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スピア・スフィア戦記  作者: 星馴染
10/23

第010話 防衛の騎士スピア

開いていただきありがとうございました!

体調を崩してしまい、更新サボってしまいました。

休んだ分、いつもより1000文字増やしてみました。

読みづらい、文字は少なくていい、多い方がいい、等の何かご意見や感想等があれば

メッセージを頂けると嬉しいです。

 グルグルパンチという言葉を知っているだろうか。子供の頃、喧嘩でグルグルと手を振り回す子供を見た記憶はあると思う。


グルグルパンチと名付けられるその攻撃は両手を文字通りグルグルと回しながら相手に殴りかかる技である。

大人になると普通の喧嘩、テレビや格闘技番組等で攻撃の仕方を学び、壊れたロボットのようなその行動をする事は無くなる。筋肉の収縮を使わない腕を伸ばしきったグルグルパンチは相手へあたるまでの軌道も単純になるため、かわされやすく、あたっても攻撃力が低い。

極道映画の殴り合いのシーンでは間違っても出てこないような最弱の攻撃である……が、その無意味な攻撃は世界中の子供の喧嘩に現れるのだ。

日本の子供も、アメリカの子供も、イギリスの子供も。

小学校……エレメンタリースクール以下の子供の喧嘩では必ずと言っていいほど同じ行動……グルグルパンチを行う。動物の中でも猿やオランウータン、知能が高い動物の幼少期にもなぜか現れるという。


何故か。これには近年、幼児の行動心理学者の研究により明確な理由が定義されたのだ。

型通りの綺麗なフォームで空手等の突きを繰り出す、ボクシングのようなパンチを繰り出す方が強いように思えるが、子供の弱い腕の筋肉では引き付けて押し出すという重力に逆らう動作をしても、筋力が弱いため重力に引っ張られて威力が落ちてしまう。

成長途中の短いリーチでは相手に攻撃を届かせるためにはかなり近い距離から撃たなければならないし、伸び切った手のパンチは威力が全く無い。


腕を引く、相手を狙う、腕を突きだす、腕を引く、という動作には慣れが必要になる。頭の中でいつ手を出すべきか、という思考が必要になる。


子供の頃はその切り替えがうまくできないため、攻撃の速度が鈍るひどく非効率な行動なのだ。

また、子供の喧嘩では威力よりも攻撃回数が多い方が有利になる。実際にグルグルパンチが決まった場合、殴られた直後には逆の手のパンチが飛び、そのパンチが当たる頃には逆の手が重力によって振り下ろされようとしている。無限にも続くと思わせるその繰り返しの攻撃は、子供に攻撃の合間という希望を見せず、絶望を与えるだろう。

腕を回転させる、という行為には駆け引きも何もいらず、発動させようと思った瞬間に発動させて、手が当たる距離まで近寄ればいいのだから。

つまり、子供は短いリーチ、弱い筋肉、攻撃速度を考えた結果、自分の筋肉に頼った重力に逆らうパンチよりも、重力と遠心力を利用したグルグルパンチの方が強い、と……グルグルパンチという行動に辿り着くのだ。


=== ===

シプラス近隣の山地の国々が例年のように『収穫期』を終え、例年のように金のガチョウの卵を収穫……もとい略奪にやって来た。

ただ、一つ例年と違っていたのは……

 スピアという騎士の存在だった。例年よりも強固な軍を編成し待ち受ける。ステッカーが出した作戦会議の中で、スピアはただ一言

「ステッカーちゃんは俺の物。ステッカーちゃんの物も俺の物。つまり奴らは俺の物を狙っている訳だな?」

 不敬だぞ、と声を上げる物は誰もいない。スピアの強さは皆が知っているし、スピアの口や態度は悪いが、実際にステッカーに手を出す、という事はしていない。

 実際に手を出されても止められないのではあるが……。そんな扱いきれない爆弾のような男に、ステッカーは引きつった笑いを浮かべる。

「私自身と私の物は私の物だよ。一応、騎士と女王だから主従関係なのによくそんな事を言えるよね」

「そいつらを倒したら、ステッカーちゃんは俺に抱かれたくなるか?」

「抱かれたくなるかは別として、騎士だから倒してよ」

「む……なら、倒して惚れ直させるとしようか」

「知っているかい?私がスピアさんを惚れ直すためにはまず、スピアさんに私が最初に惚れないといけないけど?」

「とっくの昔に俺に惚れているはずだろ……?グフグフ」

=== ===

スピアの身に着けた剣術は、子供のような考えのグルグルパンチを研鑽させてきたような物だと言っても過言ではない。

剣で言うと、上段から叩きつけるようにして切れば次は剣を持ち上げ身体へと寄せるために引かねばならない。半身をずらして横にかわされでもすれば、致命的な隙を与えることになる。

ゆえに剣術では上段から叩きつけるような斬撃よりも、横に振る方が多いのだ。右から左に剣を振るい、かわされても左から右に振る事ができるし、後ろに下がれば間合いを保つ事ができる。


スピアの剣には、そういう理はなかった。大振りで相手を上段から叩き切る。複数いれば横に振るい、まとめて薙ぎ払う。

『長いリーチの槍や大剣を使い相手よりも速く攻撃する』

言葉にするのは簡単だが、実際にはそう簡単な事ではない。ボクシングに於いて最強と言われるボクサーが言った冗談で有名な物に

『ヘビー級のストレート並みの威力を持ったジャブが打てたらそいつは最強になれるだろうね』という物がある。


高威力のパンチを高速で打つ。それだけで世界は取れるのだ。そして、それが言葉にするのは簡単でも、実際にやろうとすれば不可能な事をみんなが知っている。『サウスポーのアンダースローフォームで時速百七十キロの内閣低めから外角高めのボール球くらいまでホップする変化球を投げられればサイヤング取れるだろ』くらいの無茶だ。

自分の身体よりも大きな大剣を持って、小枝を振るような速度で相手に叩きつける。

躱そうと思った瞬間には両断されており、奇跡的に躱したとしても、一瞬のうちに剣を引き寄せて追撃の剣で両断される。

シンプルな力と速度。それがどれほど相手に恐怖を与えるのだろうか。

「俺のかっこいい所を見せてやろう。お前らは弱いからいらん、付いてくるな」

一言を残し、スピア単体で敵陣へと突っ込み敵を殲滅させてしまった。


「む、無理だ……あんなバケモノに勝てる訳がねえ!」

「シプラスは無抵抗で民と小麦を差し出すと言っていたじゃないか!あんな奴がいるなんて聞いてないぞ!」

そしてスピアが、「もう終わりか、つまらん」と言った時、戦場は動かない敵の兵士達で埋め尽くされていた。


読んで頂きありがとうございました!

発熱……は無い物の、頭痛が酷いなぁ……という週末でした。

体調は戻ってませんが、プロットはある程度決まってますので毎日更新を目指して行きます。

アクセス風がそこそこ伸びていました、ありがとうございます。

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