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囚人の一日 5

「お前・・・・むっつりスケベだろ!」


その言葉を聞いて、ハルは読んでいた本を手から滑り落とし、呆然としてしまう。

しばらくすると、


「な、ななななななな・・・・何を言ってるんですかぁ!わ、わわわわわ私がぁ・・・・す、すすすすすスケベだなんてええええええええぇ!」


ハルは明らかに動揺しながらこっちを見る。

・・・・まあ流石にここまで分かりやすい反応をすれば俺でなくとも気づくんじゃないだろうか・・・・・・


「いーや、お前はスケベだよ・・・・・しかもただのスケベじゃない、()()()()のスケベだ、色事なんて興味のないようなフリして頭の中では妄想を膨らましているのがお前だよ」


そう・・・・・・だからこそ、こいつは使える・・・・・・


「そこでだ、そんなお前がいつも本を読んでいる()()をして俺の入浴を覗き見している・・・・なんてことが知れたら、あいつらは・・・・特に()()()()()どう思うだろうな?」


「な、バレて・・・・・・!」


「と、ハッタリをかけたつもりなんだがな」


「――――!!」


いつも風呂から出る時にまったくと言っていいほど本のページが進んでいなかったからまさか、とは思ったが・・・・本当に覗いていたとは、冷静に考えれば普通に気持ちが悪いな。


「・・・・・・さて、このことをバラされたくなかったら・・・・・・分かってるよな?」


「ま、まさかぁ・・・・・・!?」


「あぁ、そのまさかだよ・・・・・・」


悪役かのように、ラブはニタニタと笑いながらハルに迫り言う――――


「さあ!バラされたくなければ大人しく俺をこの町から――――」


「私のことを辱める気ですね!そんな脅しに私は屈しませんよぉ!」


・・・・・・は?


「嫌がる私の衣を無理矢理剥ぎ、卑猥な言葉を私にかけながら・・・・しかしそんな愚男に私は必死に抵抗して・・・・・・」


ハルは完全に自分の妄想の世界へと入りこみ、ハァハァと息を荒くしながら頬を赤らめている。

しかし、「抵抗する」という言葉とは裏腹にその表情は笑顔で満ちていた。


「いやいや待て待て、俺は脱獄を手伝ってほしいだけで・・・・」


「・・・・・・え?」


お互いに顔を見合わせ、「・・・・・・」と固まってしまう。

ハルは「コホン」とわざとらしく咳ばらいをしたかと思うと、


「・・・・・・そんな証拠はありませんしぃ、私はそんなことはしていません!」


「な・・・・・・!」


これだけバレているというのに今更おどけるのかこいつは・・・・!


「だからぁ・・・・たとえリンさんに言われようと、姉さまに言われようと私には関係ないですぅ」


「・・・・・・」


あくまで白を切るハルに、ラブは何も言わずに固まる。

――――あまりこの方法は使いたくなかったんだけどな・・・・・・

あまりにも下品で、反紳士的・・・・美しくないからな・・・・


ラブは少し考えてから、ハルの方を向いて――――


「・・・・その女は騎士であった」


「・・・・?」


前後の話に関係のなさそうな話をし始めるラブを、ハルは不思議そうに見る。


「女は騎士として己を磨き、常に切磋琢磨を心掛け・・・・純白であった」


「・・・・?女騎士ですかぁ・・・・私のことですかねぇ」


・・・・そう思うならそう思えばいい、主人公を自分と重ねて悦に浸れ・・・・そして()()()()()()、俺の勝ちだ――――!


「しかし、その女騎士の人生を壊すものがいた・・・・その男たちは、その女の体を貫くことで騎士としての女を壊した。しかし、その男たちはそれだけではとどまらず、倒れこんだ女の体を持ち上げて装甲を剥いだ」


「・・・・」


「次に男たちは、その女の付けている衣服を剥いだ・・・・体を貫かれながらも必死に抵抗する女騎士、しかし相手は男、さらにいえば複数人で女騎士はケガをしている・・・・そんな状況でも女騎士は抵抗することを止めることはなかった」


「・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・」


だんだんとハルの息遣いが荒くなっていく、ハルはこちらを見ることはやめて俯き、自分の体を包み込むように手を両肩に置いている。


「・・・・しかし、抵抗する女騎士の股蔵を探るように男たちは触り始める。その感触は、今まで女騎士の味わったことのないものだった」


「はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・!」


「男たちは女騎士の・・・・いや、すでに一人の女として成り下がった者の股に、自分の下腹部に生える一物を向けると・・・・」


「・・・・!」


「――――さて、もう時間もないしな、風呂にでも入ってくるか」


「・・・・え?」


クルリと体の向きを変えて浴場の方へと向かおうとすると、ハルは下に向けていた顔をこちらへ向け残念そうな顔をする。

・・・・まるで、餌を目の前にしてお預けを喰らう犬のように。


「・・・・どうした?俺が風呂に入ることがそんなに不思議か?」


「いや・・・・続きは・・・・」


「続き・・・・?あぁ、あんな猥談は()()()ハルさんには関係ない話でしょ?」


両の手の平を上にして、ハァとため息をつきながら首を横に振る。

そんなラブを見て、「え・・・・いや・・・・」とハルは手を伸ばして止めようとする。


「じゃ、俺は風呂入ってきますねー・・・・まさかハルさんに限ってないとは思いますがー、覗かないで下さいよ?」


ラブは背を向けたまま、棒読みでそう言う。


「・・・・がいします・・・・」


「あーあ、できれば風呂がもっと長ければなぁ、たとえば・・・・誰かが脱獄してもバレないぐらいの時間があればなぁー」


小声で何かを言っているハルの言葉を、わざとらしく無視する。

すると、その少女はついに痺れを切らし――――


「お願いしますぅ!いくらでも!いくらでも時間はあげますからかぁ!続きを・・・・!続きをお聞かせくださいぃぃぃぃぃ!」


床に座り込みながら、大声でそう言った。


「・・・・」


縋りついてそう言うハルに、その男はニヤリと――――無言で心底黒い笑みを浮かべる――――

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