信用できる部分は自分たちの頭で考える。100%の信頼なんて私は最初から望んでいないからな。それに、君たちはあくまで異界の人間。この世界について深く知る必要なんてないんだ。この世界の問題なんて、他人事のように見ていればいい。そのための遠隔操作なんだからな。」


「分かったよ。ひとまずお前の言うことは聞く。」

利文は腹落ち無さそうに答えた。




「よし、ひとまず話はまとまった。早速遠隔操作だ。」

 バッグスが、コントローラーを持ち上げて言った。


「いや、待て。その前に、服だ。遠隔操作で俺の服を買いに行こう。」

「あ!利文。そういえば全裸だったね忘れてたよ。」

「忘れんな!」









「服を買いに行くにあたって問題がある。このままじゃ服屋の人間と会話ができない。」

 バッグスは人形を叩きながら言った。


「人との会話は遠隔操作では想定してないってことですか?」

 

 バッグスは腕を組みながら、涼之介の質問に答えた。

「もちろん想定はしているが、未知数なところが多くて正直不安といったところだ。」


 次に利文が、人形の頭に触れながら言った。

「見た目はどうにかしないとな。このままじゃ、デッサン人形だ。」

「見た目はどうにかなる。鎌滝涼之介、人形の手を握るんだ。」

「承知!」

 

言われた通り、涼之介は人形に握手した。



「で、このヌード写真を見ろ。」

 

バッグスは、おもむろに男性のヌード写真を取り出し、涼之介に見せつけた。

「え?なんでそんなもん持ってるんですか?」

「うるさい。黙ってみろ。そして、このヌード写真の人間の手を握ってると考えろ。」

「わかりました?やってみます?」

 

 涼之介は妄想した。

 今、握っている手は、あのヌード写真のイケメン。20代前半ぐらいで、ちょっと筋肉のついた…、あと股間は、そんな感じ。



 手の感覚が変わったような気がした。



「もういいぞ。」

 バッグスの声が聞こえたので目を開けた。すると、

「うぉー!あいつがいる!」


 

人形の見た目は、ヌードモデルの男性になっていた。

「一体、どういう仕組みで…。リアルすぎて、キモいな。髪、細部にいたるまであの写真の人間だ。」

 髪を触りながら、利文が言った。


「これで見た目は解決だな。」

「いや、まだだ。こいつ全裸だろ。服はどうするんだ。」

 利文が股間を指差しながら言った。


「服はどうにもならないな。鎌滝涼之介、君のを着せろ。」

「いいんですか?異世界の服ですよ。目立ちません?それにサイズもあってませんよ。」

「はは!お前が脱げ!バッグス!俺の全裸を無視した報いだ。」

 利文が笑いながら言った。


「私はこの一着しか持ってないしな。脱ぐのか…。嫌だなぁ…。」

 バッグスは嫌そうな顔をして言った。


 すると、涼之介が声を上げた。

「わかりました。僕も脱ぐんで、バッグスさんも脱いでください。」



「?君は何をいっているんだ?どういう意味だ?」

「僕が脱ぎます。バッグスさんも脱ぎます。これで、お愛顧ですね。」




「は?いや、だから…。お前たちの世界には、そういう風習でもあるのか?増上利文?」



「いや、ないけど。俺も涼之介が何言ってるのかわからない。でも、脱ぎたいなら脱がせばいいじゃないか?そして、お前も脱げ。」



 「あー…。」

 バッグスはか細い声をだした。

 


 そして、全裸3人の遠隔操作による冒険が始まった。

 



〈この世界の真実〉

多くの異世界人は、強力なスキルを持っている。



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