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盤上の戦士 3

 先頭にラブ、その後ろをウィスが歩き、さらにその後ろではフロワと幼エルフが、歩く。


「おねぇさん、うえにいくとね?おこられちゃうんだよ」


「えっと・・・・私はさらに上へと行かないといけないんです。危険なのでエルフちゃんは帰ってください・・・・」


 お互いに言語が違うため、会話といえるような会話にはなっていない。

 幼エルフはフロワを注意するように裾を引っ張って下へ連れ戻そうと、フロワはそんな幼エルフに、これ以上は危険だからと帰宅させようとする。


「・・・・!」


 ――――――そして、8階層目だ。


「・・・・もう説明する必要もないよね?」


 階段を上ってきた俺たちに、エルフは言う。


「・・・・不意打ちをやると文句を言われるんだ、さっさと来いよ」


「・・・・じゃ、行くよー!」


 エルフは木の枝を取り出すと、やはり木の枝に話しかけ始める。

 すると、木の枝は弓へと形を変える――――

 そのエルフは木の枝の束を取り出すと、それにも話しかける・・・・すると、その枝は矢の束へと変形する。


「その弓と矢・・・・さては俺に毒矢を撃ったのはお前だな?」


 それはこの世界に来たばかりの時――――幼エルフに話しかけ、エルフの大群に囲まれたときのことだ。

 俺はあの時、毒矢を撃ち込まれたことにより、気絶して檻に入れられた・・・・

 その矢の形、今まさにあのエルフが持っているものと同じものじゃないか。


「毒矢を撃った・・・・?あぁ、君はあの時の男か!」


 弓を持つエルフは、どうやら自分のことを思い出したらしく、手を打ってそう言う。


「そうそう、弓は得意分野でねー!・・・・っと、話してたらまた怒られちゃうや」


 感情を抑え、そのエルフは弓を構える。


「それじゃあ、勝負しようか・・・・なんなら後ろの人達も一緒にかかってきなよ」


「・・・・あとで吠え面かくなよ?」


***


 エルフは、容赦なく矢を連発してくる。

 ウィスと俺はウィスの能力で作った盾でガード、フロワは幼エルフに矢が当たらないように階段と8階層の分け目からこちらの様子を覗きながら幼エルフを庇っている。


「ほらほら!どんどん行くよー!」


「グッ・・・・!」


 真っすぐに飛んでくる矢は、急にカーブを描き、背後から襲い掛かる。

 それに即座に反応し、盾で受け止めるが、その間に次の矢を装填されてしまう。


「じゃ、次はこっちだ!」


 そう言って放たれた矢は、ウィスの方向へと飛んでいく。

 

 ――――!チャンスだ!


 ウィスが矢を受け止めている間に、エルフは次の矢を装填する――――しかし、その間にラブはエルフとの距離を縮める。


「・・・・おっと危ない」


 スタンガンを当てようとした瞬間、エルフが持っていた矢を横に薙ぎ払う。

 

「くっ・・・・!」


 刃の部分に当たりそうになったが、間一髪でかわすことに成功する。


「すごいでしょ!矢は近接武器にもなるんだよ!」


 まるで自分のことを自慢するように、そのエルフは意気揚々と話す。

 別にケガをするのが怖いわけではない、ただの切り傷程度なら多少は我慢できる・・・・だが――――()()()()()()、それだけは避けなければいけない。

 ラスボス前に戦闘不能なんて、あってはなならない。


「・・・・ウィス!こっちも遠距離武器を作るぞ!」


「お、おう・・・・!」


 ウィスは、手のひらにキューブを生み出すと、それを変形させていく。


「・・・・!やらせないよ!」


 それを止めるように、エルフは矢を放つ。


「させるかよ!」


 ウィスと飛んでくる矢の間に入り、ウィスを庇う形で矢を受けようとする――――が、

 矢はラブに当たる前にカーブし、ウィスの背後へと・・・・


「ウィス!盾を使え!」


「くっ!」


 ウィスはキューブを変形させるのを中止すると、盾で矢を受け止める。


「まずは壁のような単純な物を作って、安全地帯を作るんだ!武器を作るのはその後でいい!」


 そう言って、ラブはエルフへと真っすぐに突撃する。


「何度も言うよ!矢は近接武器にもなるってね!」


 エルフは矢をナイフのように持つと、こちらへと振り回す。

 それを盾でガードしたり、避けたりしながら上手く攻撃に対応する。


 ――――距離は絶体に開けるな、矢は撃たせるな、ウィスに意識を向けさせるな!


 内心で自分に言い聞かせながら、攻撃に対応するが・・・・そろそろ体力も限界だ。


「デカブツ!避けろ!」


 後ろからのウィスの声を聞き、即座に横へと避ける。

 すると、飛んできたのは網・・・・それは大きく開き、まるで飲み込むようにエルフを包む。


「ちょ、うわ!」


 そのままエルフは地面にくっつけられる。

 抵抗するも、さらに網に引っ掛かるだけで無駄に終わってしまう。


「・・・・なんの!これぐらい・・・・!」


 しかし、エルフはあきらめず、次は持っていた矢を使って網を切ろうとする。

 するとそこに――――


「・・・・じゃ、大人しくしてろよ」


 ――――エルフは、ラブの持っていたスタンガンによって動きを完全に止められる。


「・・・・ふぅ、なんとか倒せたな」


 そう言いながらウィスが近づく。

 戦いが終わったのを確認し、フロワたちもこちらへ歩み寄る。


 ―――――これで中ボスは全員倒し終えた・・・・か?


 そう思い、上へと続く階段を確認する・・・・すると、

 カツンカツンと――――誰かが上ってくる音がする。


「――――――!?」


 空気が再び張り詰める。

 確実にこちらへと迫ってきているその音に、全員が意識を向ける。


「――――きさまら・・・・!何をしている・・・・!」


「よう――――リン」


 その人物は・・・・そのエルフはリン――――自分を管理していたエルフであり、自分を尋問した人物だ。

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