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【プロローグ】
「よぉ――大丈夫かい?」
出会いは突然に――昔、誰かがそんなことを言っていた気がする
確かにその言葉は事実だったようで――
風すらも置いていったような、時間も停止してしまったような――
まるで夏の終わりにまた夏が来たような――
「こ・・・こんにちは・・・」
僕は・・・その人に、拙く、限りなく小さい声で――
本当に聞こえたのかすら怪しい声で――
だけどそれ以外思いつかなかくて――
それでも何か伝えたくて――
「・・・本当に大丈夫かよ」
そんなあやふやな返答をしてしまった僕に――
しかし伝わったことに安堵した僕に――
彼は笑って手を差し伸べた――――