ノンストップ!異世界
読みづらくて申し訳ありませんが、一息に読んでいただければ幸いです。
「ドンッ。くるりと世界が回転し、視界いっぱいに青空が広がる…… 日々の生活にとくに不満もなく、スマホゲームでたまに回す10連ガチャに一喜一憂しつつ、たいていの同級生ともそつなく波風立てず、趣味で語れる友だちもいて(一人だけど)、今夜は好きなライブ配信があるんでいそいそと帰ってたら、まあ色々と配慮するんで何とは言わないけど、巨大質量の物体にぶつかられて吹っ飛んでます。あー、これはあれかぁ、と思ってブラックアウトしたら、目の前にお約束の困り顔の女神的な人が立ってて、「本当に申し訳ない」って平謝りで、やっぱこのドジっ子キャラが手違いでってパターンだなって。じゃ、先手で「一番いいスキルを頼む」って言うしかないじゃない。転生先は赤ん坊か、村人か、それとも魔物かな。目を覚ますとどっかの石造りの部屋。魔方陣の上。でたー、異世界から勇者的なのを召喚する儀式ぃ。フードかぶった方々、明らかに間違ったかな?って奇異の眼で見ないで欲しい。こっちだって申し訳ないんだから。よし、事情は分かった。連れていかれた先で王様的な人の説明を受け、世界を覆う魔障の霧を封印する役目を請け負った。とりあえず街に行って冒険者ギルドで依頼を受ける。ついでに森をうろつくゴブリンを倒したり、落ちてた卵が孵化して出てきたドラゴンになつかれたり、野盗に襲われている馬車を救って貴族令嬢に感謝されたり、それを木陰で見ていた謎の仮面騎士が思わせぶりにニヤリとして去って行ったり、うっかり迷い込んだダンジョンで一緒に戦った落ちこぼれ連中にえらくなつかれて仕方なしにパーティ組んだりしてたら夜になったので、ギルドに戻って薬草採取の依頼を報告。やれやれ、ため息をつきつつ、そういえばランク判定まだでしたねと出てきた水晶的なのはオーバーフローして破裂。奥から出てきたギルドマスター(先代勇者パーティのひとり)となんのかんのあって認められ、世界に散らばる6精霊の伝承を何の因果か聞かされるや、隣の国であからさまに風がらみのトラブルが起きて仕方なく解決。あれよあれよと6体の精霊の加護を得ると、たまに見かけてた仮面の騎士と対決。記憶をなくしていたけど、消滅間際に思い出したようで(実は先に召喚された異世界人、というか同級生)、思い出話に涙する間にお別れ。感傷に浸る間もなく、無駄に炎の精霊国に寄り道して温泉入ったり(サービス!)、仲間の盗賊が油断して毒食らったりして(裏切者の影!)、唐突に緊張感高い感じになってきた。なんか話の展開も早くなってきた? そういえば、もらったスキルはなんだっけ。ステータス見れるくらいしか出てなくない? いや、まあ超便利だけど。攻撃力-防御力=ダメージ、素早さ順行動、ランダムなしという絶対原則がある世界なので、ステータス分かればまず負けないからね。あとご都合展開という隠しスキルかな。といったあたりをなんとかうまくメタ的な設定でオブラートに包んで説明しつつ、魔障の霧が吹きだす魔界の門へ到着。これを封じる方法は結局何なのか分かってないんですが。と、今さら困惑してたら急に意識を失い倒れるパーティの三人。いったい何が…… 三人から立ち昇る煙のような存在が語り出し、実はそれぞれに眠っていた封印の三柱神だったなんて!! 確かにどっかで誰かが言ってたかもしれない。そういえば、妙なアザなどもあったかもしれない。「後は封印の巫女の力で」とか言ってるけど、そんな人いたぁ? え、ワタシ? そう、実は私は女性だったのです(なぜかみんなには内緒だったけど)。なんか門が開いて禍々しい手が覗いてるし、早く閉めちゃいましょう。って、普通にみんなで押すのかぁ。んぐぐ、パワー負けしている。えぇっ?後ろから謎の力が! あ、これまで存在感なかったドラゴンが謎に成長して、神龍的な存在にぃ!? うおー、なんか最終決戦らしからぬ地味な戦い(ドアの開け閉め)だけど、頑張って閉め切りました。前任者の鍵の閉め忘れってどういうことぉ? あははははぁ、一件落着。お役目も果たしたし、元の世界に帰るとするか。じゃ、またな、って振り返って挨拶して、光に包まれると…… 周りは見慣れた現代ではなく豪華なお屋敷の中。鏡を見るとドリルみたいな縦ロール。んん、ここは私の好きな乙女ゲームの世界? まさか私が悪役令嬢? 次は一体どうなるのー??」
ってタイトルの本が出たと思うんですけど、一冊ください。
(ノンストップ!異世界・了)
異世界に行ってないし、異世界転生ものじゃないはず……