盤戦 2
――――――今日、ラブさんから本が返された。
いつものように本には葉が挟んであり、私の世界での文字が書かれていた。
内容は「町まで行ってくる」というものだ、私が近くに町がある――――と、葉に書いたためにそうしたのだろう。
・・・・そして、おそらく、それはもう――――実行されている。
外から騒がしい声が聞こえる――――エルフたちが騒いでいる声だ。
――――まあ、順当に行けばラブさんが抜け出したことなんでしょうが・・・・本当に、どうやって抜け出したんですか・・・・
「~~~~~~~!」
「・・・・なんですか?朝ごはんですか?」
幼エルフに服を引っ張られ、呼ばれる。
寝泊まりする場所もなかった私は、この子に好かれているという事もあり、勝手だが面倒を見る代わりにここに一時的に住まわせてもらうことにした。
この家は台所や浴槽はもちろんのこと、近くには木の実の生っている場所もあり、生活に困ることはなかった。
「~~~~~~~!」
「はいはい、ちょっと待ってくださいね」
おなかを空かせた幼エルフのために、軽く料理を作る・・・・といっても、この町には木の実しかないため、料理の種類は大方決まってしまう。
――――けれど、味は様々・・・・肉のような味のする木の実もあれば、酸っぱいような甘いようなものまである――――本当に奇妙な木の実です。
「はい、できましたよ」
「~~!~~~~~~!」
机の前で座って待っていた幼エルフに料理を出すと、幼エルフは嬉しそうに料理を食べ始める。
向かいに座り、その光景を眺める。
――――さて、これからどうしましょう。ラブさんは町へ行ってしまいましたし・・・・
とりあえずはラブさんと合流することが優先でしょうか?いや、まずは本当に抜け出したのか確認を・・・・
――――刹那、視界が歪む。
そして瞬時に理解する・・・・地面が揺れたのだと。
「な・・・・!何ですか?!」
外を確認するために、ジェスチャーで幼エルフに外に出してくれるよう頼む。
それを了承してくれたようで、幼エルフは壁に話しかける――――すると、壁の渦が動き、外の景色が現れる。
外は、突然の衝撃に驚き、混乱しているエルフたちで溢れていた。
いつもより町が明るい・・・・そう思って上を見ると、巨大な穴が木の壁に空き、そこから光が漏れている。
――――!?いったい何が・・・・!?
***
――――同時刻、とある町では・・・・
「うおぉ・・・・思った以上の威力だったな」
「・・・・ったく、朝っぱらからこんなでけぇもん作らせやがって」
――――とある町・・・・その地下から生える巨大な建造物――――それは高速で弾を撃ちだし、見事にエルフの森を貫いた。
電流によって発生する磁場――――それを利用することにより、とんでもない速度で弾を撃ちだすことのできるソレは、火薬ではなく、電気エネルギーを使う『銃』・・・・そして、平行に並べられた二本のレールから――――
――――通称、『超電磁砲』
「それにしても、上手くいくもんだな・・・・流石天才、簡単な図を描いて説明するだけで作れるんだから」
「ヘッ・・・・説明に関してはかなり雑だったが、まあこの方法は思いつかなかったわけではないからな、原理も分かってたから図さえあれば余裕だ」
「・・・・さっすが」
地下にて、そんな会話をするのは二人――――ウィスとラブ
「じゃ、後は手筈通りに・・・・」
「分かってるよ・・・・相棒」
「じゃ、行くぜ相棒」
お互いに腕を出し、コツンとぶつけて――――ニッと二人は笑う。
地上はざわざわと・・・・何事か気になるが、怖くて近づこうとしない村人で溢れていた。
しかし、そんな村人を気にも留めずに、二人はせっせと準備をはじめる。
――――すると突然、地面が揺れ始めたと思うと、真っ二つに地面が割れ、地下へと続く坂道が出来る。
「さあ――――ぶっとばしていくぜ!」
ギュルルルルルと、何かが擦れる音が地下から響く――――
すると、地下から緑色の鉄の塊のような物に乗った二人が現れる――――
「生憎、車は・・・・それも、こんな車はレースゲームでしか運転したことがなくてな・・・・轢かれたくないやつはどいてろよ!」
そういうと、車・・・・自衛隊が乗るような、高機動車に乗った二人は凄い勢いで森へと向かっていく。
町を囲う壁を破壊しながら、アクセル全開でとばすラブに追いつけるものは、同席しているウィス以外おらず・・・・
村人たちは、それを眺めることしかできないでいた。




