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勝つためならば

金色の髪をなびかせながらパクリとたこ焼きを食べる。

それはとても幸せそうに・・・美味しそうに・・・。


「どうだマリー、楽しめたか?」


隣でたこ焼きを頬張っている少女・・・マリーに問いかける。

こちらとしては完璧なもてなしをしたはずだ、文化祭の準備も間に合わせ、学校の案内もできた。

たとえマリーが満足していなかったとしても、自分ははっきりと言えるだろう「やりきった」と。

返答を待っていると、ゴクリとたこ焼きを飲み込み、こっちを向いてニカッと笑うと――――


「大満足ですわ!」


噓偽りのない、真っすぐな笑顔でそう言うマリーに「そうか・・・」とニコッと笑い返す。

チラリと時計を確認し、そろそろ時間だということに気づく。


「じゃ、俺はそろそろ出番が来るから行くぞ」


「私も行きますわ!ショウの歌を聞いていきますわ!」


「あー・・・あくまでゲームに勝つためだから聞かないほうがいいと思うぞ?」


その言葉にマリーは頭の上に疑問符が浮かびそうな顔をする。


正直なところ・・・()()()()()()()()のだがな。


***


「では次の参加者・・・」


未だに熱気の冷めない体育館の中、自分の名前が呼ばれて舞台へと上がる――――


「どうもー、愛川でーす」


マイクに向かって挨拶をする。その言葉はステレオへと伝わり、体育館の中にいる生徒たち全員へと伝わる。

その名前を聞いた途端、さらに会場が熱し「待ってました!」などの声が聞こえてくる。

ニコニコと作り笑いをして手を振る・・・ファンサービスは大切だ。


「では、ショウさんお願いします!」


司会者が自分の名前を呼び、歌を催促する。

「では、いきます」と言うと、音響を担当している生徒が音楽を流し始める。

盛り上がっていた生徒たちも空気をよみ、音が流れると徐々に話し声が無くなっていく。


――――そしてついに歌詞の部分に差し掛かる。

スゥゥ・・・と息を吸うと、最初の歌いだしの部分・・・俺は――――盛大に音程を外した。


最初は静かだったものの、ずっとそれを続けていると徐々に笑い声が漏れる。

そしてサビに入るころには腹を抱えて笑うものまで現れていた。

「っぶはははははwwwwあいつwwwほんと最高wwww」「さすがwwww天才的な声だわwwww」


――――この歌合戦、審査員制ではなく客のアンケートによる審査のおかげで随分攻略が簡単になった。

元から「面白いやつ」「やばいやつ」とレッテルを貼られ話題にはなっていたのだ、ならばそれを利用させてもらえばいい。

話題性により客引きを完璧にさせる、これはマリーのおかげで余計噂が広がってくれた。さらに音痴という圧倒的ギャグ属性――――ここまでやれば愉快犯の皆様が勝手に票を入れてくれるという算段だ。

マリーには申し訳ないが――――勝つためだ、俺は『歌』で勝負するのではなく『話題』で勝負させてもらうぞ――――!


最後まで歌いきったところで、「アンコール」の声が会場に広がる。

票が入るかどうかは分からないが、空気は最高だ。

チラリと、司会者と責任者らしき生徒に「大丈夫か?」と目で合図を送る。すると、二人は顔を見合わせ話し合いをし始める。長くはない相談の末、グッと親指を立てられる・・・OKの合図だ。


「――――んじゃ、もう一曲行きまーす!」


音響にも話が伝わっているようで、再び同じ曲が流れだす。

観客は「うおおおおおおお!」と叫び、気分は最高潮だ、だが流石にやりすぎるとネタに飽きられる可能性がある。これが限度だろう。


目を瞑って息を整えるとマイクに顔を向ける。

――――このゲーム、勝たせてもらうぞ――――!

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