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劣悪と最高の会議 4

ガラッと扉を開け、中を確認する――――一人・・・二人・・・


どうやら今日来ているのは昨日に残った人と一人を除く途中退席した人達のようだ


「・・・!ちょっとショウ君!」


ソラ先輩がこちらを見るなり腕を掴んで廊下へと出る。会議室の扉を閉めると――――


「あれどういうこと!?何したら昨日帰った人が今日来るの!」


「いや・・・別に俺は何にもしてないですよ・・・」


そう――――特別何かをやったわけではない、やったのはむしろソラ先輩だ。


「あの人達はもともと便乗して帰った人なんですから元からやる気自体はあるんですよ、だから委員長が誠心誠意お願いすれば良心が痛んで来てくれるもんなんですよ」


「そ、そうなんだ・・・」


――――まあ、あの先輩は違うが・・・


昨日怒鳴って帰っていった眼鏡の先輩を思い出す。あれはあれで厄介だ


「ま、とりあえず皆待ってますし中に入りましょうよ」


「でも、今日って何をすればいいのか・・・やっぱり企画自体を変えるしか・・・」


「いや、そんな必要はないですよ、今日は普通に作業しといてください」


不安そうな顔をしているソラ先輩に「・・・まあ、任せといてくださいよ・・・」と言うと、再び中に入り席に座る。


「・・・みんな!今日も来てくれてありがとう!じゃあ各々作業に取り掛かろうか!」


ソラ先輩がそういうと、各自目の前に置いてある書類に手をつけ始める。


こういう切り替えの早さはアイドル並だな・・・


一瞬にしてテンションが変わるソラ先輩を尊敬しながら、自分も早速作業に取り掛かる。

きっと今日文句を言う人はいないだろう――――なんせ、今いるのは便乗でしか帰ることができない者たち、そもそも発言や行動すらしない者たちなのだから――――

全員どこかで無茶だと分かっている。意味のないことだと分かっている。だが、それを言い出したところで変わらないとどこかで諦めている――――だからこそ、文句を言わずに働いてくれている・・・そうだろう?


内心でそんな人達に今は、今だけは感謝しながら仕事をする。


・・・来たか


廊下からカッカッカッと走る音が聞こえる――――その音は徐々にこちらに近づき、扉の前で消え、そして――――


「ごめん!ちょっと遅れちゃったね!」


ガラッと勢いよく扉は開けられ、「待たせた」というとその男――――ザンヤはゆっくりと自分の席に座る。


「ザ、ザンヤ君!?今日はどうして・・・」


「どうしてって・・・僕、文化祭実行委員ですよ?来て当然じゃないですか」


「確かに・・・そうだけど・・・」


ソラ先輩は疑問を感じながらチラリとこちらを見る。ばれないようにコクリとうなづくと、ソラ先輩は「じゃあ・・・とりあえず仕事をやってくれるかな?」と書類をザンヤに渡す。

ザンヤはそれを受け取ると、早速作業に向かう。


・・・ったく、何が「来て当然」だ今日も休む気満々だっただろうが


――――ザンヤの不良暴行を見た翌日の日、実はザンヤの帰りを追っていたのだ。


どうやらザンヤは、わざわざ不良を探して暴行していた・・・つまり帰りに見たあれは正当防衛でも過剰防衛でもなく、ただの暴力だ。いつか使えるだろうとでも思い写真を撮っていたのが今回役に立ったな・・・そのまま尾行を続け、最終的に家まで特定した。


あとは簡単だ、写真を現像化して『今日、会議に出なければこの写真をバラす』とでも書いた紙と写真を同封した封筒をポストに入れる。


ポストが空だったということは音でわかった、ポストが空ということはこまめにチェックしているということだ。そして、自分と同じくわけあって親がいないのは知っていた。

だからザンヤは必ず紙を見る。そしてバラされたくないザンヤは必ずここに来ると、完璧に予測していた。


それに、あの現場を見た人物が俺だと一切気づいてなかったしな・・・今のザンヤからすればあの時の生徒が犯人だと、そして『会議に出ろ』という内容からここにいる誰かだと思っているだろう。

・・・さあザンヤ、犯人を見つければお前の勝ち。犯人が俺だと気づかれずにお前を利用しきれば俺の勝ちだ・・・。


作業をしながらも、意識は別のところへと回っているザンヤをチラリと見ながら思う。


――――ゲームスタートだ――――!

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