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欠落した過程 7

「あの人間たちは――――彼女と・・・・マリーと同じことをしようとしたんだ、差別し、嫌い、忌み子だと蔑み、たった3歳の子供に暴力を振るおうとした――――だから、全力で止めさせてもらったよ」


「止めた・・・・どうやって」


「そりゃあ色々さ、彼に危害を加えようとしたら体が痺れたりとか・・・・まあ絶対に殺させはしなかった、とだけ言っておくよ」


 「そして――」と、現最強は話を続ける。


「たった三歳の子供・・・・ウィスくんは、そのまま村で過ごすこととなった、が――当然、マリーは許してくれない。彼女は望んでいない子供でも、必死に育てようと懸命になった・・・・ウィスくんを自分で育てたいと言ったのんだ、だから――定期的に会うことを許したんだ、男の人間を捕まえることを理由にね、まあ・・・・結局会えなかったみたいだけどね」


「・・・・つまり、あの地下にいた男たちは、そのための理由のようなもので、結局は不要だったってことか・・・・?」


「確かに私の力を持ってすれば、君たちのやっていた作業なんて小一時間で終わる。けど――実際のところ、この話はうまくいったんだ。定期的に男をここに連れてくることによって、まるで生贄のような演出をすることができ、それによってエルフとの力の差を見せつけ、対抗心を弱めるとともに、勢力も弱めることができた――ただ、そんな風潮だけが根付いちゃって「男なら捕まえる」という間違った思想だけが蔓延しちゃったけどね」


「・・・・だから俺も捕まったってことか」


「そう――あとは、君のやっていた作業のように男女との仕分け作業・・・・あの作業も、実はただの仕分け作業だったんだけど・・・・まぁ、誰かが勘違いしちゃったみたいで、私が世界の完全女性化を目指しているって思われちゃったみたい」


 「やれやれだよね」と言いながら、現最強は真上に手のひらを向けて、首を横に振る。


「――――それで、条件は何故呑めないのか・・・・だっけ?」


 現最強は「昔話」とやらを全て話し終えたらしく、話の筋を巻き戻す。


「あぁ、そうだ・・・・結局、お前はどうして条件を呑めないのか――そこが、この話の根本だからな」


 その言葉に、現最強は「ふぅ・・・・」と小さくため息を吐くと――――、


「・・・・人間との共存――そんなの、私が実際にやったんだよ・・・・やって、あがいて、結局ダメだった。争いを抑えるには力が必要なんだ――強力な力がね・・・・強力な力で抑えて、飛び出た杭も叩き壊して、相手に妥協させるんだ――「こいつには敵わない」ってね」


「・・・・それが、条件の呑めない理由か?」


「うん――力がなければ共存は不可能。それが私の出した答え・・・・条件が呑めないとかいう前に、無理だと諦めるのが私だよ。ま、たとえ正解があったとしても、こんな面倒くさい心理戦なんかやってらんないよ」


「・・・・そうか――」


 目を瞑り、下を俯いて考える。

 妥協――――嫌いな言葉だ、「仕方がない」とあきらめて、「仕方がない」と自分を擁護して、「仕方がない」と――そうやって、未来を捨ててしまう・・・・。

 確かに同情もするさ、だが――――それはあきらめる理由にはならない。

 それは、決して未来を捨てる言い訳にはならないのだ。


「・・・・お前を倒して、俺が王になる。そして――統一させるよ、エルフと人間を」


 そう言って、確かな目的を頭に描いて――――、


「・・・・そんなの、夢物語だよ」


 しかし、それを否定するように――――、


「・・・・お前の力が何なのかは分からない。だが――――生憎、名称の規則性は掴めてきたもんでさ」


 手を銃の形にして、現最強の顔に向ける。

 確かな戦う意思を見せるが、現最強はまったく動く気配もなく――、


「じゃ、行くぜ――――」


「ふわあああああぁ・・・・なんだか気持ちいい夢を見ていた気がしますぅ」


 すると、横で同じく棒立ちになっていたハルが、急に体を伸ばしながら欠伸とともにそうセリフを言う。

 なんだか出端をくじかれた気分になり、「あのなぁ・・・・」と口に出してしまう。


「なんだかぁ・・・・とても興奮する夢を見ていたような気がするのですよぉ・・・・何度も男たちに犯されて・・・・ふふふふふ」


 そう言ってゲスい笑みを浮かべるハルにチョップを食らわすと、ハルは「うぇ!」と奇妙な鳴き声のような声を上げる。


「・・・・さて、ハルちゃんも起きたし・・・・私もそろそろおさらばするかな」


 そう言って、現最強は立ち上がると――――、


「おい!ちょっと待――――」


 ――――ズブリと・・・・現最強の頭から槍のような長い棒が突き刺さる。


「!?」


 どこから現れたか分からない――――ただ、瞬きをする間に――現最強に棒が突き刺さっていた。

 その棒は頭から下半身までしっかりと貫通しており、棒の先からは赤い血がタラリと流れて――――、





 ――――ブブッと、スマホの揺れる感触がした。


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