欠落した過程 6
――――それから・・・・エルフたちの拠点移動が無事に終わり、しばらくした後だ。
・・・・明らかに、マリーの様子がおかしくなった。
体調の悪さもそうだが・・・・なにより、彼女自身がエルフを避けるようになった。
エルフとは決して仲の悪い間柄ではなかった彼女が、急に避けるようになったのだ。
――――私は、彼女の態度から何かを察した。
―――――妊娠していたのだ、彼女は・・・・人間との子供を・・・・。
――――ここまで言えば、君でも後の展開は分かるだろう・・・・?
ねぇ――ラブくん?
***
「・・・・ガハッ!――――今のは・・・・?」
呼吸すらも忘れて集中していたことに気が付き、咳き込みながら呼吸を再開する。
まるで思い出かのように、脳内に直接語り掛けられるように、鮮明に今までの事柄が見えた。
今のはいったい―――。
「テレパシー・・・・君たちの脳内に、直接昔話をさせてもらったよ。なあに、そんなに難しいことじゃない、人間の進化は超能力者とも言われているからね、それぐらい余裕だよ」
「・・・・今のがお前の力ってことか?」
「とんでもない、あんなの・・・・この力の片鱗でしかないよ」
そう言うと、現最強は「フッ」と不敵な笑みを浮かべる。
「・・・・今の『昔話』とやらは、本当にあったことなのか?」
「あぁ、実際に、現実に、私の思い出としてしかと残っているものだよ」
「そうか・・・・」
――――とある少年、ウィスは自分のことをエルフと人間との子供だと言っていた。
・・・・ウィスは、男だ。エルフの生態がさっきの話通りなら・・・・ウィスという男の種族は生まれない。
――――つまり、ウィスを生んだのはエルフではなく・・・・。
「マリーが・・・・生んだ子供・・・・?」
口に出した瞬間、ゾッとしたものが背筋を伝う。
恐怖か、侮蔑か、それとも何らかの罪悪感からか・・・・。
どちらにせよ、与えられた衝撃は相当なものだった。
その様子を見ている現最強はニヤリと笑うと――――、
「そう――――ウィス君は、彼女の息子だ・・・・彼女は意外と意固地でね、たとえ望んでいない子供でも、生むと言って聞かなかったんだ」
――――知っている、あいつは・・・・マリーは、そういうやつだ。
望まれていない子供でも、たとえその後にどれだけの不幸が起きることを知っていても、彼女は生むと――――必ずそう言う。
だからこそ、何故ウィスは――――、
「どうして・・・・ウィスは捨てられたんだ?」
「・・・・・・」
そう問うと、現最強は黙り込んでしまう。
本当にマリーが生んだのなら・・・・ウィスは絶体に捨てられない。
彼女はそういうやつだから・・・・たとえ相手を憎んでいようとも、決して手放そうとはしない――優しい人間だから――――。
だから、ウィスがエルフから捨てられるなんて・・・・絶対にありえないと言い切れる。
「・・・・まったく、君は意地悪だなぁ」
「・・・・?」
「何故彼が捨てられたか――――君なら、少し考えれば分かるはずなのに・・・・わざわざ私に言わせるなんて」
現最強は「はぁ・・・・」とため息を吐くと――――、
「彼は・・・・私が人間たちの元へと送ったんだ、君はここにはいらない・・・・私がそう言ってね、正直悪いとは思ったし、不安も残ったよ・・・・果たして、彼が一人で人間たちの元へと辿り着けるかなとね・・・・」
「・・・・だが、ウィスは無事に村へと辿り着いた――――」
「当然だよ、私が裏で手伝っていたからね――そうでもしなきゃ、たった3歳の子供があの距離を歩ききれるわけないだろう?ただ――――やはり問題はあったけどね」
「問題・・・・?」
「あぁ――――やはり人間は愚かだった。その時、私は改めて感じたよ――――そして、自分がまったく学んでいないことを自覚したよ」
現最強は、どこか悲しそうな目をして――――、
大阪万博万歳!syamuさん復活(?)万歳!




