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がんばれ、クマさん

ここは、逆さ虹の森です。


遠い昔、寒い寒い冬の日のことです。森に立派な虹が架かりました。その虹は逆さまの虹でした。端っこが上を向いた逆さ虹は、空が笑っているように見えるので、幸せの逆さ虹と呼ばれています。




逆さ虹のお祝いのために、森のみんなで集めた野菜や果物や木の実をクマさんとヘビくんはネッコ広場まで運びます。


からだが大きくて力持ちのクマさんが持つ大きな籠には、いっぱいの食材が詰められています。ヘビくんはクマさんが持つ籠の上に乗っていました。

ヘビくんは食いしん坊なのでクマさんが運ぶ籠の上でたまにつまみ食いをします。ヘビくんは、クマさんを手伝うために一緒に来たのではありません。つまみ食いをするためにきたのでした。


「ヘビくん、みんなであつめた食べ物だからみんなで一緒に食べようよ」


クマさんは、ヘビくんに注意します。でも、ヘビくんは聞く耳をもっていません。クマさんは優しいので怒っても怖くはないのです。


「みんながおいしい料理を作ってくれるよ」


クマさんは、ヘビくんにつまみ食いをやめてもらおうと声を掛けます。それでも、ヘビくんはひとくち食べました。ヘビくんはクマさんを無視しています。


「みんなで食べたほうがおいしいよ」


それでもクマさんは、ヘビくんに言いました。食いしん坊のヘビくんは、おいしいものが大好き。おいしいものが食べられるのならと、つまみ食いをやめます。それでも、しばらくすると我慢ができなくてまたパクリとつまみ食いをしてしまうのでした。


こんな風に、つまみ食いをしたり、注意をしたりしながらみんなのいるネッコ広場に向かうふたりですが、しばらく行くとクマさんは足を止めてしましました。

ふたりの前にはボロボロで崩れてしまいそうなつり橋がありました。オンボロ橋と呼ばれている橋です。

今にでも崩れてしまいそうなオンボロ橋を渡るのがクマさんは怖くて仕方がありません。


「オンボロ橋を渡るのはいやだな」


クマさんはぼそりとつぶやきます。ひゅーうと風が吹いてオンボロ橋をゆやんゆやんと揺らしました。風に吹かれてグウウとうなりながら揺れるオンボロ橋を見てクマさんは余計に怖くなりました。


「大丈夫、こわくないさ。ぼくが先に行くからついてきて」


ヘビくんがクマさんの持つ籠から降りてきて言いました。ヘビくんは、オンボロ橋を渡ります。ヘビくんがオンボロ橋を渡る間にも風が吹いてゆやんよんとオンボロ橋は揺れました。

ヘビくんがオンボロ橋の真ん中くらいに来ると雨が降り始めました。風も強く吹きます。それでも、ヘビくんはオンボロ橋を渡りきるとクマさんの方を振り向きました。


「ほら、大丈夫だよ。クマさん」


ヘビくんに言われて、クマさんはオンボロ橋を渡ります。雨に濡れた橋を渡ると滑ってしまうので、雨に濡れる前に橋を渡りたいクマさんですが、怖くてゆっくりとしか進めません。

クマさんがオンボロ橋を渡り始めてすぐに雨が激しく降ります。


「ああ、怖いよ。怖いよ」


風が吹くとゆよんゆよんと揺れるオンボロ橋の上をクマさんは滑らないようにゆっくりと歩きます。クマさんがオンボロ橋の真ん中に来るとびゅるるるるとひときわ強く風が吹きました。

オンボロ橋がぐおんぐわんと大きく揺れます。


「うわあああ」


クマさんは声を上げるとオンボロ橋の手すりにつかまりました。大きく揺れたのが怖くてクマさんは足がすくんでしまいます。怖くて先にすすむことができそうにありません。


「クマさん、風が弱いうちに早く渡をう」


ヘビくんがオンボロ橋の真ん中まで戻ってきて、立ち止まるクマさんに声を掛けました。風が弱くなっているうちに橋を渡ってしまえば安心です。でもクマさんはまたオンボロ橋が揺れたらと思うと怖くて歩けなくなっています。

クマさんがオンボロ橋の真ん中で立ち止まっていると、またぶおおおんと強い風が吹きます。


「きゃああああああ」


オンボロ橋が大きく揺れるとクマさんは悲鳴を上げました。早く渡りきらないとまた揺れるだろうと分かりますがクマさんは怖くて先に進めません。


「クマさん、大丈夫だよ」

「あと少しですよ」

「がんばれ」


オンボロ橋を渡った先にコマドリさんやキツネさん、アライグマさんにリスくん、森の動物たちがいました。みんながクマさんに声を掛けます。


森の動物たちは、クマさんがみんなの声を聴いたクマさんは、自分の足をダンと叩いて、ゆっくりと歩き始めました。クマさんがオンボロ橋を渡りだすと雨が弱くなりました。風だってもう吹いていません。


「クマさん、もう少しだ」


ヘビくんがクマさんと一緒にオンボロ橋を渡りながら言います。クマさんがオンボロ橋を渡り終わると雨がり雲が晴れました。青空が見えると太陽も顔を出します。

太陽の反対側には、端っこが上を向いた逆さまの虹が笑っているように見えました。


逆さ虹が架かりました。さあ、パーティの始まりです。

幸せの逆さ虹にお願いをしましょう。森の動物たちのお願いはみんな一緒です。


みんなが笑顔でいられますように。


逆さ虹が架かる日は、新しい年のはじまり。新年を祝うようなつもりで書きました。


2019年がよい年になりますように。

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