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スピア・スフィア戦記  作者: 星馴染
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第008話 騎士スピア

開いていただきありがとうございます!

 騎士選抜の戦いのルールは簡単な物である。勝ち抜き戦のような無駄に時間を

かける事はしない。誰かが舞台に上がり、勝てると思った者が舞台に上がる。

 勝った方が続けて戦い、挑む者がいなくなれば一位である。

 一位が決まった後は、次の人物が舞台に上がり、戦い、挑む者が居なくなれば

二位だ。十人までその方法を繰り返して、一日から二日で騎士選抜は終わる。


「俺と戦う奴はもういないか?」

 一位を決める舞台にいるのは、これといって目立つ所の無い冒険者のスピアだ

った。


 スピアの戦い方はシンプルだった。スピア自身は平均的な成人男性の身長より

もやや大きいくらいであるが、背負った大剣は軽く彼の四倍を超えている。

 長槍よりも長く刃すらないその大剣は、分厚く長い金属のプレートに持ち手を

付けたような不格好な物だった。

 周り失笑を買ったが、スピアの最初の一戦で全員が黙らされた。

 軽い枝のように、速度に特化した軽い細剣のように。

 開始の合図から踏み込み、想像できないような質量の金属のプレート……スピ

アの大剣が振られた。剣でガードしても圧倒的な質量差で曲がるか折れるかした

後、障害にもならずそのままの勢いで身体が縦に切り裂かれる。

「な……つ、次は俺だ!」

 盾を持った参加者が舞台の上に上がる。

 剣で大剣を止めるのが間違いだ。鋭い刃の剣は軽いが脆い。棍棒でも剣の腹に

当たれば折れるような物で止めようとしたあいつが弱かっただけだ。

「武器を止めるのは盾だ。お前の剣を受けた後、ナイフでその喉を掻き切ってや

る!」

 そして盾で少し角度を付けて滑らせるように大剣の力を受け流そうとした男は、

スピアの斬撃を受け、間違いに気付いた。

 角度を付けて威力をある程度流したはずの盾が薪のように割れる。

 そのまま大剣は止まらず、身体が縦に両断された。

「次は俺だ!」

 そもそもあんな化け物みたいな大剣を振り回す奴に接近戦を挑むのがおかしい

のだあんな重い大剣を持っているんだ。剣を振る速度は速いが、剣を振る力と速

く移動をする力とは別だ。遠くから魔法を打ち込めば負けるわけがない。

そして放たれた魔法を、スピアは大剣で切るようにぶつけた。

魔法が消滅し、呆けた魔法使いの傍へ一瞬にして踏み込み、切り飛ばした。


 信じられないくらいの質量の大剣を持ち、信じられないくらいの速度で移動し、

信じられないくらいの速度で振る。剣技も何もない。


 紙の筒や紙の盾で真剣を相手取るような圧倒的な……絶望的な程の差があった。


「俺が一位でいいか?これでいい女に一歩近づいたな」

 誰も舞台へと上がらないのを見て、スピアの一位を決める。

 昨日会ったステッカーが貴賓席へ射るのを見つけ、ぐふぐふと下卑た笑いを浮

かべながら、ステッカーの隣に腰を下ろした。

 近衛がまわりにいてもお構いなしである。

「うん、いい席だな。ステッカーちゃんは貴族だったのか」 

 近衛が止めようと動くのに、ステッカーは手で制して

「構わないよ」と出ようとした近衛を下がらせる。


「ぐふふ、どうだ?俺は強かっただろう?」

「……うん、強かったね。それにしても、スピアさんの武器はすごいね。軽々と

振りまわしていたけど。形状も珍しいし、何か特別な武器なの?」

「特別?そうだな、特別な武器だ」

 軽くするような魔法が組み込まれているのだろうか。特別と言う武器にステッ

カーは興味を抱いた。

「見せてもらってもいい?」

「そこのおっさんが同じ事を言ったらみじん切りにしてやる所だが、ステッカー

ちゃんの頼みならいいぞ。美人は世界の宝だからな」

 ステッカーのやや開く胸元をガン見しながら、大剣を地面に置く。

 いやらしい笑いを浮かべるスピア。

 ステッカーはやや胸元を抑えながら剣を預けてくれる事に感謝を伝えた。

読んで頂きありがとうございました!

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