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あの日の天才は 4

会議室、各々が自分の席へ座るとコソコソと話し声が聞こえる・・・

――――まったく、どいつもこいつもショウの話ばかりする・・・いい加減にしてほしいものだ。


というのも、ザンヤはこの会議室に来るまでに10回ほどはショウについて尋ねられ、それ以上の数にショウの噂話が耳に入ってきた。

常人ですら聞き飽きる、話飽きる回数だ。特にこの男――――ザンヤに至っては、ショウに対して異常なほどの対抗心を燃やしていた。そんなショウの話をわざわざ聞きたくなどないのだ。


会議室ですらそんなショウの話が聞こえてくることに、イライラと怒りが募っていく。

直ぐにでも立ち去りたい、そんな場所でしばらくすると・・・正確にはそんなには経っていないのだが、それほどまでに長く感じるほどイライラとしていると、ガラッと扉が開けられ、一斉に皆が黙りこみ、視線がその方向に集まる――――ショウだ。


ショウは無言で自分の席へと向かうと、荷物を置いて椅子に座る。


「・・・全員集まったね、じゃあ今日も始めようか」


その光景を見ていたソラ先輩が開始の合図をかけると、なにやら箱を前に出す。


「実はですね・・・さきほど箱を確認したところ、こんなにも応募者が来ていました」


その中には、大量の紙・・・応募用紙が入っていた。

勢いよく飛び出たそれを見ると、周りは「おぉっ」と口々に声を漏らす。


「えー・・・今回ショウくんが行った行動は褒められたものではありません、ですが・・・ショウくんのおかげでこれだけ用紙が集まったと感じている人も少なからずいるはずです。本来はいけませんが、今回だけはショウくんを称賛してあげましょう!」


そのソラ先輩のセリフを起点に、パチパチと称賛の拍手がショウに送られ、ショウはその拍手にお礼をするかのように、頭をペコリと下げる。


――――確かに、この応募用紙の数はお前のおかげかもしれない、だが・・・!

()()はそれだけではないはずだぞ――――!


「てかさー」


水を差すように、女子生徒が声を出す。

その生徒はサキの方を見ると続けて言う。


「ショウくんはこれだけやってくれてるのに同じクラスのあんたは恥ずかしくないわけ?」


「はぁ!?それどういう意味!?」


それに対抗するように、サキは席を立ってその生徒に敵意を向ける。

再び、いつものように言い争いが始まるのを見て一人、ニヤリと笑う。


こんな状況をまとめ上げられるのは結局のところ『俺』しかいないんだよ・・・!


言い争いを止めるために、自分の実力を見せるために、二人に向かって発言しようとすると――――


「――――はああああああああぁ・・・」


――――!?


急にショウがでかいため息を吐き、発言しようとしたセリフすらも飛んでショウへと注目してしまう。


「お前らはいちいち面倒くさいな、脳みその代わりにメロンパンでも入ってんじゃねぇの?」


――――それは、とんでもない煽りだった。

今までのショウからは考えられないような暴言、現状を止めるのではなく・・・逆に煽るような発言。


なんだこいつは?争いを止めようとしていたんじゃないのか?


「なに!?あんたには関係ないことでしょ!?」


サキはその発言に触発され、怒鳴るように言い返す。

だが、ショウも負けじとサキの発言に対抗する。


「関係ない?バカ言ってんじゃねえよ――――」


ショウは「はぁ」とため息を吐くかのような動作をすると、


「――――俺が不快だからやめろって言ってんだよ、いい加減にしろ」


と、さも当然の権利かのように、己がすべてかのように、いっそ清々しくそう言った。

やはり、サキもそれに対抗して言い返す。だが、ショウもさらに煽るような発言を続ける。


「うるせぇな、大体お前らは言葉が過ぎるんだよまともなコミュニケーションができるよう一度サルからやり直すか?」


そう言って、ショウはなぞるようにして指を指す。


「言っておくが、お前らのことだぞ?」


――――それは、サキを含む、争いを断じてやめようとしない人達全員に向けての発言、全員に向けての指さしだった。


・・・ついに全員を敵に回したか、やはり目的が分からない。あいつは争いを止めたかったんじゃなかったのか?いや、それは俺の勝手な考えだったのか・・・?分からない・・・分からない・・・!


「ショウくん!」


部屋中に響き渡るような大声に、ハッとする。


――――なんだ?仲間割れか・・・?


ソラ先輩の説教じみた発言、迫力に会議室全体がシーンと静まり返る。

コホンと咳払いを一つすると、ソラ先輩は席に着くようサキに言う。


「・・・えぇと、とりあえず作業を進めていきます。今日は応募用紙もあるのでそちらの対応もしていきましょう」


いつも通りの会議が始まる。

しかし、ザンヤの頭の中は、『自分の考えが間違っていたのか』という疑問と、『何故ショウがあんなことをしたのか』という疑問で一杯になり、混乱状態に陥っていた。


ただ一人、そのプレイヤーは薄気味悪い笑みを浮かべながら――――

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