欠落した過程
今までの階層の階段とは違い、現最強までの部屋の道のりはジメジメとしていて、掃除なんかをしていない様子だった。
「・・・・これ、どれだけ上ればいいんだよ・・・・」
真ん中がぽっかりと空いている螺旋階段は、上の様子から下の様子までしっかりと見れた――――が、そこに映し出されたのは、嫌に長く上に続く階段と、今まで上ってきた階段だ。
「・・・・なぁ、あとどれくらいあるんだよ」
後ろを振り向き、そう言葉を投げかける。
すると、後ろからグッタリとした様子で付いてくるエルフ・・・・ハルが、辛そうな顔つきでこちらを見て、「へ?」と間の抜けた声を出す。
「だから、後どれくらいあるんだよ・・・・もう随分上ったと思うんだが?」
「さあ・・・・私もここに来るのは初めてですからねぇ・・・・」
「初めてって・・・・じゃあ業務連絡とかはどうしてるんだよ」
「それはぁ・・・・三日に一度だけ主様は地下まで下りてくるときがあるんですよぉ、主様は面倒くさがりなので、その時にまとめて話せってぇ・・・・」
「なるほどな・・・・じゃあ他にここに来たことのあるやつは?」
「いるんですかねぇ・・・・?あまりそういう話は聞きませんがぁ・・・・って、そんなことよりぃ・・・・」
ハルは突然止まると、「ふーっ」と息を吐きながらその場に腰を下ろす。
「少し休憩しましょうよぉ・・・・流石に疲れましたぁ」
「・・・・確かにな、ゴールが見えないんじゃ下手に動いても意味ないし・・・・少し休憩するか」
――――思えば、このエルフの領地に来てからずっと走ったり歩いたりだ。
足も上がらなくなり、何度も転びそうになっている・・・・たとえ追手のようなものが来ても、ここなら安全だろうし、休憩するほうがいいだろう。
・・・・ま、この疲れが原因でゲームオーバーなんてのも、考えられるからな。
そう自分に言い聞かせ、ハルと同じくその場に腰を据える。
「う、う~ん・・・・」
「・・・・何やってんだ?」
上半身を前に倒したり横に倒したりしながら声を出すハルは、そう問いかけるとこちらを向いて・・・・
「う~ん、ん?ストレッチですよ、主様が教えてくれたんですぅ・・・・なんでも健康にいいだとかぁ、長生きできるだとかぁ」
「ストレッチ・・・・?」
「はいぃ・・・・これが結構効くんですよぉ?やってみたらどうですぅ?」
「ストレッチか・・・・いや、俺はいいや」
「そうですかぁ?じゃあ勝手に続けてますねぇ」
そう言うと、ハルは宣言通りにストレッチを続行する。
――――そろそろ足の疲れもとれ頃合いだろうか?
ふとそう思い、立ち上がってその場で何度か足踏みをする。
ほどよく疲れがとれている。これなら階段もまだまだ上れそうだ。
「・・・・・・」
ストレッチをしているハルを置いて、階段を上るのを再開しようとすると「ちょっと待ってくださいよぉ」と、ハルはストレッチを中止して立ち上がる。
「・・・・別に一緒に行く意味はないからいいんだぞ?そこでストレッチ続けてても」
「嫌ですよぉ、こんなところを一人とか寂しいじゃないですかぁ・・・・」
「・・・・じゃあ先を急ぐぞ、まだまだ階段は続いているんだからな」
そう言って、ハルを急かすと、階段を若干急ぎ気味にさらに上る。
すると、「待ってくださいよぉ」とハルは後を必死に追いかけてくる。
しかし、上を見上げればまだまだ階段は続いているようで――――。




