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だるそうな異星人

大きな原っぱに一台のロケットが着地した。

中からは、地球から調査に来た2人組の調査隊が降りてきた。


「隊長、周囲の安全確認が終わりました。」

「ご苦労。それではこの惑星の住人を探すとしよう。」

「事前の調べによると、

この星では生態の異なる2種類の種族が共存しているとのことです。

ここを拠点に、電子望遠鏡で惑星を詳しく調べましょう。」


隊長と隊員の二人は、惑星中をくまなく調べたが、不可解な事実がわかった。

「おい、この惑星には種族が1種類しかいないぞ。

それに連中、一日中寝てるか、

だるそうな顔をしてぼーっとしているだけかといった様子だ。

調べた情報と随分違うじゃないか、もっと栄えている星だと聞いていたが。」

「私にもさっぱりです。一人捕まえてきて聞いてみますか。」


その惑星の住人は、抵抗するそぶりもなく簡単に捕まえられた。

そして、その住人は拠点に連れて帰るまで、一言も話さなかった。

隊長は住人に聞き取りを行った。

「ここの惑星にはなぜ君たちの種族しかいないんだ。

もともと2種族で共存していたはずだろう。」

捕まった住人は何も話さない。

「おい、聞こえているのか。」

依然として何も反応はない。

「おい、答えろと言っているんだ。」

隊長が声を荒げると住人は怪訝そうな顔をして渋々答えた。


「もう、大きな声はやめてくださいよ。戦争ですよ、戦争。

昔、2つの種族が対立してどちらかが滅ぶまで争ったんです。」

住人はボソボソと小さな声で話した。

「なぜそんなに小さな声で話しているんだ。」

「これも戦争の代償ですかね、

滅したもう一つの種族はこの星で唯一、

二酸化炭素を吸って酸素を吐き出す生体だったんです。

つまり、それがいなくなった今、酸素を生み出す物はこの星からいなくなり、

ここの残りの酸素がなくなった時が我々の死の時になってしまったのです。」


「なんと、だから酸素をなるべく使わない様に皆じっと何もしていなかったのか。」

「隊長、そうとわかったらここはただ死を待つだけの恐ろしく惑星です、

早く逃げましょう。」

するとだるそうな顔の住人が口を挟む。

「あ、それならダメですよ。

そのロケット、発射の時の燃焼で大量の酸素を消費するので、

あなた方が目を離していた時に壊しておきました。」

「馬鹿な、そんなはず…」


隊員が確認しにいくとロケットの発射装置は確かに破壊されていた。

「そんな、嘘だ、これからそうすればいいんだ。

ずっとここで死を待つしかないのか。」

絶望から思わず2人は泣き叫びはじめてしまった。

すると、星の住人が止めに入った。

「あの、すいません、あまり叫んだり泣いたりはやめてもらえますか。

限られた酸素がもったいないので…」


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