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雷と兎と 【改訂版】  作者: 雪沫 コウ
雷と兎とサバイバル?
3/13

雷と兎と 3

 

 あれから、約三時間経った。腕時計を見ると15時半。

 世界樹の木陰にいるため太陽は見えないが、お弁当を食べた時よりは、日差しは傾いているように思える。


 雷の子はまだ寝ている。


 三時間前、雷の子が眠り始めたのでこの辺りを探索しようと私が立ち上がると、直ぐに目を覚まし頭を上げる雷の子。

 どこへ行くのかと尋ねるような視線に、元の場所に戻る私。

 


 そろそろ寝たかな?と思い立ち上がると目を覚ます雷の子、座る私。

 それをもう二回繰り返すと、鼻を鳴らして立ち上がった雷の子は私の膝の上に陣取った。寝にくいだろうと胡座に変えると、良い位置を探して膝の上をぐるぐると回った後、丸くなって眠りについた。


  動けなくなった私は、未だに頭の中で整理しきれない世界樹の欠片の映像を、今必要だと思うものから確認していくことにした。



 まずは、世界樹。

 この樹は世界の始まりからあり、世界を記憶する存在。

 人間種が言うような、護るものや世界を創ったものではない。

 私が渡された様に世界樹は時折り、様々な種族に欠片を渡す。渡されたものは知識を得る代わりに、死んだ時に世界樹へ記憶を渡す。それにより世界樹は他種族の見方による世界の形を記憶するのだ。


 種族は数多くあるのだが、


 短命だが一番数が多い、半数以上が魔法を使える人間種。

 獣の姿形を一部、もしくは全部持ち得る獣人種。魔法よりも肉体派が多数を占める。

 有名どころのエルフやドワーフ、フェアリーのような妖精種。 様々居るが魔法頼りの種族が多い。

 ほとんどの種族は認識できず、適性のあるものにしか見えない、自然に宿る精霊種。ほぼ魔法頼り。

 魔法が使え意思の疎通が出来る獣型の聖獣種。魔法も肉弾戦も大得意。


 そして魔法も使えるが意思の疎通が出来ない魔獣種。形は様々で動物型から人間に似たもの、形容が描写しにくいものまで様々なものがいる。わかりやすい違いは魔獣は身体の何処かに魔力が固まって出来た魔石を持っている事。

 魔獣は他種族を餌だと認識し、獲物を殺すことで血肉と魔力を自分の糧にする。


 意思が通じないため、他の種族からは見つけ次第、討伐の対象となっている。



「……クゥゥ………」


 無意識に雷の子を撫でていた様で、眠っている雷の子が喉を鳴らして手にすり寄ってきた。手も足も太く骨もしっかりしているので、この子は将来大きくなりそうだ。たてがみは少し硬めの毛質だが、これはこれで気持ちがいい。一番はやはり腹側の毛だな。

 ふわふわした触り心地に夢中になって撫で続ける。


 この雷の子は聖獣と呼ばれる存在で、世界樹の周りにある樹海に生息している。

 ほかにも、光、闇、炎、氷、嵐、地など聖獣が存在している。それぞれ生息範囲が違い性質にあった地域で暮らしている。

 聖獣は魔法の属性と切っても切れない関係で、魔法の属性(派生も含めて)の数だけ種類がいる。


 魔法は、明、影、火、水、風、土の6種類から始まり、適性があれば、光、闇、炎、氷、嵐、地の6種類に進化する。

 人間種の魔法に対する定義では始まりの6種類、一つでも使えると初級魔術師、上手く使える様になると中級魔術師。魔法が進化すると上級魔術師、その中でもずば抜けた適性があると最上級魔術師と呼ばれる。まあ、ざっくりとした分類だが、これは国によって少し異なるので一概には言えない。


 そして、明と風で雷や、水と土で樹の魔法の様に2種類に適性があれば、派生の魔法もつかえるようになる。

 私の場合は先に雷と樹の魔法を覚えたので、明、風、水と土の魔法は使えない。何かのきっかけで適性が現れることもある様なので、いつか使える可能性もある。


 魔法に関しては日々進化しているうえに、派生や魔力の強弱によって同じ名前の魔法でも、全く違うものになる。ようは、イメージに大きく左右される力なのだ。

 なので世界樹も全ては把握できていない。


 魔法か。


 雷といえば、電気ネズミの十万のボルトとか?ゲームでよくある


「サンダーボルト」


 とか………。



 ドッッカーーン!!!!



 少し慣れたところで大きな雷鳴が轟いた。

 世界樹の周りは守護の結界により、攻撃の魔法は使えない。天から降る雷のイメージで発した言葉が世界樹の結界により逸らされ、樹海のどこかへ落ちた様だ。


 さすがに雷の子も目を覚まし、キョロキョロ周りを見渡している。


「ごめん、わざとじゃないんだ」


 呟いただけで魔法が使えるとか、あり得ないでしょ。


 首をかしげてこちらを見上げる雷の子、私が謝ると反対側に首をかしげた。

 

  可愛い。

 



  ………じゃなくて、


「おはよう。ーーー目が覚めたのなら少し話そうか」





読んでいただきありがとうございます。

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