ゲーマー魂というもの
集会が終わった後、自分だけが取り残されて色々な教師からこっぴどく怒られる。
そんな教師の話も聞き流し、終わったのを確認すると教室へと戻る――――その瞬間、皆が一斉にこちらを見てざわつき始める。
ニコッと笑いながら自分の席に座ると、何人かに囲まれる。それは今までのショウからは想像もつかない光景だった。
「お前面白かったんだな!」「まじ最高だったわwww」と、口々に皆が集会の時の感想を述べていく。
しかし、途中で担任が戻ってくると渋々席につき始める。
――――さて、これで問題の一つは解決・・・次は――――
***
様々な人に囲まれたり、話しかけられたりしながら、なんとか会議室へと辿りつく。
会議室の扉を開け、中に入ると一斉にみんながこちらを見る。しかし、誰も何も言わないため自分の席へと腰を落ち着かせるとソラ先輩が開始の言葉を言う。
「・・・全員集まったね、じゃあ今日も始めようか」
ソラ先輩はおもむろに箱を取り出す――――応募用紙を集めるための箱だ。
「実はですね・・・さきほど箱を確認したところ、こんなにも応募者が来ていました」
箱を開け、さかさにすると大量の紙がバサッと飛び出ると、その光景に「おぉっ」と大勢の声が漏れる。
「えー・・・今回ショウくんが行った行動は褒められたものではありません、ですが・・・ショウくんのおかげでこれだけ用紙が集まったと感じている人も少なからずいるはずです。本来はいけませんが、今回だけはショウくんを称賛してあげましょう!」
ソラ先輩がそういうとパチパチと手を叩き始める。するとそれに乗っかり、みんなが拍手を始める。
ペコリと軽くお辞儀をしていると――――
「てかさー、ショウくんはこれだけやってくれてるのに同じクラスのあんたは恥ずかしくないわけ?」
「はぁ!?それどういう意味!?」
サキが大声を出しながらガタッと席を勢いよく立つ。
「何?日本語もわからなくなっちゃったわけー?」
いつも通り、サキ反対派がサキに悪態をつけて挑発する。その挑発にサキは易々と乗って言い争いが始まり、自然と拍手は消えている――――だが、想定内だ・・・いや、待っていた。
「――――はああああああああぁ・・・」
「!?」
でかいため息を吐く・・・にしても、わざとらしかったか?まあいいか
「お前らはいちいち面倒くさいな、脳みその代わりにメロンパンでも入ってんじゃねぇの?」
サキ達はその言葉に怒りと驚きに満ちた顔でこちらを睨みつけている。
古来より、争いというものは起こり続けるものだ、時には戦争に、時には喧嘩程度で――――両者を納得させたうえでそれを止めることなんて何年かけても無駄だ。仲直り?馬鹿らしい――――どちらかが妥協しなければそんなものは生まれることはない。ならば今回、どうすればよかったのか――――簡単なことだ、新しい共通の敵を作ればいいだけの話だ。
「なに!?あんたには関係ないことでしょ!?」
「関係ない?バカ言ってんじゃねえよ――――」
安心しろ、「みんなの迷惑になっている」だなんて正論は言わねえよ、完全にヘイトをこちらに向けるなら正論なんて言ったところで意味はない。ただ屁理屈を返されるだけだし、逃げ場は残してやらないとな。
それに、言い争いをするときは・・・『相手に合った知能指数』で話さなければいけないしな。
「――――俺が不快だからやめろって言ってんだよ、いい加減にしろ」
「それは、あんたのわがままでしょ!?」
――――まったく、どの口がいうんだ・・・
「うるせぇな、大体お前らは言葉が過ぎるんだよまともなコミュニケーションができるよう一度サルからやり直すか?言っておくが、お前らのことだぞ?」
そう言ってサキとサキ反対派のやつらに指を指す。すると、全員が「はぁ!?」と口をそろえて言う。
何故どいつもこいつも直ぐに「は」っていうんだ、はっははっは・・・発情期の犬か?
