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エルフの森

冷たい床の上、娯楽は当然のように、机の一つすらない部屋の中で、紐で縛られたラブは思う――――何故こんな目に合っているのかと・・・


「・・・なあ、せめて紐ぐらい解いてくれないか?」


鉄格子の向こう側にいる、耳の尖っている奇妙な生物に語りかける――――が、こちらを向こうともしない。

そもそも、こいつに言葉は通じているのだろうか?比較的人間のようにも見えるが・・・

それはよくゲームで、特に異世界などを主体とするゲームなどでよく見かける生き物――――エルフと呼ばれている生物に似ている・・・


――――とりあえず反応を見るか・・・


「あああああああああああああ!おうちに帰りたいなああああああああああああ!」


「!?」


急に叫び、暴れだしたラブに対し、女体に近いそのエルフはやっと反応を示す。


「~~~~~~~~~!」


――――だが、ラブに放たれた言葉は、理解できない言語だった。


やはり使用言語が異なっている・・・まあ当然といえば当然か、むしろ前の世界がおかしかったと言ってもいいぐらいだ・・・

ここは異世界――――元の世界では国境を越えれば文化すら変わるのに、世界を移動して言葉が変わらないほうがおかしい。

・・・だが、今はその「おかしさ」に甘えたかったな。


――――まったく、なんでこんなことになったんだ・・・


***


――――それは、数時間前に遡る。


ショウとフロワは前の世界と同様に、広い草原を歩いていた――――

だが、今回は前の世界とは違い、フロワのようにEXステージ・・・「元最強」との出会いが無い。

それはつまり、この世界を知る者が、身近にいないことを指していた。

――――そして、この世界のことを何も知らないフロワとラブは・・・町の場所すらも分からず、道に迷っていた。


「ラブさん・・・本当にこの道で合ってるんですか?」


「さあ・・・?とりあえず人が一番通りそうな道を辿ってるだけだからな・・・それがどこにつながってるのか、どれだけ時間が掛かるのかは分からな――――」


・・・ん?あれは・・・


そこに居たのは一人の少女だった。

緑色と茶色で混ぜられた様な色の服を着ている・・・まるで植物で作ったかのようだ。


「・・・ラブさん」


「あぁ、たぶん迷子だろうな・・・道案内をしてもらうには期待でき無さそうだ」


「違いますよ!あんな幼い子が困ってるんですから!助けてあげましょうよ!」


「え・・・?あぁ・・・まあついでだしな」


フロワとともにその少女へと近づく・・・よく見ればこの子、耳が尖っている・・・それに裸足だ、中世といえば奴隷が流通していたが・・・どうやらそんな風にも見えない、まあ気にしないでおくか。


「こんにちは、君の名前を教えてくれるかな?」


腰を低くし、相手の目線と合わせながら名前を聞く・・・だが、その少女はこちらを見るなり怯えたような表情をすると、どこかへと走り去ってしまう。


・・・?確かに見ず知らずの人間だが・・・そんなに怯えることか?


「ちょっとラブさん!何してるんですか!」


「いや、ただ名前を聞いただけなんだが」


「名前を尋ねるときはまず自分からですよ!子供はデリケートなんです!」


「・・・といっても、俺は『異世界人』ってバレると死ぬしなぁ、ここらで名前を聞いておきたかったんだが」


「・・・?名前を聞く意味はないでしょう」


「いや、大いにあるぞ、相手の名前を聞いて『名前のパターン』だけでも覚えていないと偽名を使う時に違和感を持たれるからな」


「・・・だから初めて会ったときに名前を聞いたんですね、それに偽名も・・・」


「あぁ、といっても偽名の方は似せただけで適当だがな、愛川の愛をとって、英語で『ラブ』・・・これ以上にない安直な名前だ」


・・・それよりもあの少女はどこへ行ったのだろうか。

少女の走り去っていった方向を見て、そんなことを思う。

様子からして迷子だということは間違いなく、そうなると行く当てもない・・・本当に・・・どこへ行ったのだろうか。

すると――――その音は突然に・・・


「・・・ん?」


「ドドドドドドドドド」と、重く、駆けるような・・・踏みつけるような音。

間違いなくお、その音は今向いている方向・・・少女が走っていった方向からする。

――――これは、動物の足音だ。


「な――――」


「え?なんですかあれ?」


そこには、馬のような生物に乗り、金髪の髪をなびかせながら迫りくる・・・大量の武装集団だった。

馬に乗った集団は俺とフロワを取り囲むと、こちらへ何かを話している。


「ちょっとラブさん!本当に何したんですか!?」


「知るか!ただ俺はあの女の子に名前を聞いただけだ!」


――――本当になんだ?何を話している・・・?

ただ・・・この状況はまずい!


「フロワ、逃げるぞ!魔法で道を作れ!」


「は、はい!」


フロワが目の前に手をかざし、魔法を出そうとする――――が、


「・・・え?なんで・・・?」


「どうした・・・?!」


「魔法が使えません!魔力切れ・・・!?いや、そんなはずは・・・」


フロワが動揺で困惑し始める・・・まずいな。

何か他に打開策はないか、魔法を使うという選択肢からすぐに別の案へと切り替えようとする。

周りは囲まれていて隙間もない・・・まさに袋のネズミ、絶体絶命か・・・?

すると、背中に何かが刺さった感触がする――――これは・・・弓矢・・・!?


気づいたときには体に力が入らなくなっていた。

そのまま地面に倒れると、フロワがそれに気づき、体を揺さぶって何度も何度も呼び掛けている――――が、その言葉すら聞き取れない。


――――毒矢の可能性があるな・・・神経毒?


しかしそこで意識が飛んでしまう・・・一体、彼女たちは何者なんだろうか。そんな疑問を残しながら――――

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