それぞれの思い 7
・・・・エルフの少女――――ルリを連れて壁に沿いながら歩く。
ルリは木でできた壁を触りながら、俺達はそんなルリを見て、歩く速度を合わせていた。
なんでも、植物の形を変化させるには技量が必要であるそうだ。
ルリはまだ幼いために、大人のように自由な場所の植物を変化させるのが難しいらしい。
だから、今こうしてルリの技が使える場所を探しているわけだ。
「・・・・ここなら・・・・・」
「できるか・・・・?」
しばらく歩くとルリがピタリと止まり、壁を見て呟く。
その様子を見て可能か聞くと、ルリはコクリと頷く。
「そうか・・・・じゃあ頼む」
そう言うと、ルリは壁に向かって話しかけ始める。
――――話しかけているルリの言葉を、耳を澄まして聞き取ろうとする。
しかし、その言葉はエルフ語ではなく、何か別のものだった。
――――エルフ語ではなく、何か詠唱のようなものを唱えれば植物を変化させることが出来るようだ。
ということは、その言葉――――言うならば「植物語」を使えるようになれば、自分にも植物を変化させることが可能になるのかもしれない。
ルリが壁に話しかけ続けると、壁は徐々にその形を変え・・・・でかい穴となる。
そして、その穴から見えるのは外の風景・・・・穴からは、木でできた足場が出来ている。
「・・・・で、できた・・・・」
そういうルリに「ありがとう」と感謝して、穴から顔を出す。
外から吹く風が顔に当たり、それを腕で防ぎながら上を見ると、天に向かって木が大きく伸びているのが分かる。
――――思った通りだ、木はまだ上に続いている。
つまり、行き止まりになっているあの通路よりも先がある――――そして、その先にあいつがいる・・・・はずだ。
わざわざ行き止まりにしているということは、ルリのように木の変形ができない子供が侵入しないように、ということなのだろうか・・・・
子供には見せられないなにか・・・・見られてはいけない何かを隠しているのだろうか。
「ラブさん・・・・どうですか?」
外の風でフードが脱げないよう気を付けながら、フロワも後ろから続いて問う。
「・・・・とりあえず、これで上があるのは確認できたが・・・・あとはどうやって上に行くかだな」
そう回答して、考える――――
自分の今持っている能力で、今持っている知識で、どれだけのことが出来るのか・・・・
――――思えば、今持っている能力・・・・1%の【創造】は、「相手の想像した物を創造できる能力」だが・・・・その相手というのはどこまでの範囲なのか、想像した物というのは、どこまで創造できるのか・・・・
「・・・・フロワ、お前は今から俺の敵になる・・・・そう考えて、「どんな壁も破壊できる剣」を想像してみてくれ」
「・・・・?ラブさんの敵・・・・ですか?」
「あぁ、少し能力を試したいんだ・・・・新しく手に入れた【創造】って能力なんだが――――」
そう言うと、フロワはハッとした表情をする。
「そういえば、ラブさんにこれを返さなければ――――って、あれ?」
「スマホならもう返してもらってるぞ、お前の気づかない間にな」
「え?!ちょっと、勝手に抜き取ったんですか?」
「まあ言いだしづらいタイミングだったし・・・・でも返してもらわないと不便だったし・・・・」
さっきの口論を思い出し、フロワは言葉に詰まる――――が、それでもと言い返す。
「ま、まあ・・・・確かに色々ありましたけど、それでも勝手に持って行かないで下さいよ!びっくりするじゃないですか!」
「まあ・・・・すまん」
視線を逸らし、少し気恥しくなりながらも謝罪をする。
それを見ると、フロワは「いいですよ!もう!」と返す。
「・・・・とりあえず、実験がしたいんだ――――頼めるか?」
「分かりました、ラブさんのことを敵だと思いながら・・・・どんな壁でも破壊できる剣を想像すればいいんですね?」
「あぁ、それでいい」
そういうと、フロワは目を瞑って集中する。
ラブを敵だと想像する――――まるで、初めて会ったときのような感覚で・・・・
・・・・・・――――――あれ?ラブさんと初めて会ったときって――――
「じゃ、いくぞ」
「わ、ちょ、ちょっと待って――――」
フロワに向かって【創造】を使う――――が、結局何も起こらない。
「・・・・本当にちゃんと想像したか?」
「えっと・・・・何か考えてて・・・・それで・・・・」
「・・・・まあいいや、もう一回いくぞ」
「は、はい!」
もう一度目を瞑り、集中する――――
何だったのだろうか・・・・どうしてあんなことを考えたのだろうか。
たった数日前だ、まだ1年という時も経っていない・・・・なのに――――
ラブと――――初めて会ったのはいつだったか、なんて――――――




