なう・ろーでぃんぐ 4
通路を抜け、明るい陽射しが視覚を刺激する。
「・・・・まぶし」
「抜けたみたいですね・・・・」
目を手の影で覆いながら、さわさわと吹く風を身に受ける。
「俺とウィスが出たのが朝だから・・・・ちょうど昼くらいになるのか?」
「そうですね・・・・結構動いたのでお腹もすきましたよ・・・・」
そう言いながら、フロワは自分の腹に手を当てる。
「・・・・そうだな・・・・最近は木の実ばっかりだったし、さっさと次の世界で肉でも食いたいところだ」
「そういえばこの世界に来てから、もう何日か・・・・確か2か月ぐらいでしたっけ?」
「なに?!もうそんなに経っていたのか?!」
「はい・・・・ラブさんはずっと檻の中にいたから、一日経ったとか分からなかったんですね・・・・」
「・・・・この世界の言語を習得するのに時間をかけすぎたか・・・・経っていたとしても1か月程度だと思っていたが・・・・」
想像以上に経過していた日数に驚きを隠せず、頭の中で逆算して日数を数えてみる・・・・。
「・・・・ま、そんなことはどうでもいいんですよ!早く行きましょ!私お腹がすきましたよ・・・・」
「・・・・それもそうだな、さっさと次に行くか」
考えていても、もうすでに過ぎたこと――――次の世界へと目標を変え、気分を改める。
さて――――次の場所は・・・・。
「・・・・場所を見るに、やはり座標自体は変わってないみたいだな。俺が落ちてきた場所に行けば次の世界に行けるみたいだ」
「そうなんですね、じゃあ落ちてきたときにあらかじめ目印とつけておきましょうか?・・・・でも、結局地図を見るなら同じですかね・・・・」
そんな会話を繰り返しながら歩を進めていると、スマホはビーという音を鳴らし、目的地に着いたことを知らせてくれる。
初めてその音を聞いたフロワは、「なんですかそれ!」と、驚いて体をのけぞらせる。
スマホを見れば、『移動』と書かれたボタンの形をした印が画面に映し出されていた。
「到着だな、このボタンを押せば次の世界に行くことが出来る・・・・何かやり残したことはあるか?」
「そんなのありませんよ、あの姉妹は仲直りしたみたいですし、ラブさんこそ――――何かないんですか?」
フロワは腰を低くしながら、前傾姿勢でにこやかにそう問う。
――――やり残したことか・・・・ウィスには別れの挨拶をしたかったかもしれないが――――それよりも、今はマリーのことが気になる。
階段を下りる際、マリーの姿は見ることがなかった。何故この世界にいたのか・・・・現最強でも、元最強でもないマリーが、何故こんなところにいたのか――――それが今は疑問だ。
「・・・・ま、大丈夫だよ・・・・次に行こうぜ」
そういうと、フロワはジッとこちらを見て――――、
「そうですね・・・・行きましょうか!」
「よし――じゃあ行くぞ?」
「はい!」
その声を最後に、ボタンを押す。
すると、前回と同様に体が白い光で包まれる――――。
あまりの眩しさに目を瞑る――――そして、次に目を開けた時は・・・・。
――――――そこは、はるか上空――――!
「流石になれたぞ!」
地面にぶつかる直前にふわりと体が浮き上がる――――その瞬間を逃さないように、体を横に逸らすことで向きを変え、ゆっくりと足を地面に付けることができる。
「おぉ!お見事!」
「・・・・で、なんでお前はすでに着いてるんだよ・・・・」
手を叩きながら称賛するのはフロワ――――何故か自分よりも早く、すでに到着していたフロワだ。
「何故と言われましても・・・・ラブさんがボタンを押した瞬間に、私はここにいましたよ?」
「・・・・ということは、俺だけ毎回これ・・・・?別にわざわざ落ちてこなくて良くないか・・・・?」
「いえいえ、きっと大切なことなんですよ!確証はありませんが!」
「えぇ・・・・」
自分の扱いとの比べ用に理不尽なものを感じ、不満をこぼしていると・・・・後ろから「うぅ・・・・」と唸るような声が聞こえる。
その声につられ、後ろを振り向くと――――、
「ここは・・・・どこですの?」
「・・・・マリー・・・・?」
そこにいたのは金髪の少女・・・・絶対に見間違えることのない少女――――マリーだった。
「・・・・!まさかあなたが・・・・!さっさと私を元の場所に帰しますわ!」
「ま、待てマリー!落ち着け!」
「落ち着け・・・・?こんな状況で何を・・・・って・・・・え・・・・?」
鬼のような形相で睨みつけるマリーをなだめると、マリーは驚いたような、信じられないような顔をして・・・・。
「どうして・・・・ショウがいるんですの・・・・?」
「!!」
マリーのその言葉にハッとして、自分の頭をポンポンと触る。
――――そうか、ポンチョを置いてきたから・・・・!
「・・・・マリー、俺だ、ショウだ・・・・とりあえず落ち着いたk――――」
「それに雪さんも!もしかしてお二人、仲直りをしたんですの?!良かったですわ!これで私も一安心ですわ!」
「ちょ、え?なんですか!この人!」
フロワの手を握り、ブンブンと勢いよく上下に振るマリーに、フロワは驚きながら――――、
「と、とりあえず落ち着けってマリー!」
「よかったですわぁーーーーーーー!」
落ち着けと制止する声も届かず――――マリーはただただ、歓喜の声を叫んでいた。
サボり癖というのは、なかなか治らないものです。
しかし、それを改善しようとせず、ただ怠惰に過ごすのは阿呆のすることです。
夏目漱石の「こころ」という作品で、Kは言っていましたよ「向上心のないものはバカだ」と――――、はい。
すいません。最近サボってばかりでした、久々に3日連続で更新できた記念として、謝罪としてここに文を残したいと思います。はい。
ほんっっっっとうに、すいませんでしたああああああああああああ!