第001話 プロローグ
この世界には禁忌とされる非人道的生物兵器がある。
ゴブリンという生き物が居る。
ヒトを喰らい、ヒトを使って繁殖し、力や知能は人に比べると低いが、武器や
火を使い群れて生活する程度の知能を持っていた。
ゴブリンはヒトを苗床に繁殖する。
生まれてくるのもゴブリンで、ゴブリンを孕んだヒトは妊娠してわずか一ヶ月
という短いでゴブリンは産まれてくる上に、一度の出産で五体以上が生まれてく
る。一度ゴブリンの子を孕むと体内が作り変えられ二度とヒトの子を産むことはで
きなくなる。
ゴブリンは成長が速い。
生まれてからわずか一月で大人と変わらない力を身につける。五人の女性が拐
われて気付かないまま一年経てば三百体以上のゴブリンの巣が出来あがる。
例え百体のゴブリンが殺されても女性を拐うことができれば数はすぐに増える
のだから。ヒトは成長してまともに戦える力を持つまでには十五年以上かかる。そ
れに比べてゴブリンは産まれてから一月で大人のゴブリンと変わらない力を持って
いるのだ。
一体で正面から戦ってもヒトに勝てないゴブリンでも三人で襲えばヒトに勝つ
ことは容易い。武器を持てば、不意を付けば一体でもヒトに勝てるかもしれない。
巣が見つからなければ何度でも仕切りなおせる。そういう小競り合いを続けれ
ば滅びるのはヒトの方なのをゴブリン達は知っていた。
ネアンデルタール人とホモサピエンス
ネアンデルタール人は現世人類であるホモサピエンスより脳容量も身体も大き
く、身体能力も高かったのにも関わらず生き残ったのはホモサピエンスである。
ネアンデルタール人は成長に時間がかかったと言われている。
十歳のネアンデルタール人の脳容量、身体能力が五割程度までしか成長してい
ないのに比べ、ホモサピエンスは脳容量の九割、身体能力の七割を成長していた
とされている。
小柄で繁殖力が強く、ネアンデルタール人の女性との交配が可能であったホモ
サピエンスと成長するまでに時間がかかり、ホモサピエンスとの交配ができず成
長しきった時の能力はホモサピエンスよりも性能が高いネアンデルタール人。こ
の関係は何かに似てないだろうか?
小柄で繁殖力が強く一月で生まれ一月でほぼ大人と変わらない能力を獲得でき
るゴブリンが人の中に入り込み……もし体制を整えたら。
ゴブリンは制御不能なヒトという種の存続を揺るがすかもしれない最悪の生物
兵器なのだ。
久しぶりに書いてみました。リハビリ中です