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愚者の舞い 2−33

 翌朝、ルーケ達は寝具を仕舞うと、リセ目指して歩き始めた。

フーニスとラテルは相変わらず口喧嘩し、最後尾を歩くロスカがそのやり取りをにこやかに見詰める。

そんなやり取りを背で聞きながら、ルーケは黙々と歩いていた。

「あんときゃほんとまいったよ。 あんたが入り口間違えるからさぁ。」

「何言ってんだフーニス! ここだって断言したのはお前だろ!? しかも後で間違いに気が付いた時、断言した根拠はなんだって聞いたら、直感とか答えやがって!」

「あたしがここだって言ったのは場所の事だよ! 勝手に勘違いしたのはあんただろ!?」

元々この2人は、ルーケが出会うよりも先に一緒に行動していた。

どうやって出会ったかは聞いていないが、何となく普通の出会いでは無いような気がする。

(そう言えば、アクティース達の住む神殿入口の場所を変えたって言ってたなぁ。)

いつも不機嫌そうに自分を見るアクティースを、ルーケはあまり快く思ってはいなかった。

だが、あの美貌は呆れるほどである事は認めている。

長いストレートな銀髪はサラサラで、とても幻覚とは思えない。

顔立ちも完璧に整い、プロポーションも非の打ちどころがない。

まさに完璧と言ってよい容姿だ。

しかも体幅の長い布の真ん中に穴を開け、被っただけの特殊な民族衣装。

下着は丸見えで、本人がまったく気にしていないのがまた、目のやり場に困る。

巫女達は巫女達で、選りすぐった美女ばかり。

メレンダは身長が平均的で、三人の中でも中間に位置する程度。

完全に行き遅れの年齢だが、巫女として生きる以上は結婚など関係ないであろう。

優しげな顔立ちでありながらも子供っぽい言動のせいか、幼くも見える不思議な女性だ。

スタイルは一番胸が大きいく、4人限定で見比べると、一番ふっくらしている。

ルパは外見こそ幼いが、とにかくちょこまか動く。

まるでネズミのように、あまりジッとしていない。

本当に成人しているのか疑問に思えるほどの童顔で、4人の中で一番体が細く、凹凸も無い、本当の意味で子供っぽい子だ。

そしてクーナ。

細すぎもせず、太りすぎもせず、アクティースに次いで一番理想的なスタイルではないだろうか。

釣り目なので冷たい印象を与えるが、しっかりとしていて落ちつきがあり、一般的に理想的な女性であろう。

元は貴族の娘らしく、気遣いなども出来る娘だ。

もっとも、そんな娘がなんであんなに料理できるのか不思議ではあるが。

そんなクーナの全身を思い出している時、不意に悲鳴が聞こえた。

ルーケは立ち止まり、耳を澄ます。

「どうしたの? ルーケ。」

「シッ! 今悲鳴が聞こえた。 わからないか?」

そう聞き返され、フーニスも即座に集中する。

フーニスはシーフギルドで鍛錬を積んでいるので、一番耳が良い。

また、聞こえた物音の方角なども、ほぼ正確に知る事が出来る。

特別長い付き合いではないが、ルーケの意図をフーニスは完璧に読み取っていた。

「あっちの方向だね。 水の跳ねる音も聞こえる。」

「おいおい、金にもならねぇのに行くのか?」

「当たり前だろ! 魔物に誰か襲われているんだ! 助けるぞ!!」

そう言うと、ルーケは真っ先にフーニスの示した方向へ駆け出した。

「まったく、本気かよ。」

「馬鹿だね。 謝礼が儲けになるじゃないか。」

「出会いは人の縁です。 何の役に立つか分かりませんよ。」

肩を竦めて呆れるラテルの横を、フーニスとロスカも走り抜けざまそう言う。

「それもそうか。 おいフーニス! 可愛い美女の声だったか!?」

ラテルも2人に続いて走り出しつつそう聞くと、返事は怒鳴り声で返って来た。

「声で分かるか阿呆!!」


 ルーケが駆け付けると、1人の少女が複数の蛇に襲われていた。

恐らく水浴びしているところをジャイアントスネークに襲われたに違いない。

「今助けるぞ!!」

ルーケは瞬時にそう状況を判断すると、剣を抜くと同時に駆け出した。

「お待ちなさいルーケ!」

いつもは静かなロスカの緊迫した声に、ルーケも思わず足を止めて振り返った。

「何故止める!?」

「よくごらんなさい! あれは蛇ではありません!」

「蛇ではない!?」

ルーケは慌てて振り返ると、少女が蛇に圧し掛かられて水中に沈められた瞬間だった。

「落ち着きなさい! 我々では勝ち目がありませんよ。」

咄嗟に駆け出そうとしたルーケは最初の強い語気で再び足を止め、次いで静かに言い放たれた言葉でとにかく突っ込む事を思いとどまり、丹念に観察する。

ジャイアントスネークは確かに生命力があり簡単に倒せる相手ではないが、たかが数匹、勝てない相手ではないと思えるのだが・・・と、違和感に気が付いた。

良く見れば、まるで胴体が1つしかないようにも見える。

「ちょっと! なにボケっとしてんのさ!? 死体は感謝して金くれないよ!?」

「あなたも落ち着きなさいフーニス。 よくごらんなさい。 複数の蛇が少女を襲っているように見えるでしょう?」

「なんだって!? 少女!? そりゃ・・・(金持ってないよな。 でも謝礼金は家に送り届ければ貰えるんじゃないかな・・・)え? ように見える?」

その横に、やっとラテルが追いついて来て、全身で荒い息を付く。

ルーケは厚皮鎧、ロスカはほぼ布のローブだけ、フーニスは薄い皮鎧。

プレートメールアーマーと呼ばれる、ほぼ全身が金属の鎧に覆われているラテルとは重量が違う。

いきなり戦闘に加われる状態でも無い。

「ごらんなさい。 複数の蛇が暴れているにもかかわらず、頭部付近だけ盛大に水しぶきが立っているだけです。 その後ろ、胴体が一つのような気がしませんか?」

「そう言われてみれば・・・そうも見える・・・かも? でも、少女って?」

「ロスカ、そんな魔物の心当たりは?」

ルーケは油断なく水面を見つめつつ、3匹の蛇が頭を水面から出して警戒し始めたのを見て、ロスカの指摘が正しかった事を悟った。

「そう言った容姿の魔物に心当たりがありません。 恐らく、キメラか特殊な魔物と思います。」

「つまり? どういう事さ?」

「早く逃げないと全滅すると言う事です。」

「「えぇ!?」」

ラテルとフーニスの声が驚きにハモるが。

「ラテル、後方を守ってくれ。 フーニス、その支援を。 ロスカ、魔法を任せる。」

「・・・どうしてもやり合うつもりですか?」

「相手が逃がしてくれないってよ。」

ルーケがそう答えた瞬間、ザバァッと水を蹴散らして、2匹の蛇がルーケに飛びかかり、背後からガサッと2体の魔物が姿を現した。

「何だこいつは!? でけぇトカゲが2本足で立ってやがる!」

「リザードマンです! 強いですから気を付けて!」

「気を付けるったってどう気を付けるんだよ!?」

フーニスも度肝を抜かれて、思わずそう聞くと、

「見た感じ戦士タイプですから、力もあり技量もあります! そこに気を付けて下さい!」

「解説より弱点は!?」

フーニスが急いで懐からダガーを2本取り出して両手に構え、ロスカも杖を構える。

そして、ロスカは静かに告げた。

「ありません。」

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