それぞれの思い 3
――――本当は、ウィスを利用するだけ利用して捨てる気でいた。
こいつは「天才」だからだ、それは自分のもう一つの信念――――天才を許さないという信念を曲げないために・・・・。
しかし、今じゃそんなことすら考える気はない・・・・何故かは分からない、だが・・・・どうしても置いてはいかないと、救うと自分の心が決めている。
「・・・・チッ、せめてオイラの能力をおめぇに渡せたらなぁ」
「・・・・・・!」
ウィスのその言葉に、ハッとする。
――――しかし、上手くいくのか?本当に、そんなに都合のいいことが起きるのか?
まだ【洗脳】を使ったほうが切り抜けられるんじゃないか・・・・?いや、それでも勝率は低い――――
――――やるしかないのか?
「・・・・ウィス、お前はその能力を【破棄】する気はあるか・・・・?」
――――ウィスに問う。
その問いに、ウィスは笑うと――――
「【破棄】か・・・・確かにこんな能力、こんな呪われた力は捨てたいと、何度も思ったよ・・・・でも、今は何故か・・・・おめぇに渡したいと思っている。これはおめぇが今ピンチだからとか、そういうことじゃない・・・・おめぇに受け継いで欲しいんだよ、この能力を・・・・オイラの遺産として」
「・・・・そうか、じゃあ捨てる気はないと・・・・」
ウィスの肩を掴み――――言う。
「じゃあ、その能力・・・・貰っていくぜ」
「――――あぁ」
――――ウィスの能力は・・・・なんだろうか。
そもそも、能力を推理しようとするほうがおかしいのだ、やるならば当てずっぽうで・・・・それっぽい言葉に当てはめまくって――――!
「――――【回収】」
――――【回収】する能力は、【製作】【作製】【生産】【製造】【生成】【工作】【造成】・・・・
適当に思いつく限りの単語を【回収】と組み合わせてみる・・・・そして、当てはまる単語を探していく。
「――――――これか」
「・・・・?どうしたんだよ」
「・・・・いや、お前の能力がちょっとな・・・・ま、とりあえずお前の能力・・・・【回収】させてもらったぜ・・・・!」
その言葉を聞くと、ウィスは安心したような顔で、嬉しそうな顔で「そうか」とだけ呟く。
「・・・・そこから出てきますわ!そうしなければ当たり所が悪く、苦しんで死ぬこととなりますわ!」
その言葉を聞き、恐る恐る階段から姿を現す。
「・・・・やっと大人しく言うことを聞きましたわね、ではこれで――――」
「いいや、言うことは聞いてないぜ・・・・?!」
「――――――!?」
――――――刹那、マリーの顔すれすれに弾丸が撃ち放たれる・・・・。
「な・・・・!」
――――――どうやら、上手く発動してくれたようだな・・・・ウィスから【回収】した能力・・・・【創造】・・・・!
「・・・・なんですの?今の・・・・まるで・・・・「銃」のような・・・・」
「あぁ――――俺は自分の作りたい物を、想像するだけで創造することができる」
「な――――!」
――――――嘘だ、この能力はそんなに使い勝手のいいものではない。
所詮1%・・・・たかが1%だ・・・・本当の効果は、「相手の想像した物」を創造することができる能力。
だからこそ、賭けだった・・・・もし、この物を作る能力に、素材が必要になるという制限が付いたなら、それこそ詰みだったが・・・・見事その賭けに勝った。
・・・・そして、「相手の想像した物を創造」ならば・・・・異世界人であるマリーには有効な手段が一つある。
――――それは、人差し指を前に伸ばし、親指を天へと向ける形・・・・誰もが一度やっただろう、そして誰もが連想してしまう形・・・・銃――――――!
撃つ素振りでもすれば、誰しもが無意識的に想像してしまうだろう・・・・人差し指の先から、弾丸が出る想像を――――!
「さあ――――改めて、ゲームスタートといこう・・・・!」




