王城直属祓魔師、カッコつけたはいいけれど
ものすんごく間隔空きましたがなんとか投稿できました………。
今回も誤字脱字、文のおかしいところ多々あると思いますが温かい目で見てやってください………。
手の中にあるボトルーー消毒液を見て、ふうっと息をつく。
それと同時に汗がどっと出て、バタッと後ろに倒れこむ。
(つ、疲れたーーーーーーーーーー)
まさか消毒液がゾンビに効くとは思わなかった。
というかこれはあれか。
ゾンビがいるということは。
(誰もが憧れる異世界転生…………‼︎)
思わず頰が緩む。多分女子が一瞬で去って行くほどのひどい顔になっているだろう。
程よい興奮感に身を包まれ、ウトウトし始めた頃。
(はぁい☆)
絶妙に気持ち悪いバラン(略
(ゾンビいいいいいいいいいいいいいい×2‼︎‼︎)
慌てて起き上がりスプレーの引き金を引く。
ところがどういうことだろう。
そこにいたのはたかだか2体のゾンビではない。
およそ100のゾンビが、俺の周りに群がっていた。
(マジかーーーーーーー)
次々と襲いかかってくるゾンビに向かって必死に引き金を引くが、倒しても倒しても次が来て、どんどん攻撃してくる。
とっさに2本目の消毒液を出し、二丁拳銃スタイルにして引きまくる。
(やばいこれ、量が保つか⁉︎)
さっきまで書いていたはずの心地よい汗が冷や汗に変わり頬を伝う。
(くっ……そ!)
プシュッ!と左右のゾンビに向かって消毒液を放つと、だいぶみっつみつの密だったゾンビの集団に空白が見えてきた。
押し負けてなるものかと無我夢中で引き金を引きまくる。
そうして指の感覚がなくなってきた頃……。
(た、倒した…………)
ぺたんと尻餅。
頭が真っ白になっていた。正直よく死ななかったなと思う。
ふっと周りを見ると、突然俺を特大のダメージが襲った。
消毒液を浴びたゾンビの肉は溶けて死ぬが、血などは残る。
それが100体分になるとどうだろう。
あたりはまるで地獄絵図。
服にもべっとり血がついてーーーーー。
(気持ち悪いッ…………………………………………‼︎)
「不潔」というワードが俺の頭を駆け巡り、一瞬でショートしたのだった。
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アインハント村・「ホチャルの光」亭
「すみません!」
扉をくぐって、1人の少女が駆け込んでくる。
銀髪のツインテール、赤と青のオッドアイ、整った目鼻立ち。
誰が見ても文句のない美少女だ。
中にいた男たちは何者かとそちらを見て、目を見開く。
「あんた……」
美少女は羽織っていた白いコートの胸ポケットから銀の懐中時計を取り出して男たちの方に向ける。
「王城直属銀3級祓魔師、シアナ・シルバルトです。この付近でアンデッドの中規模集団が確認されましたので、討伐に参りました!」
「お、王城直属祓魔師………!」
「嘘だろ、こんな女の子が?」
「でもあの懐中時計に制服……」
王城直属。それはつまり、王国の中でも精鋭中の精鋭であることを意味する。
その人数はなんとたったの100人。
姿を見るだけでもかなり珍しいのだ。
彼らが纏う制服ーーー清廉を表す白のシャツに白のマント、青みのかかったスカート、銀のブーツは、国中の民の憧れの的だった。
そんな珍しく美しい制服をまとった少女が目の前にいる。
男たちは驚きでしばらく動けなかったが、一つの不安要素を思い出す。
「ひゃ、100体だって?それは……」
アンデッドの討伐基準は、アンデッド30体につき銀級祓魔師1人。
「王国直属祓魔師とは言っても1人では………。」
少女は美しい顔を歪めると、ポツンと言った。
「近隣の支部の祓魔師も今忙しくて、来られたのは私だけなのです。現在、援軍をお願いしているので、その方たちが来られるまで、私が食い止めます。」
少女は深く頭を下げ、「ごめんなさい」とため息のような声を出した。
「いや、1人とはいえ、王城直属の祓魔師様に来ていただけただけでもありがたい。なんせここは国の端の方だから、今まで何回も私たち村人たちだけで対処してきたんだ。王城直属祓魔師が1人いるだけで、死者の数もかなり変わるのだろうから……」
「ホチャルの光」亭のマスターが奥から出てきて、顔を上げさせる。
美少女は泣きそうな顔をなんとか戻して、建物の中を見渡した。
「あの、聖水はありますか?万が一私が食い止められなかった場合、聖水を村の周りに蒔いておくとアンデッドたちは避けていきますので……」
「あ、ああ、あるけど……。」
「では、私が蒔いてきます。どこにありますか?」
キョロキョロする美少女を前に、慌てて男たちは首を振った。
「いや、俺たちが蒔いてくるよ。祓魔師様は、どうかアンデッドをやってくれ。死人も何人か出たにせよ、今まで俺たちだけで対処はできてたんだ、万が一こっちにきたとしても、自分たちの命くらいは自分で守れるだろうからな。」
「………!はい、どうか、お気をつけて……」
「祓魔師様、ご武運を!」
美少女は少し眉を下げて頷くと、酒場を出る。
外につないであった馬にまたがると、キッとアンデッドのいる方向を睨みつけた。
「待ってなさい。あなたたちを倒して、私はもっと強くなる!」
勢いよく馬を走らせ始めると、耳元にはまっていた青い宝石から声が流れる。
「シアナ。カッコつけたところで悪いんだけど………。」
「なあに?今気分結構良かったのに、水ささないでよ。」
「いや、あの………。なんか、アンデッド、いなくなってるや……。」
「……………は?」
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