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第4話 夜守の仕事
夜守は、村長の家へと招かれていた。
彼は椅子に座り、テーブルを囲む形で村長と向き合っていた。
「夜守様、お越しくださりありがとうございます」
夜守は怪訝そうに村長の顔を睨む。
この村の中で、一番貧相な格好をしている村長の様子を見るに、悪い奴ではなさそうな雰囲気ではある。最近、夜も来ないせいでみんな睡眠不足のようだが。
夜守は早々に尋ねた。
「さっさと穢獣がどこに出たか教えろ」
「は、はい……穢獣は、スラム街に頻繁に出入りしているようで」
「スラム街?」
「は、はい。それをご存じでクラリスを助けてくださったのではないのですか?」
「何の話……待てよ」
夜守は顎に手を当てながら、考え込む。
そういえば、あのガキの周りに穢獣の因子が近くにいたな。
まさか……?
夜守は立ち上がり、村長から背を向ける。
「……穢獣の臭いがする」
夜守は鎌を構えた。
夜守に与えられた穢獣を殺す、夜守の武器だ。
「――――待ってろ、クソガキ」
夜守は告げると早々と村長の家から退室した。