男の脱獄 3
男たちと離れた俺はとりあえず、この壁で囲われた村を見て回ることにした。
そもそも、この村に来た理由・・・・わざわざエルフたちから警戒されるようなことをしてまで、抜け出す理由が、意味があったからだ。
今持っている「力」・・・・「能力」は、【回収】、【破棄】、そしてヒイラギから回収した【洗脳】・・・・いや、もう一つあったか――――
とにかく、この能力ではあのエルフたちに太刀打ちできるとは思えない。
確かにヒイラギから回収した【洗脳】の能力は強い――――だが、この【洗脳】はたかが1%、使い勝手もそこそこ悪い。
まず、1%の【洗脳】を使うには対象者の本名を知っていることが条件だ。
これは、ヒイラギが使ったように、「目の前にいる」や「この町に住んでいる者」といった、不確定での名指しができない、ということだ。
そして次に、【洗脳】の効果は一瞬――――「死ね」と命令しても、殺せるかどうかすら怪しい時間だ。
それに、今回の相手はエルフ全員――――と、仮定する。
そうなれば、全員分の名前を把握しなければいけず、【洗脳】を使っている間、他のエルフから身を守らなければいけない・・・・色々考えてみたが、やはりこの能力は今回は役に立たなそうだ。
――――だからこそ、この町で探す必要がある。「元最強」を・・・・
神によれば、【回収】の力は1%から2%になり、「元最強」の能力も奪えるようになっているらしい。
ならば、「元最強」を探し、そいつから能力を奪い、エルフに対抗する他ない。
――――フロワに渡したスマホの通知が鳴らなかった、ということは「力を持つもの」だけでなく「元最強」もあの施設にいるかどうか怪しいからな・・・・やはりこの村に来たのは正解だったかもな。
そう思いながら壁沿いをひたすらに歩いていると、どうやら一周してきてしまったみたいで、門の前へと来てしまう。
ふむ・・・・一通り見てきたが、家畜やらは見当たるが畑というものが一切ない・・・・これがエルフたちを警戒しての行動ならば、大方エルフたちの秘密も掴めてくるな。
原理は分からない・・・・だからこそ、フロワの使うような魔法、と言って片づけるしかない。
おそらく、エルフたちの魔法は植物を操るという魔法。
この村に植物がないのも、その魔法を警戒してのことだろう。
そして、その魔法でハルは風呂場であの階段を作ったと考えれば、大体の辻褄は合う・・・・あとは、何故檻に入ったときに傷が治っていたのか、何故あの檻の植物は俺の言うことを聞いたのか・・・・ってところか。
「植物を操る」という魔法で、檻の中にいる奴を生かせとでも命令すればできるのか・・・・?そんなことができるのなら、植物の魔法はかなり強力なものとなるが・・・・
顎に手を当てて考えていると、門の方からドドドドドドドドドと音がする。
どこかで聞いたことのある音、その音は徐々に近づき――――
――この音・・・・!まさか・・・・!
音の正体を思い出し、即座に近くの建物の影へと身を隠す。
――――その音は、門の前まで来ると徐々に静まり、ガチャガチャと金属の音だけが鳴る。
音の主の正体・・・・馬に近いが、どこか違う生物に跨り、その金色の髪をなびかせる者たち――――
・・・・エルフの集団だ――――




