なう・ろーでぃんぐ 3
「・・・・結構、この世界には長居してしまいましたね」
「・・・・そうだな」
「次はどんな世界でしょうね?せめて宿があればいいんですが・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・ラブさん?」
「・・・・あぁ、悪い」
大体の説明を終えてしまったため、大した会話が続くこともなく。
長い通路を、そんな他愛もない会話をしながら進んでいた。
通路は進むごとに暗くなっていくが、ほんのりと明るく、まるで蛍光灯のように壁が照らされてもいた。
「・・・・ラブさん、エルフと人間との共存は・・・・無理だったのでしょうか」
「――――?なんで」
「私、その主様の言葉が間違っているようにも思えないんです。争いを止めるには結局、一番でかい力を持っている者がいればいいんですよ・・・・そうすれば、みんなその人に恐怖して反乱なんて起こしたがらない・・・・ラブさんの見てきた村の人たちのように」
「なるほどな・・・・」
「でも――――それは結局、一方的な利益にしかならない。エルフが人間を奴隷のように使っていたように・・・・だから、エルフと共存することは不可能だったのかなって・・・・そう思ってしまうんです」
フロワはどこか悲しそうな声で、本気で――――エルフと人間との共存を探すように言う。
「・・・・いや、共存はできるよ――――なんなら、今日からな」
「へ?」
「別に共存をしたいだけなら、絶対的な力を持っているエルフ側から手を差し伸べればいい。そうすれば、人間側は聞くしかないんだからな。おそらく、あの現最強も最初はそうしようとしたんだろう。でも、あの光景を見てしまった――――だから、共存を諦めてしまった。といったところだろう」
「た、確かにそれが出来たとしても・・・・その力を持っている方が死んでしまった今、どうすればいいんですか?」
「――――フロワ、お前のところへ行く途中にウィスの様子をチラリとだけ見たんだ。するとだな・・・・寝息が聞こえたんだよ、確かに死んだはずのウィスから・・・・ウィスに被せたポンチョの布ごしから・・・・」
「そ、それって――――」
「あぁ、ウィスが生き返っていた。おそらく、あのメモルとかいうやつの仕業だろうな・・・・どうしてあんなことをしたのかは分からないが、どちらにせよ生き返っていたんだ」
「な、なるほど・・・・それで、それにどういう関係が?」
「――――まあ要するにさ、誰も共存を目指そうとしなかった。だから解決案が見つからないってことだ。お互いに違いを認め合って、じっくり話し合いでもすれば・・・・ゆっくりでも、必ず共存はできる。だからこそ、ウィスという革命を起こそうとした人間がいれば、解決には一気に進むんだ。特に――――あいつはエルフと人間との中間人でもあるからな。エルフと人間の仲介者には適役だろう」
「そ、そうですか・・・・とりあえず、共存をすることは可能なんですね?」
「――――まあ所詮推測だし、俺は政治とかそういうのは詳しくないから、なにかしら問題はあるかもしれないがな」
「それでも・・・・少しでも共存の道があるならいいんです。みんなが幸せになるなら、それで――――」
やはり自分のことのように嬉しそうな顔をするフロワに、一つの疑問が過る。
「・・・・そういえば、どうしてあの巾着がサラ・・・・あのエルフにとって大事なものだと気づいたんだ?」
「え?――――あれ、そういえばどうしてだっけ・・・・なんか・・・・勘みたいな?」
「曖昧だな」
「曖昧ですね」
お互いに笑いあって、フロワは少しだけ照れくさそうにしながら――――
ゆっくりと、通路の終わりが見えてきた。