「それに――――」
「ショウくん!」
言葉を続けようとすると、ソラ先輩に名前を呼ばれ遮られる。
「・・・なんですかソラ先輩」
「『なんですか』じゃないでしょ!?それに、みんなも落ち着いて!」
ソラ先輩のあまりの迫力と敵意がこちらに向いていることもあり、サキたちも静かになり会議室全体がシーンとする。
ソラ先輩はハッとすると、コホンと咳払いをしてサキに席に着くように言う。
「・・・えぇと、とりあえず作業を進めていきます。今日は応募用紙もあるのでそちらの対応もしていきましょう」
チラリとこちらを見るソラ先輩に、ムスッとして顔でこちらに目を向けようとしないサキ、そしてコソコソ話している・・・おそらく陰口でも言っているのだろうサキ反対派、そして――――困惑した表情をしているザンヤ。
――――予定通りだな。
全員の・・・主にザンヤの顔を見て、そのプレイヤーはニヤリと薄気味悪い笑みを浮かべていた。
***
「・・・ちょっとショウくん!」
「なんですか?」
会議が終わり、いつも通り残っているのは俺とソラ先輩だけだ。
そして平然と椅子に座っている俺に対し、ソラ先輩は険しい表情で話す。
「あれ、どういうこと!?」
「あれっていうと・・・集会のときのことですか?あれに関しては申し訳ないと・・・」
「違う!サキちゃんたちのことだよ!分かってるでしょ!?」
はぐらかそうとすると、怒鳴られ話を戻される。
「サキたちのことですか・・・?そりゃ煽ったようなことはしましたけど・・・別に悪いと思って――――」
「違う・・・!違うよ!そうじゃなくて・・・!」
ソラ先輩は声を震わせながら言う――――
「どうして自分に敵意が向くようなことをしたの・・・!?私は『みんなで盛り上げたい』って言ったよね!?その中にはショウくんも含まれてるんだよ!?どうして自分だけが損するようなことを・・・」
「あーあ!」
「!?」
頭を掻きながら突然声を上げる。すると、ソラ先輩は驚き、言葉を止める。
「そんなことで怒ってるんですか?別にいいでしょ」
「な――――」
「もうやっていける気がしません、約束ももういいんで、僕はこれで失礼します」
「ちょっと!・・・ショウくん!」
荷物を持ち、勢いよく扉を開けて足早に去っていく。
すると、外にはサキと言い争っていた先輩が立っていた、「失礼します」と言って横を通り過ぎていく。
――――これで後処理も完璧か・・・
周りに誰もいなくなったのを確認し、ポケットからさきほどすれ違った先輩のスマホを取り出して会議室のすぐ横に落ちたかのように置いておく――――
ソラ先輩は騙すような形になってしまったが・・・仕方ないことだ、このままだとソラ先輩まで巻き込むことになったし、やはりあの迫力はやらせでは出ないからな。
――――会議中にスマホを抜き取り、まるで忘れたかのように思わせる。
そうすることでサキ反対派の主軸となっていた人物をおびきだし――――さっきの会話を聞かせて俺とソラ先輩が仲違いしたことを伝えてもらう・・・そうすれば敵対されるのは俺だけでいい、うまく会議は回るようになる。
さて――――サキたちという弊害は取り除き、文化祭もこれなら上手くいきそうだ。だが――――まだゲームは終わってないぞ・・・?
今まで煽られたおかげですっかりゲーム魂に火がついちまったよ、なあ?――――ザンヤ・・・!
勝ち誇られたあの顔を思い浮かべながら――――そのゲーマーは狙いを定める―――――――
こんです!
今回は今まで短かった分、長めに書いてみました!
それにしても壇上のピエロの部分が長くなってしまいましたね・・・まあ気にしないで行こうと思います^^




